⑷ キビチィ〜!
教室中の生徒がビックリしてフミカの方を見た。
マズイと分かってはいても、フミカは注目されると益々可笑しくなってくるような気がして、笑いをこらえるのに下を向いたまま肩をヒクヒクさせている。
委員長は、
「電子工作部の方、真面目にやって下さい。」
とフミカに注意したが、軽音部長は激怒した。
「なにニヤニヤしてるの?! バカにしてるんですか? あなたたちの事を話しているのに!」
と大声で言った。リサとフミカは、
「ち、違うんです違うんです! ちょっと急に思い出し笑いしちゃって... いや... あの... すいません...」
と涙目で小さくなったが、軽音部長の怒りは納まらないようだ。顔を真っ赤にしながら委員長に、
「軽音としては枠の再配分を希望します。」
と迫った。しかし委員長は微動だにせず、眉をひそめながら、
「枠配分は全希望者に対して抽選を行い、公平に行っています。したがって特定の部に対して優遇はしていません。あなたの言うように電子工作部に枠を与えないとしたら、それこそセ祭の趣旨に反するのではありませんか?」
この指摘に軽音部長も一瞬『グッ』と詰まってしまった。彼女が、
「いや、でも...」
と反論しようとする前に、委員長は続けた。
「先ほどの電子工作部の方の態度は解せないものがありますが、枠の配分とは関係ありません。
そもそも枠配分について意見があるのなら、配分に関する説明会の時に異議を申し立てるべきであって、配分の通知会場で『自分たちの枠が少ないから』と、申し立てを行っても無意味です。
よって軽音部の異議申し立ては却下します。」
“キビシィ~!”
フミカは心の中で絶叫した。リサが筆談で、
「✏️ こりゃあ、困った事になりそう」
と書いたので、フミカは溜息まじりの小声で、
「ウ~ン...」
と力なく応えるのがやっとだった。
委員長は室内を見回しながら、
「他に意見が無いようでしたら、これで聖セシル祭の芸能関連出展タイムスケジュール通知会議を終了します。
なお本日、この結果を各部毎にスタッフに通知していただき、対応を調整していただく事は問題ありませんが、明日から来週の期末試験終了まで、校則により課外活動は禁止となりますから充分にご注意下さい。
それでは皆さんお疲れ様でした。」
今度はリサが小声で、
「キビチィ~!」
と囁いた。
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会議が終わると、二人は出来るだけ他の参加者と目を合わせないようにしながら大急ぎで部屋を抜け出し、結果を待っているオミのもとへ走った。オミも報告を受けながら、
「それは困りましたわ、せっかく候補曲も決まって前進出来そうでしたのに... しかも明日からは期末試験週間ですから、対応のしようがありませんわ...」
と頭を抱えてしまった。みんな解決策も思いつかないまま下校時間をむかえた...
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3人が言葉少なにうつ向きながら、コソコソと校門を出ようとすると、
「あんたたち、さっきの LFO のメンバーの人たちだろ?」
と声をかけてきた生徒がいた。




