008/100 ゴブリンの群れ
次の瞬間シャルルが叫んだ!
「ご主人様!
避けてください!」
森の暗闇から無数の何かがすごい勢いで飛んでくる。
シャルルのおかげで、僕はぎりぎりのところで回避する事が出来た。
投石!?
当たりどころが悪かったら即死だ…。
でもこの森は安全ってファリスさんが言ってたけど一体誰だ!?
「シャルル!大丈夫!?」
「あたしの事はご心配なく!
ご主人様は自分の事だけ気にしててください!
それより武器はお持ちじゃないんですか!」
完全に油断していた。
剣はテントに置いてきてしまった。
「武器は持ってない!
シャルル、逃げよう!」
「逃げる判断はやー!
さすが最後まで生き残っただけの事ありますね!
ご主人様!!
でもあたし…少しは戦えるんですよ!」
シャルルの両手に魔力が集中するのが見える。
「風の精霊シルフよ 我に従い 刃となり斬り裂け!
ウインドカッター!」
シャルルの手から放たられる風の刃が投石の第二波をすべて真っ二つにした。
すると投石の雨は止んだ。
僕は森の奥を凝視した。
すると無数の赤い光がこちらを向いている。
そしてその光は徐々の近づいてくる。
これは…ゴブリンの群れだ!
どれぐらいの数だろう、ざっと数えても二十以上はいる!!
「ご、ご主人様…この数はさすがにやばいですよ!
あたし、初日でゲームオーバーなんてまっぴらですよ!!」
絶対絶命だ。
前方から左右にはゴブリンの群れ、後方は泉…
「もう泉を泳いで向こう岸に逃げるしかないです!
ご主人様が死んだら、あたしも消えちゃんですよ!!」
「それは無理だよ、僕泳げないから…」
シャルルは真っ白になって意識がぶっ飛んでいる。
「終わった…、あたしの新生活」
一匹のゴブリンが舌舐めずりしながらこちらに近づいてくる。
徐々の速度を上げ、大鉈を僕に向かって振りかぶった!
ゴブリンはGランク…一対一なら!
得意技は確か袈裟斬り!右に飛び避けた。
ゴブリンの大鉈は地面に突き刺さる。
よし!と顔を上げるとそこにもう一太刀の大鉈の凪払いが!
しまった!
ゴブリンの影にもう一体の小柄なゴブリンが潜んでいたんだ!
もう避けられない!!
「きゃー!!!」
シャルルの悲鳴が聞こえる。
ごめんよ、こんな早い幕切れになっちゃって。
ドスッ!ドスッ!!
鈍い二つの音と共に目の前のゴブリンが倒れた。
脳天を正確に矢が貫いている!?
一体何が起こったんだ。
続いて僕達から見て右側のゴブリンから次々に倒れていく。
「アルト君!泉に沿って右に走って!!」
この声は…、ファリスさんだ!
助けに来てくれた!
「はい!」
伝令係だったから体力と足の速さには多少自信がある!
と走り出そうとした瞬間、誰かが僕の進路を塞いだ。
「こっちは通れないぜ。
生き残り」
誰もいなかった場所の巨大なゴブリンが現れた。
こいつホブゴブリン…じゃないな。
ホブゴブリンにしては俊敏すぎる!
戦士タイプだからゴブリンメイジでもない…。
でもそうなると、まさかゴブリンロード!?
ゴブリンロードはDランクの魔物!
騎士団長級の戦士じゃないと討伐できないぞ!!
「アルト君!離れて!
こいつは私が相手をするわ!」
ファリスさんが木々の枝を飛び渡り僕の前へ降り立った。
そして弓をしまい腰の二本の短剣を抜く。
「ファリスさん!
来てくれたんですね!」
「ぐっすり寝てたんだけど、すごい光と音で目が覚めたのよ!
あとで事情は説明してもらうわよ!」
どこまで話していいかわからない…。
言葉に詰まる僕を他所にファリスさんは僕に剣を投げた。
「この剣使えるんでしょ。
あっちのゴブリン達は任せたわよ!」
これは魔族と戦った時に戦場で拾った剣だ。
ゴブリンの数はファリスさんのおかげでかなり減っている。
それでも戦闘経験のない僕には強敵だし、勝てる見込みがあるのかどうか。
弱気になった僕の頭に、ひとりの少女の笑顔が浮かんだ。
神様との約束…、そうだ。
僕は、こんなところで死ぬ訳にはいかない。
剣術の心得はないけど…、今はやるしかないんだ!!




