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究極AI研究所:全3話  作者: 秋月心文


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ケース2 自動運転AI(1)

当社は究極AI研究所で御座います。


今、私は、お客様と商談しております。


お客様のお名前は「国栖クズ マサル様」。


色黒で金髪、耳と口元に金ピアス、

太めの金ネックレスを輝かせ、

商談中だというのに、机の上に足を乗せておられます。


商品は、当社の最新AI搭載の電気自動車で御座います。


「無名メーカーの車にしては高すぎるだろう」


「確かに自動車は様々な技術を必要としており、

 昔からある有名な自動車メーカーは、

 成熟した技術をお持ちでございます」


「だろう」


お客様はニヤリとした笑みを見せた。


「しかしながら…」


私は大きな身振りをして、

お客様の関心をこちらに向けながら話を続けた。


「電気自動車の時代に入り、

 エンジンも、燃料タンクも不要となり、

 有名メーカーでさえ、

 モーターや電池を他社から購入している時代です」


「当社のような無名メーカーの車も、

 有名メーカーの車も、

 使っているモータや電池に、

 大きな差はなくなっております」


「だけど……」


お客様の目は少し弱気になっているように感じられた。

さぁ、たたみかけますよ。


「なによりも……」


私は、またも、大きな身振りをして、

お客様の関心をこちらに向けながら話を続けた。


「当社の車には、

 他社にはない最新のAIを搭載しております」


「俺は運転には自信があるんだ。

 AIなんて必要ないね。

 速く走れて、速く曲がれて、

 速く止まれる事が大事なんだ」


「いぇ、お客さま、

 ただのAIでは御座いません」


「お客様の運転を完全に再現し、

 それどころか、生身では叶わなかった、

 その先の運転を実現するもので御座います」


「お客様は、

 当社のホームページの評判を聞いて、

 商談にいらしたのでしょう? 」


「当社の車が、

 レーサーの方々に、

 最速と好評頂いているのは、

 何故だと思いますか?」


「運転される方の運転を学習し、

 運転者のテクニックを、

 忠実に再現出来るAIを、

 搭載しているからで御座います」


「最終的に、

 人の能力の限界を超えた

 お客様好みの運転を実現致します」


「ご理解頂けないようなら、

 残念ですが、この契約はなかった事に……」


そう言って契約書を片付けようとすると、

お客様は、その手を静止して


「わ、わかったよ、あんたのいい値で契約するよ」


「ご理解頂きありがとうございます」


こうして契約がまとまり、

数日後、お客様の元に、

当社のAI自動車が納車されました。


「AIの自動アシスト機能は、

 納車時点では機能していません。

 お客様が、何千kmと走行していく事で、

 お客様の運転を学習していき、

 はじめてAIアシスト機能をON出来るようになります。

 走行情報は、AIの学習の為に、

 当社サーバーに全て記録されていきます。」


そんな説明をしている最中、

お客様は、つまらなそうに鼻をほじったりしておりました。


「AIは、

 お客様の運転を忠実に模倣致しますので、

 このAIが、事故を起こした場合、

 その責任は100%お客様にかかる事が、

 あらかじめ決められております。

 ですのでお客様は、

 AIが無法運転をしないように、

 心がけて下さいますようお願い……」


話は、まだまだあったのですが……


お客様は、

「わかったよ、いいから、早くよこせ」

……と、私の手からキーを奪うと、

颯爽とドライブに出かけられました。

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