■第一話 家出
本日から連載始めさせていただきます!今日は3話更新です!
「勇者から、魔王様の“粛清”が宣言されました」
「なんでやねん……」
部下の報告を聞き流しながら椅子に体を預ける男。
だらけながらぼやくのは、現魔王リガーレである。
先代の魔王である父は兄たちに殺され、その兄たちも前勇者に討たれた。
気づけばリガーレが玉座に座ることになっていた。
「いやぁ……死にたくねぇよなぁ……」
ぼやく魔王は、側近のザラトスの言葉で現実に引き戻される。
「……聞いておられますか魔王様?」
「これだから混血なんぞ……」
ため息まじりに、ザラトスは視線を逸らした。
「おう聞いてるぞ〜。小声の所までバッチリね〜」
リガーレの答えに、厭そうな顔を隠そうともせずにザラトスは続ける。
「……勇者の魔王粛清宣言の件、確かにお伝えしましたからね。では私はこれで。」
吐き捨てるように報告を終えたザラトスは、踵を返し足早に執務室を出ていく。
「はいよぉおつかれぇ〜」
ひらひらと手を振り見送っているが、リガーレの心の中は穏やかでは無い。
『はぁぁぁぁぁ……対応ったって俺悪いことなんもしてないのにどうして討伐されなきゃならないわけ?
勇者代替わりはいつだか聞いたな……でも悪いことしてないし粛清しなくても良くない……?
魔王領と人間領の境で種族関係なく取引できるようにしたの俺だぞ!?
それだけじゃない、兄の代で攫ってきた奴隷たちの返還もした。
兄の残した負の遺産どもはほぼ全て解決させたはずだ……ならなんで?……ってか俺、むしろいい魔王じゃね!?』
広い玉座の間で一人熟考した末、リガーレはひとつの決断をした。
『……このまま城にいたら、普通に死ぬな』
扉の外にいる衛兵を呼び出し告げる。
「俺は少しここを空ける。ザラトスが何か言ってたら家出したとでも言っといてくれ」
「はい?」
呆ける衛兵から視線を外し、地下の宝物庫へ転移。
『あんま遠くに飛べないけど……やっぱ便利だ。母さんには頭が上がらないな』
「よっと……」
リガーレが軽く手を振る。
その瞬間、彼の影から無数の鎖が伸びた。
鎖は金貨や魔道具を片っ端から絡め取り、影の中へ引きずり込んでいく。
「こんなもんかな〜」
最後の鎖が影に戻ると、リガーレは再び転移し、魔王城を後にした。
その夜、魔王城はザラトスの怒号と衛兵たちの悲鳴が響き渡るのであった。
城から離れた森に転移したリガーレ。
部下の困る顔を想像し、上がりかけた口角を引き締める。
そうして、人間の町へ向かう。
粛清宣言の理由を確かめるため。
――そして生き残るために。
初投稿で誤字脱字つたないところあるかもしれませんが完結目指して頑張っていきます!
温かい目で見守っていただけたら幸いです!感想お待ちしております!




