新しい顔
「愛ちゃんは俺の顔をどんなのに変えてほしいの?」
「えっとー、五年前に買ったものならそのまま五年分くらいダンディなのにしてもらったら?でもいきなり大きく変えるのはやっぱまずいのかな〜?」
「そうだよね、愛ちゃんは完全義体じゃないから、こういうの初めてなのかな…?生身の顔にちょっと整形を加えるとか、一部のパーツを取り替えるのとは違って、丸ごと新しいのに変えちゃうのは結構こたえるものなんだよ。」
「そうだったんだぁ…そうなったらやっぱりあたしも悲しいかも…」
可愛いぞちきしょう。困り眉の愛子をむぎゅってしたくなる。
「あ、でも、五年前よりも今はもっとイケメンな義顔が出てるかもよ?大好きなゆうちゃんの中身は変わらないんだもん、あたしは構わないよ?ゆうちゃんだってイケメンの方がいいでしょ?」
「あはは…うん…ありがとう愛子。愛してるよ。」
「うふふ、嬉しいっ」
俺は愛子の生身の肉体を壊れないように優しく抱きしめた。
ああ、さっぱり伝わらない。
伝わらない、もどかしい、でももどかしいほどに、狂おしく…愛おしい。
顔の変わることの不安をこの女は知らない…
俺は職業柄、脳以外はすべて義体に取り替えてある。
だけど現代ではそれもけっして珍しくない。
女性は防犯上の観点から足にだけ細工していることが多い。
軽さ・重さ・大きさは元のまま筋肉を強化したり、ジェットターボを仕込んだり・・・etc
それもみんな技術的に安全に、素早く、低コストで実現できるし、しかも代わりの道具(スケボーや車)を持ち歩いたり、公共物(公共交通機関や警察)に頼るより、楽なのだ。
たしかに愛子は俺の顔が変わってもきっと変わらぬ愛で俺を受け入れてくれるだろう。
でも俺は義顔の顔に初めて取り替えたときから、その顔を元の自分の顔とほとんど同じに造形してもらって、またその素材が人肉と変わらない(完全義体の内部の多くが機械化されていても、生殖器や神経は残され、外見は皮膚タンパクで覆われている)にも関わらず、その「ほとんど同じ」ことのうちに潜む「ちょっと違う」にいまだに馴染めないのだった。
「愛ちゃんが俺のすべてなんだよっ」
「もー///」
このあとめちゃくちゃせっく(ry