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第1話 プロローグ




 ―――世界は繰り返す。




 今から1000年程昔、今と変わらない発展をしていた国々がそこにはあった。【魔物】や【魔獣】は奥地に追いやり、魔法に似たモノを操る【妖魔】はいない。

 恐れる怯える事のない生活が、そこにはあったのだ。



 しかし、魔物がいなくなれば、人は人と争う事を始めた。我が国こそが世界の王に相応しいと、争い始めたのだ。

 そんなとある日とある国がとうとう【禁忌】を犯してしまった。魔物や魔獣、妖魔の長所を活かし、遺伝子組み換えした【モノ】を造り上げたのだ。



 それを御し、我が国を逆らう国々を脅かし、世界の王は我が国だと力にモノを云わせ様としていた。

 願い通り【ソレ】は、強大な力を持った【モノ】だった。

 その国の思惑通り、従わない国々の家を焼き、街を焼き、人を殺し……すべてを滅ぼした。だが、大きな誤算が起きてしまった。

 ソレを造った国をも、ソレは飲み込もうとしていた。

 人ではない【ソレ】には感情がない。命令をしたつもりでいたのだろうが、そうではなかった。【ソレ】はただ……己の欲求に従い殺戮と破壊を繰り返す生き物だったのだ。狂った様に……すべてを滅ぼすだけのモノ。



 何日、何ヵ月とそれはいつ終わるか分からない地獄だった。人々は狂気の中で逃げ惑うたけ。

 ある者は自傷し、ある者はすがる者を探し、ある者は恐怖に気が触れていた。



 しかし、それはある日突然終わりを告げた。何故なのか、それは誰も分からない……だが確かに終わったのである。





 生き残った者は歓喜に震えた。





 ―――それからおよそ1000年。





 その生き物の存在は、誰も知らない。忘れ去られてしまった。

 伝説上の生き物として、僅かばかりか伝承として残るだけだった。もう空想の生き物となっていたのだった。






 ◇*◆*◇






「また……村が消えた……か」

 目の前にある瓦礫の山を見た青年は、ポソリと呟いた。

 かつて村だったであろうその場所は、魔物や魔獣達によって襲われた様子だった。あったであろう家屋は全て潰され、見るも無惨な物と化していた。人々は逃げられたのか……それとも。名も分からないこの小さな村の事を、答えられる者はいなかった。





 ――――ガッシャン!!





「……っ!」

 背後にあった家屋が突如崩れ、その中から3メートルはあるだろう熊の魔獣 "ブラックグリスリー" が青年に襲い掛かったのだ。

 ソレは青年の首を、ソレは迷わず大きなカギ爪で狩ろうとしていた。

 青年は一瞬 "瓦礫の崩れた音" に驚いてはいたが、ブラックグリスリーの存在には至って冷静だった。薄々何かがいる事はわかっていたのだ。

 そして、カギ爪が自分の首を狙っているというのに、腰に提げた銃を抜くことも、手に持った剣を構える事も決してしなかった。





 ――――ザシュッ。




 ボトリと首が、地に落ちた。

 一瞬、ただ立っていた青年の首かと思われた。だが、その首は青年の首ではなく、ブラックグリスリーの首であった。



「……少しは避ける仕草くらい、見せたらどうだ?」

 倒れたブラックグリスリーの後ろから、入れ替わる様に長身の青年が現れた。

 身長の半分以上はある長剣を、軽々と振り落とした男が苦笑いしていたのだ。

 そう、彼が熊の魔物 "ブラックグリスリー" の首に綺麗な弧を描き、長剣の一太刀で落としたのだ。

 見た目は雑誌の表紙を飾る程の美丈夫。漆黒の髪を1つに結わき靡かせた青年……クラヴィス=アーバンである。

「驚き過ぎて、脚が動かなかった」

 シン=フレモントはわざとらしく笑って見せる。

 実際は瓦礫の音に軽く驚いただけで、脚は動いた。ただ、クラヴィスの長剣が描く三日月が、あまりにも見事で見惚れていたのだ。

 光に反射した彼の長剣は、それ程に綺麗であった。



「これで脚が動かないとか……【ゼロ】の主任が呆れる」

 自分がどうせ斬るだろう……と何もしなかった事を知るクラヴィスは、小さく笑っていた。



 【ゼロ】

 それは、世界一ともいわれる巨大な企業【シーウォング社】に所属する警ら隊、通称【ヴォング】の先鋭達の事を呼ぶ。

 何千といる【ヴォング】の中でも、7人だけに与えられた特別な "称号"といってもいい。



「私も人の子という事だ」

 皆の憧れ "ゼロ"の頂点にいる、シン=フレモントは笑った。





 



お読み頂きありがとうございます。

感想は嬉しい反面、読むと作者がブレるため感想欄を開けておりません。

執筆に集中するためだとご理解下さい。(╹◡╹)

完結した後、開けたいと思います。

 _φ( ̄ー ̄ )カキカキ

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