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軽く腕を回したり、足を曲げたりと関節を柔らかくし、筋肉や関節を意識しながら準備体操をする私達。


「次は軽く走って体温めっからな。ここからあそこを二周してこい」


500m程先の練習場の隅に井戸のようなものがあり、そこを指さす団長。

走り始めると秋の匂いがしてくる。


「来年…」


「はい?」


「来年、小学校に来るんだよね?」


「あぁ、はい。リリーナさんと同じ学校になると思います」


「そっか。待ってるね」


「はい、よろしくお願いします」


走りながら話しかけられ、答えると僅かに頷くリリーナちゃん。

なんか、お姉さんって感じだ。


「じゃあ、これな」


走り終えると模擬剣を渡してくる団長。

やっぱり、リリーナちゃんは普通の模擬剣か。

羨ましいぜ!

身長があれば…。ぐぬぬ…。


「ウィークがレイピアなのは聞いている。今日は基礎を一通り見てから、普通の剣つっても模擬だが、剣との打ち合い方を教える」


「はい!お願いします!」


「リナは先に素振りしてろ」


「はい」


リリーナちゃんが素振りをし、脇で私が団長に指導される形となった。


「もっと重心に気を付けろ。レンジが長いのと軽さを生かせるように早く体重の移行をするんだ」


「はいっ!」


豪快な攻撃をする団長は思いの外、細かい部分を言ってきて、たまに手や足を握ってくる。

まさに手取り足取り。

父もそうだが、団長のタコが割れて硬い手は前世の体術や柔道のコーチを思い出す。

団長は強面でそこも似ている。


「うっし、んじゃあ、次はリナと練習な」


1時間ほど指導してもらい、リリーナちゃんと向かい合う。


「よろしく」


「はい。よろしくお願いします」


お互い息が少しきれているが、ここは気合いいれていかないと。

普通剣とは素早さによる間合いではレイピアがやや有利だが、打撃に弱いので打ち合いになるとパワーが劣るので攻撃を避けるようにしなければならない。

あとは、レイピアの特徴である身軽さを有効に使っていく。

普通剣よりも低い重心でタメをついた攻撃は目線が低くなければやりずらいし、高い視線での素早い返し技を挟むことで翻弄することも出来る。


「そこまで!」


「はぁ…はぁ…ありがとうございました」


「ふぅ…ふぅ…ありがとうございました」


動きが激しい私は肩で息をしているし、それに翻弄されたリリーナちゃんも辛そうだ。

何度か攻撃を受けてしまったが、リリーナちゃんの攻撃はやはり重い。

実際にやるのでは違ってくるな。

もっと精進しなければ…。


「ウィークもリナも良い動きだったが、異なる剣だとやりずらいが、良い目標も出来たろ?」


団長が声をかけながら水が入った魔法具を差し出してくる。

蓋を開ければ冷たい水が入っており、熱い体に染み渡るのが分かる。


「んっく…はい」


「ん…そうね」


「今日はここまでにすっか。リーグも来たしな」


まだ仕事終わりではなく、休憩時間だろう父が私を迎えに来たようだ。


「今日はありがとうございました」


「息子の指導、ありがとうございました」


父と頭を下げる。


「おう、構わん。リナにも良い刺激になったしな」


「またね、ウィーク君」


「はい。また」


笑顔で手を振る親子に手を振り返して騎士団を後にする。

いつもと違って長い間練習したので、ちょっとキツいな。


「疲れただろう?ほら、乗れ」


背中を向ける父の背中に抱き付く。

汗かいてるのに、ごめんね。


私はひさしぶりに父におんぶされて帰った。

父の背中は温かかった。



 

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