プロローグ
これは異世界の理の話 *** 幻想の支配するストーリー ***
レベルという概念のある世界に於いては限界値という物が存在します。
それは人間がLv99を上限としたものであれば獣人等もこれに準じています。
しかしエルフや魔人といった種族はその寿命に比例して上限Lv999と飛躍的に上がります。
その上限に達した者は超越者とされ称えられる存在となります。
しかし時にはその限界値すら突破する者が出る事があります。
それが限界突破、文字通りレベル上限が青天井となり空白地帯に突入します。
LV999を突破上限とするエルフや魔人よりも限界突破した人間の方が999の壁を簡単に突き抜ける事が出来る。
Lv1,000-Lv10,000-Lv100,000と、空白地帯を抜けやがてはレベルが百万へと到達する事も可能になるのです。
ただし寿命をコントロールできればの前提ですが。
その時には既に種族は亜神へと移行しているでしょう。
そこからはレベルという概念が消え、その者の存在値のみが重要視される領域です。
それは生き様であり、どれだけ生きたか、何を為したか、どれ程の経験と力を蓄えたのかが基準となります。
亜神という存在を分かりやすく言えば地球上で言うなら最終兵器が意味を為さないと言えば分るでしょうか?
銃のような飛び道具は勿論、半径10m圏内で核弾頭が数十発爆発しても生き残る存在です。
ですがその先に神が存在します。
神にもそれぞれ種族があり1柱ごとに特有の精神世界を持っています。
精神世界に無断で介入すればその亜神ですら瞬時に蒸発してしまうのです。
同等の神でも己以外の世界では一方的に不利になる為、他神への介入は有りえません。
亜神から神への壁もまた隔絶した領域なのです。
レベルがあり神へと至る道がある世界、其れには絶対的な条件があります。
【魔素】空気と同様に生物や個々の星に絶対必要不可欠であり魔素のない世界はあり得ない。
地球・魔素のない世界
その日本に今、魔神が降り立ち蹂躙の限りが尽くされている
辺りは荒廃し都市部のビル群は見る影も消えさった。
だがこれは日本人が選択した結果なのだ。
途中、異世界転生や転移経験者といったレベルのある者や勇者とでも言える力を持った者が
個別に出現しては抗ったが、やがて次元のゲートが開かれどこかへ消えていった。
そして3日が過ぎる頃、日本の大地から命の息吹は消え失せたのだ。
翌日、世界がその魔神に対し最終兵器の使用を決断した。
無数のどこの国の物ともわからぬ戦闘機が飛び交う中
何十何百発という核ミサイルが日本のその魔神目掛けて放たれた。
・・・愚かなり人類・・・
その日、一つの文明に終止符が打たれた・・・西暦が終わったのだ。。。
あぁそうかこれが世にいうハルマゲドンって奴なのかもな・・・
私は・・・・・・・連日そんな同じ夢を見続けていた。
人が叫び声を上げる事すら叶わず肉体事蒸発される様が脳裏に映しだされ続ける・・・悪夢だ
気になる点は、その光景を私はその魔神の目で見て思考をしているという事。
最近読んだ漫画やアニメの見過ぎか?だがいつも目を覚ますと忘れてしまう。
理由もなく眠るのを避けるようになった・・苦しい
これは精神を病んだ結果のノイローゼか何かだろうか?
だが、そう・・・もうどうでも良かったな。。。もう眠るのはよそう
もうすぐ色々と終わるのだ・・・私にとっては。。。。。。。。。。
晩秋の11月後半
鷹搭蛍真(55歳)は日長1日ただ自室の窓際で椅子に座って外を伺う日を続けていた。
半分ほど開いた目からは生気が感じられない。
この辺りは住宅も疎らな片田舎だが道路だけは整備が行き届いている。
時折、家の周囲をバイクが通るとき無表情のままそれを目で追っていた
深夜1時半、月明かりの中を改造バイクが一台
爆音を吹かしながら自宅前方のガソリンスタンド前を走り去るのをみて
掠れ渇いた声が漏れる
「・・・さぁ、、始めようか。。。」
眠れずに3日が過ぎていた、本日深夜漸くその時がやって来た
食事はコンビニで買った握り飯2つ、後はコーヒーと栄養ドリンクのみ。
眠いのに眠れない、病んだ精神ではコントロールも難しい。。。
3日も寝ないと正常な判断が怪しくなる、気分が妙に高揚し精神は半ば覚醒した状態だ
もう既に正常な判断は出来なくなっている。
だがそれでいい。。。
そうやって延々とその繰り返しが続いていたのだ。
我が家から200m程離れた川向いの山本家、暗闇の中、そこのガレージから出たバイクが甲高い吹かし音をあげながら
周囲をぐるりと廻って来た。車通りも殆どない時間帯
ブォンッ!ブォンッブォンッ!ブォンッブォンッブォンッ!ブォンッ!ブォンッ!ブォンッ!
不快なバイク音が静寂の中に響き渡る。
私は家から出て車に乗り込み門から静かに後を追った
愛車は白のスイフト。目立たぬようフォグランプのみ点けてスピードを上げる。
長年暮らして知った道だ。
1分も掛からず目当てのバイクに追いついた
締め切った車の中にまで耳障りな吹かし音が響いてくる
背もたれに寄りかかり膝を大開きして僅かに蛇行するシルエットが
薄暗いライトに浮かびあがる。
「ふふ・・・」
ぼそりと含み笑いが漏れる
この道は左側が川になっていて所々に橋が架かっている。
が。橋へ曲がられて見失うつもりはない。
此処でライトを全灯した!
グンッ
2つ目の橋を過ぎたところで私はアクセルを踏みこんだ
この先しばらくは橋がない、緩やかな曲線のカーブが続く。
バイクは私を追い越させまいと中央へ蛇行し車の前に出て塞いできた。
ブオォンぶおおんうぉんブオォンぶおおんうぉんどるぅるるる!!
煽ってるつもりなのだろう、吹かし音が響き渡る。
「アホが・・」
ニヤリ、、、口元が薄ら吊り上がる
おもむろにスピードを上げ無理やりバイクの横に付けて並走する
この時点で時速60kは出ていた
「んぁ?なんだ;@らっ!喧嘩ってんΝdfgのkl;:ら!」
良く聞こえないがこっちを見て何か叫んでいる。
ジッとコックピットから無言でそれを睨みつける
ボゴッ!!助手席側のドアを蹴られたのが振動で伝わってくる。
続いて少し前かがみになったかと思うと左手を振りかざして
鉄パイプかと思われる長い棒状のものを振りかぶったのが月明かりに浮かぶ。
私はさらにハンドルを左に切りガードレールと車の間に挟まれる形にバイクを押さえつけた。
「うぉあっ!!」
一瞬の事に驚いたのかバイクにしがみつき体制を保っているようだが。。。
ズガガッガgッガガガガガアガガガgg!!!
鈍い接触音と地面とガードレールに金属が引きずられる音が響き渡り火花が飛び散った。
10m程して車を止めた。車にも若干の損傷が出来たのが衝撃で伝わってくる。
バイクのライトを頼りに5mくらいまでバックしてバックミラーで確認した。
車とバイクの接触事故だ、バイクの方は弾き飛ばされて
動けない状態か、、、即死も想定されるが?
転倒したバイクのライトが周囲を照らしている。
運転手はハンドルにしがみ付いていたのだろう、道路に座り込み
転倒したバイクに寄り掛かりスマホを操作している。
私は運転席を出て後部座席に用意しておいた20Lペール缶と1m程の長さの松明を取り出す
松明に被せてあるビニール袋を取り外すと灯油を湿らせた分厚く巻きつけられた布が露になる
コツ、コツ、コツ、コツ、コツ、、
革靴に叩かれたアスファルト音が近づいていく
2m程まで来て座り込んでいる者を上から見下ろし、問う
「山本 華厨斗か?」
体を打撲してるのか?返事もせずスマホの操作に余念がない
フルフェイスのヘルメットの上からどうやって電話しようというのだろうか?
(さすがに冷静じゃないという事か)
「なに突っ立てんじゃ!じじぃ!!はよ救急車呼べや!!」
「あとで覚えとけよ、ぜってえ、ゆさねぇからっ!」
溜まりかねたような罵声で必死で噛みついてくる
「・・・餓鬼が」 ボソッ(思わず言葉が漏れる
座ってるのは、どうやら足を怪我したようで立つことが出来ないようだ。
私は手に持っていたペール缶を地面に置き蓋の金属バンドを取り外した。
中身は・・・灯油10ℓ。
人間は習慣の動物だ。
その道のプロに一般人が勝つ事はまずない。
将棋や囲碁、スポーツ、勉強いろんな専門分野
仕事にしても習慣化された経験には未経験の素人は到底及ばないものだ。
喧嘩も同じだ。普段から喧嘩慣れしてる奴は肝も据わって度胸もある。
なれてない者なら恫喝されただけで委縮してしまうだろう
単純に力だけじゃどうしようもない事はよくある事だ。
が。。。
私は喧嘩しに来たんじゃない。
戦争だ、殺す 息の根を止めるという事だ。。。
人を殺すのに大層な武器やら道具など必要ない。それこそドラマの見過ぎというものだ。
人を殺さないのが喧嘩の前提。殺人とは全然別のものだ。
老若男女体力貧富格差など何の意味も為さない、人間は簡単に死ぬ。
「死ね」
無慈悲なセリフ。か細い一言が口から洩れる。
私はペール缶を無造作に一振り、中の灯油を正面から山本に浴びせた
バシャアアアッ!!山本の全身に灯油が降りかかった!
ずぶ濡れとなった山本は暗闇の中、スマホを咄嗟に庇い濡れた部分を拭く動作をしている
「警察早よ来いやっ!」
(いや、ヘルメットの上から叫んでもな)
私は空になったペール缶を地面に投げ捨て手に持った松明にライターで火を点けた。
カランカラン、、、ゴロゴロと転がる音が響く中
松明の明かりが周囲を怪しく照らしている
足元には浴びせかけた灯油が広がる




