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この世は観測されるまで存在しない  〜世界で唯一魔法が使える俺が、日本の闇を書き換えた結果〜  作者: soletes


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27/42

結果

※この物語はフィクションです。

あなたが観測するまでは。


朝。



 ニュースは、いつもより少しだけ騒がしかった。




『——警察官による過失が認定され——』




『——ながら運転が事故の原因と判断されました——』




 スタジオの空気が変わる。




『——当初の証言との食い違いについては、現在調査が進められており——』




 言葉が並ぶ。




 だが。




 結論は一つ。




 “覆った”




 それだけだった。




 宮島悟は、それを見ている。




 表情は変わらない。




 当然の結果。




 そう思っている。






 昼。



 大学。




「やばくね?」




 凪がスマホを見ながら言う。




「完全にひっくり返ったじゃん」




 画面を見せてくる。




 記事。




 警察官の責任。



 新たな証拠。




「……」




 悟は、軽く目をやるだけ。




「まあ、そうなるだろ」




 短く言う。




「いやいや」




 凪は笑う。




「証拠ってこんな急に出るもんか?」




「……出る時は出る」




 淡々と返す。




「怖えな」




 凪は肩をすくめる。




「でもまあ」




 一拍。




「これでスッキリだろ」




 あっさりと言う。




「悪いことしたやつが罰受ける」




「それでいいじゃん」




 その言葉。




 どこかで聞いたような気がする。




「……」




 悟は何も言わない。






 夕方。




 裁判所の前。




 人が集まっている。




 カメラ。



 記者。




 ざわつく空気。




 悟は、その少し離れた場所に立っていた。




 視線の先。




 親。




 亡くなった中学生の母親。




 小さく、頭を下げている。




 記者の質問。




「今回の判決について、どう思われますか」




 マイクが向けられる。




 沈黙。




 数秒。




 やがて。




「……ありがとうございます」




 小さく言う。




 声は震えている。




「……真実が明らかになって」




 一度、言葉が止まる。




 息を吸う。




「……良かったと思います」




 それが。




 正しい言葉。




 正しい反応。




 誰もが納得する答え。




 だが。




 その次の言葉が、落ちる。




「……でも」




 静かに。




「……あの子は、戻らない」




 空気が止まる。




 誰も、何も言えない。




 当然の事実。




 変えようのない現実。




 それだけが、そこにある。






 悟は、その言葉を聞いていた。




「……」




 何も言わない。




 何も動かない。




 ただ。




 理解する。




 自分がやったこと。




 その結果。




 変えたもの。



 変えられなかったもの。




「……」




 視線を落とす。




 自分の手。




 何も変わっていない。




 だが。




 確実に。




 “何かを選んだ手”






 夜。




 部屋。




 静寂。




 机の上。




 翁。




 そこにある。




 悟は、それを見る。




「……結果か」




 小さくつぶやく。




 正しい結果。




 間違っていない。




 誰も否定しない。




 だが。




「……足りない」




 一言。




 何が足りないのかは、分からない。




 だが。




 はっきりと。




 足りない。




「……」




 ゆっくりと椅子に座る。




 目を閉じる。




 考える。




 次に何を変えるか。




 どこまで変えるか。




 どこまでなら、意味があるのか。




 答えは出ない。




 だが。




 止まる理由もない。




「……続ける」




 一言。




 それで十分だった。


——この物語は、あなたに観測されたことで成立しました。

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