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この世は観測されるまで存在しない  〜世界で唯一魔法が使える俺が、日本の闇を書き換えた結果〜  作者: soletes


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証明

※この物語はフィクションです。

あなたが観測するまでは。


夜。



 現場は、もう何も残っていなかった。



 規制線も外され、道路は普段通りに戻っている。



 車が通り、人が歩く。



 事故の痕跡は、どこにもない。




 宮島悟は、その場所に立っていた。




「……ここか」




 小さくつぶやく。




 ニュースで見た位置。



 時間。



 状況。




 すべて頭に入っている。




「……」




 目を閉じる。




 思い出す。




 トラックの時と同じ。




 ズレた感覚。




 “変えられる”という確信。




 ゆっくりと息を吐く。




 ポケットに手を入れる。




 触れる。




 翁。




 冷たい。




「……見せろ」




 小さく言う。




 その瞬間。




 世界が、静かに歪む。






 音が消える。



 光が鈍くなる。




 時間が、ほどける。




 同じ場所。




 だが。




 “違う時間”が重なる。




 道路。



 自転車。



 パトカー。




 そして。




 警察官。




 その男が、そこにいる。




 視界は、ぼやけている。




 だが。




 動きは見える。




「……」




 悟は、その光景を見ている。




 中学生が、自転車で走ってくる。




 普通の速度。




 飛び出しではない。




 その瞬間。




 警察官の手。




 スマホ。




 視線が、画面に落ちている。




「……」




 次の瞬間。




 視線が上がる。




 遅い。




 ブレーキ。




 間に合わない。




 衝突。




 音が消えたまま、映像だけが流れる。




「……そうか」




 小さくつぶやく。




 単純だ。




 ながら運転。




 それだけの話。






 場面が、切り替わる。




 事故の後。




 警察官が立っている。




 周囲に人が集まる。




 その中で。




 男は、言う。




「急に飛び出してきた」




 迷いがない。




 断言。




 その言葉が、周囲に広がる。




 誰も否定しない。




 その瞬間。




 “それが事実になる”




「……」




 悟は、静かに目を開く。






 現実に戻る。




 夜の道路。




 何も変わっていない。




 だが。




 すべて分かった。




「……証拠はある」




 小さく言う。




 実際に起きたこと。




 真実。




 だが。




「……使われてないだけだ」




 視線を落とす。




 翁。




 そこにある。




「……なら」




 一歩。




 踏み出す。




「……使う」




 それだけ。






 翌日。



 ニュース。




『——ドライブレコーダーの映像には、被害者の飛び出しが確認されており——』




 画面に流れる映像。




 だが。




 悟は、それを見る。




「……違う」




 一言。




 映像は、正しく“作られている”。




 角度。



 タイミング。




 すべてが整っている。




 だからこそ。




 疑われない。




「……綺麗すぎる」




 ぽつりとつぶやく。




 違和感は、そこにある。




 だが。




 証明はできない。




「……」




 目を閉じる。




 そして。




 決める。




「……壊す」




 静かに。




 その言葉だけが、残る。

——この物語は、あなたに観測されたことで成立しました。

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