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生まれも育ちもこの世界ですが、異世界人認定されて結婚しました。  作者: きゆつき


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14/14

ギリギリ。

 私を巡っての勝負が始まってしまったが、決着がつくのは早くて夕方なので、ここからはただ待つだけの時間になる。


 待っている時間に、まずやっておくことがあった。


「ワーンク」


 弟を呼ぶ。


「はい。姉さん」


「私が結婚した理由は知ってるはずよね?」


「はい」


「なんでオーゴの話を信じたの?」


「姉さんが間違ってるとは思わないの?」


「女神様の託宣がウソで、キーリが騙してるってこと?」


「オーゴ(にい)はそう言ってた。あいつは姉さんを騙してるんだって」


「騙されてるのはあんたの方でしょ」


「姉さんはオーゴ兄のことを好きじゃないの?」


「これっぽっちも好きじゃないし、なんなら話すのも嫌なんだけど」


「えええええ!?」


「あんたもオーゴも頭の中どうなってんのよ……」


「仲良く話してたなって」


「向こうから来てたから答えてただけで、私からは何もしてないんだけど」


「じゃあオーゴ兄の勘違いってことなの?」


「うん」


「そんなぁ」


 これ、こいつも放っておいたらオーゴみたいになりかねないんじゃ?

 

「あんたはオーゴみたいになっちゃダメだからね?

 好きな女の子に素直になれないとしても、イタズラとか悪口とか、ちょっかいを出して気を引こうなんてしないでよ」




 弟にしっかりと伝わったかわからないので、父様にもちゃんと言い聞かせておいてもらうとしよう。


 さて、キーリとオーゴの勝負開始から時間が経った。


 野次馬たちは暇になってすぐに帰るだろうと思っていたのだが、魚を焼いて食べたり、酒を持ち寄って飲み始めたりと、二人の勝負を肴にして好き勝手楽しんでいる。


 父様も、自暴自棄(やけ)になったのか酒をあおる輪に入り込んでいた。


 そんな人々の様子を眺めていたら、ざわざわとどよめきが広がっていく。


 皆の視線が集まる海のほうに顔を向けると、オーゴの乗った船が見えた。


 村人たちが出迎えに移動し始めたのに合わせて、私も歩いていく。


 船上のオーゴは、勝ち誇ったような表情をしている。


 おそらく大物を獲ることに成功したのだろう。


 船を接岸すると、オーゴはしたり顔で船から飛び降りてきた。


「お願いします」


 オーゴがそう声を掛けると、船を囲む漁師が数名船に乗り移り、作業を始めた。


「引くぞー!」


 オーゴの父親のおっちゃんが声を上げると、漁師たちが縄を引く。


 吊り上げるために突き出た、太い木製の腕の先から垂れた縄が引き上げられ、尾に縄を巻き付けられた巨大な魚の姿が、水面から徐々に現れてくる。


「これは大物だ!」


 野次馬たちがその姿を見て盛り上がる。


 スピアフィッシュと呼ばれる、真っ直ぐで細長く、先の尖った嘴のような部位を持つ巨大魚。


 人の背丈を超えた大きさで、四人がかりで引き上げる必要があるくらいの重さがある。


「あいつはまだ戻ってないか」


 オーゴが周りを見回している。

 

 私の姿を見つけたようで、駆け寄って来た。


 別に来なくていいんだけど。


「どうだラツハ。でかいのを獲ってきてやったぞ!」


 いや、頼んでないって。


「釣る技術も何も無いあいつがどうするつもりかわからんが、こいつには勝てないだろ?」


 どやどやとウザい。


「勝ち誇るのはキーリが戻ってきてからにしてね」


「あいつになんて言われてるのか知らないが、喜んでいいんだぞ?」


 えー? めちゃくちゃ話通じなくなってない?


 私が無理矢理キーリと結婚させられて、辛いとか思っているらしい。


 救い出してくれてありがとう大好きって、私がなると思い込んでいるのか。


「いや、本当に全然嬉しくない」


「照れなくていいんだぜ」


 頭が痛くなってきたし、離れたい。


「オーゴ、大物じゃないか!」


 漁師たちがオーゴを囲むのを見て、そっと離れる。


 女神様に泥を塗るような行動をとるオーゴに、彼らはよく盛り上がれるものだ。


 ちなみに父様は顔面蒼白状態になりながら、現実逃避に酒を飲み続けていた。




 太陽がだいぶ低くなり、もうすぐ西側の森へとのまれていきそうになってきた頃。


「負けるのが恥ずかしくなって逃げたんじゃないか?」


 そんな風にオーゴが調子に乗って言ったちょうどその時。


 再び海に巨大な水柱が立った。


「なんだあれ?」


 唯一あの水柱を見ていないオーゴが上擦った声を出す。


「やばい! 近付いてくる!」


 焦るオーゴに声を掛ける。


「大丈夫、あれはキーリだから」


「は?」


 時間制限ギリギリで、我が夫――キーリが戻ってきたのだった。

GWの連休中に、この勝負の決着まで書きたかったのですが、書けたのはここまででした。

次回以降は書き終わったタイミングで公開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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