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014/100 きゅるるー

ほのぼーの。

 何処からかとても香ばしく、美味しそうな匂いがしてくる。


 きゅるるー


 とっても小さなお腹が鳴る音が聞こえた。


「あっ、あたしじゃないですよ!

 お…、お お お腹がなったのはご主人様ですからねー!!?」


 え!此処には二人しかいない!


 その嘘は通じないと分かってるはずなのになぜ…


 シャルルの方をよく見ると頰を林檎みたいに真っ赤にしている。


 …よし、ここは一肌脱ぐしかない!


「あっ、えーっとずっと何も食べてなかったから…

 ごめんよ、シャルル。

 びっくりさせちゃったかな」


 シャルルが一瞬だけこちらに目をやる。

 

 僕は思わず目を逸らしてはぐらかした。


「そ、そうですか…

 仕方ないですねーご主人様!

 この匂いは、きっと外でお魚を焼いてるんですわ!

 行ってみましょう!!」


「そうだね!

 シャルル、行ってみよう!」


 シャルルの名誉のためにもこの事は忘れよう…





 部屋を出るとキッチンと広めダイニングがあった。


 その先の扉から僕達は外へ出た。


 家の目の前には美しい渓流が流れていた。

 村には高低差があって小さな水田が連なり陽の光でキラキラしている。


 話には聞いてたけど、とても自然が豊かで空気が澄みきった場所だ。


 僕は目を閉じ全身で風を感じながら深呼吸をした。


 

「ちょっとぉー!!

 すこしぐらい分けてくれたっていいでしょ!

 このちびガキめー!!」


 河原の方でシャルルの声がするぞ。


 焚き火を囲む三人の子供のホビット達となにやら口論になっている。 


「おまえのほうが、ちびじゃんか!」


 三人の中でリーダーぽいホビットがそう言った。


 幼少期のホビットはヤケにサイズに敏感だと聞いた事があるけどそれかな?


「そーだー、おまえちーび」 


 ちょっとおっとりしたホビットがそう言った。


「リッパもトロンもそんなにいじわるしちゃダメでしょ!」


 と三つ編みのかわいいホビットがそう言った。


「ルルシーはだまってろよ!」


 僕は見かねて駆け寄る。




「ご主人様ぁー!

 ちびガキ達があたしに意地悪するんです!!」


 シャルルは誰とでも喧嘩しちゃうんだからまったく!


 僕にここは任せて!という意味を込めてシャルルに目で合図を送る。


 シャルルは不貞腐れながらも僕の肩で大人しくしてくれた。


 大丈夫!

 シャルルの腹ペコを満たすために僕はがんばるよ!


「ごめんよ、みんな。

 とても美味しそうな匂いがしたんだ。

 君達が捕まえた魚なのかい?」


 一人のホビットがとても自慢げに答えてくれた。


「えっへん!

 おれさまが全部釣ったんだぜ!

 父ちゃんに教えてもらったんだ!

 父ちゃんは村で一番釣りがうまかったんだぜ!」

 

 よし順調だ。


「僕も教えてほしいぐらいだよ。

 ちなみにこの串焼きは誰が作ったんだい?」


「ぼくだよー。お母さんが教えてくれたんだー。」


 うんうん!


「魚の下ごしらえも完璧だね!

 あとこのスパイシーで食欲を誘う香りは何かな?」


「それはルルシーがおばあちゃんの種からお庭で育てたのよ!

 いっぱいの香草を混ぜて作ったオリジナルの香辛料なの!」


 いいぞ!三人共とても上機嫌に見える!

 

 魚の串焼き一本ぐらいは貰えそうな雰囲気だ!


 でも…、僕の次の一言で楽しい空気は一変した。


「みんないい家族を持ったんだね。

 羨ましいな!」


 こんな世の中だ。


 もうすこし慎重に言葉を選ぶべきだったんだ。 


 さっきまで饒舌に話していた自分が恥ずかしい。


「ルルシーには家族はいないの。

 リッパやトロンもそう」


 男の子二人は泣きじゃくってしまい話す事もすでままならない。


「わたし達の住んでいた村は魔物に襲われて…

 みんな死んじゃったの」


 この子達にかけていい言葉が見つからない。


 王国が劣勢になり衰退した時点で、亜人族達への略奪も始まっていたんだ…

 

 こんな…、こんな小さい子供達から親を奪っていいはずがない!


 何か僕に出来る事はないだろうか…


 僕はシャルルの言葉を思い出した。


 そうか…、他族蘇生の力が使えるようになれば!


 この子達をこの深い悲しみから救ってあげれるかもしれない!!


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いわしちゃんより!

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