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まじわり輪  作者: がおがおの
第一章 少年期

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第四話 リリア先生

ルイドス君はシエロ君の挑発に乗った。

額の怒りマークは五つくらいに増えている、そんな顔をしている。


ルイドス君は縁回復薬(リンクポーション)を飲み干し、シエロ君に魔術を放とうとしている。

正直先生としては失格ですが、シエロ君のポテンシャルが気になり見届けたかった。


勿論いざとなれば直ぐに止める体勢は整えていた。


「お、お前、僕を馬鹿にしたなぁーー!!許さないぞ!」


ルイドス君は詠唱を唱える。


「大地よ、泥となりて敵を包め。泥の球(マッドボール)」


泥の球(マッドボール)土魔術の応用。


泥の球(マッドボール)がシエロに向かって一直線に飛んでいく。


スピードも威力もうまく扱えていない分弱いけれど、当たれば汚れるので当たりたくはない魔術だ。

しかしかわせば周りの子に被害が出る可能性があった。


(さて、どう対処しますか。シエロ君)


私は目を疑った。

シエロ君が放った魔術。


火と風魔術を組み合わせた応用魔術だった。

火の熱で泥の水分を飛ばし、そのまま固まった土をそのまま砕いたのだ。


しかし、私が驚くべきところはそこではなかった。


火は基本的に可燃物+酸素+点火源で着火する。


多くの魔術師は、身の回りの物や可燃物をを携帯しそれを縁と組み合わせ熱を帯び発動させる。

しかしあの子は庭の草をもぎ取り使用したわけでもなく、0から一を生んだ。

技の精度はともかく、これは聖級魔術師以上ができる技量。


それをたった六歳の子供が成し遂げてしまった。

それも無詠唱で。


◆シエロ視点


オカッパ眼鏡が、使いもこなせていないのに中級魔術を自慢して先生にドヤってるのが嫌だった。

リリア先生に僕は一度も褒められていないのに、あいつはリリア先生に理由は分からないが褒められているように見えた。


それが許せなかった。だから僕はあいつに対して嫌味を吐いた。


「何が中級魔術だよ!全然扱えていないじゃーん!ダッセー」


とてもスッキリした。


解散、解散。

そう思っていたが、ルイドスの怒りを買ってしまったようだ。


僕に向かって魔術を放ってきた。

丁度、ルイドスより僕の方が魔術の才能がより上だと証明するチャンスだと思い受けてたった。


「お、お前、僕を馬鹿にしたなぁーー!!許さないぞ!」

「大地よ、泥となりて敵を包め。泥の球(マッドボール)」


(泥の球か!土魔術の応用。中々しゃれた魔術使うじゃないか)


僕はとっさにその泥を打ち消そうと、考えた。

家でさんざん練習した複合魔術で。


「炎風の渦(フレイムトルネード)」


僕が放った攻撃で、ルイドスの泥は一瞬にして散った。


(やった!ついに成功したぞ!どうだルイドス!僕を馬鹿にしていた気分は!)


僕はどや顔で仁王立ちして優越感に浸っていたが、周りの顔は青ざめていた。


セリカも少し冷や汗をかいていた。

そんなに僕の魔術が凄かったのか、何故皆してそんな顔をしているのか不思議だった。


「シエロ......」

「どうかしましたか?」

「いや、まぁ中々やるじゃない......」

「はい!ありがとうございます」


セリカは何か言いたげだったが、良くわからなかった。

しかし僕は気分は晴れたし大満足だった。


それからルイドスは顔を俯き、一言もしゃべらなくなった。


どうやら彼のプライドをへし折ってしまったらしい。

そう思うと少しだけ、感情的になり過ぎたと反省している。


リリア先生から全員に集合がかかり、僕とルイドスのちょっとした喧嘩?を理由に授業が終わった。

丁度、お昼休憩の時間でもあったので各自ばらけての解散となった。


「少々問題が起きましたので、これで授業を終わります。後片付けは私がしておきますのでお昼休憩をとってきてください。それと、座学や体術そして魔術その他色々と一人一人得意不得意があります。一人一人の個性を大切にするように。いいですね?」


リリア先生の最後の言葉は心にグサッと刺さった。

次ルイドスに会ったときに謝ろう。


「シエロ!ご飯食べに行くわよ!さっきの魔術について沢山聞くんだから!」

「はい......行きましょう!」


「シエロさん。あなたは少し残ってください。話したいことがあります」


僕がセリカと食堂へと向かおうとした時、リリア先生から引き留められた。

それもそうだ、さっきの説教だ。

仕方がない。僕も調子に乗り過ぎたんだ。


「......はい。すみませんセリカ。先に行ってて下さい。すぐに向かいますので」


セリカは少し不満そうだったが、色々察したのか走って場を離れていった。


先生に呼ばれたのは僕一人だった。

ルイドスはこの場にいなかった。


「シエロ君ごめんね。ルイドス君にも残るように声をかけたのだけど、私にも口を利かなくなっちゃって。とりあえず今日中にルイドス君に謝ること」

「はい。ごめんなさいリリア先生。ルイドスさんには、次会った時に謝っておきます」


そうとう落ち込んでいそうだ。

父が母に許しを請う時にしている様に、額を床に付けて謝るとでもしよう。


「私も悪かったです。すぐに止めなくてはならないものを、あなたの魔術が気になってしまい先生としてあるまじき行為をしてしまいました」


リリア先生が僕の事が気になる......違う、魔術が気になるってどういう事だろう。


「僕の魔術ですか?」

「そうです。あの火と風の一吹き(ウィンドブロウ)の応用魔術、あれは中級魔術に値します。それを学校に来て二日目で出来てしまうとはとんだ才能です」


褒められた。

それもかなりだ。

怒られるだけを覚悟していたが、まさかここにきて褒められると、あの魔術を披露した甲斐があった。


「ありがとうございます!リリア先生!」


だめだ、顔がニヤついてしまう。


「それにしても魔術は誰に教わったのですか?それとも優秀なお兄様譲りでしょうか?」

「いえ、魔術については父と母から教わり、基礎などは父で、座学は母からといった感じです。先ほどの魔術は母の魔術本を参考に、一人で練習していたら使えるようになりました」


リリア先生はどこか、怯えるような表情をしていた。


「一人で魔術本があるとはいえ独学で取得ですか......学校必要ないかもですね」

「僕は友達が少ないので、学校はとてもワクワクします!」


僕は大事なことに気が付いた。


「あっ!」


しかし、リリア先生は優しい表情をしてくれた。


「大丈夫ですよシエロ君。今時小さい時から皆魔術に触れているでしょう。まぁ、基礎をろくに教えずに、いきなりレベルの高い魔術を覚えさせようとするのは別ですがね」

「セリカさんや他に何人かはおりましたが、シエロ君は特に基礎が完璧です。親御さんがしっかりされているんでしょう。お兄さまも優秀ですし」


確かに母は優秀だし、兄は少しうざいけれど確かに優秀だ。

父は魔術より剣術が得意なのだが、それでも僕の家系は相当優秀なのではと感じた。


「そ、そうですかね」

「シエロ君の縁は少し金色っぽい色が付いていました。あれは、縁の練りの練度が高い証拠です。さらに練度を上げれば白銀っぽい感じに染まります。練度が高ければ高いほど、魔術の精度も上がりますからね」


そういやリリア先生の縁は白銀の様な感じだった。


「はい!頑張ります!ありがとうございます先生!」

「いえいえ。しかし今回の事でルイドス君の親から学校に指摘が入り、私は怒られてしまいますね。そうなるともしかしたら私はこの学校から出されてしまうかも知れません」


(え?どう言う事だ?)


確かに、先生としての行動は正しくはなかったかも知れないけれど悪いのは僕たちだ。

だけど、先生がいなくなるとか僕は立ち直れない。


「それは、どう言う事でしょうか先生」

「こんな事、生徒に言う事じゃ無いんですけどね、私はこの学校の正式な先生では無いんです。だからすぐに解雇されてもおかしくは無いのです」


正式な先生じゃないとはどういう事なのか聞こうとしたが、すぐにリリア先生は続けて話してくれた。


「実は、私はただの冒険者なのです。いや、冒険者と言うよりは浮遊者といったところでしょうか......」


リリア先生はたまに自己肯定感がとてつもなく低い時がある。


しかし、なんで今は先生をしているか気になった。

人生経験とかだろうか。


「ではなぜ今は先生をやられているのでしょうか?」

「私の家は南の国(アウストラル)にあります。ろくに準備もせずに家を出たもので、恥ずかしながら途中東の国(アズライト)でお金が尽きてしまいました。なので何か仕事はないかと思い集会場により、丁度ここが期間教員募集をかけていましたので......」


(南の国(アウストラル)!先生はそんなところからやってきたのか!)


しかし思った。

そんなことをしなくても父みたいに魔物を狩ったりして素材を売ってお金を稼いだほうが早いと。


「そうなんですか。リリア先生は魔物の討伐などはされないのでしょうか?良く父が、今日はレアな魔物の素材が手に入ってウハウハだーとか言ってましたので......あっ、すみません。余計なことを聞いてしまいました」


少し調子に乗ってしまった。

しかし、リリア先生は何も気にしていなかった。


「私はシエロ君のお父様みたいに、一人で魔物を狩ったりダンジョンに潜ったりは好きではなく。かといって私みたいな者はあんまりパーティーを組んでくれたりも無いのですよ」


(どういう事だ?先生の実力があっても組んでもらえない?僕なら可愛いからって言う理由だけでもOK出すというのに.......)


「先生の実力であれば、組んでくれる方は沢山いそうですが」

「確かに、階級だけで見れば私は特級ですが、私は、風特級魔術師と初めに言いましたよね。風魔術なんて誰でも練習すれば上級位は扱えれるんですよ。この世界に風が吹いている限り」


確かに風魔術は、どの魔術の中でも一番簡単だと言われている。

だからといって、誰もが先生みたいに高レベルで扱えるとは思わないが。


「だから風魔術は聖級以上にならないと、あんまり歓迎はされないんですよ。それと、私の身長少し小さいでしょう?」


僕は、リリア先生の足から頭までをちゃんと見た。

ちゃんと。


確かに母と比べれば、少し小さいとは思っていたけれどそういうヒトもいると思っていた。


(僕が、117CMだから大体145CMくらいだろうか)


しかし、それが何の問題なのかは分からなかった。


「失礼ですが、リリア先生はおいくつで......」

「私ですか?今年で十六になりました」


(16歳!?最近成人になったばかりじゃないか!)


「じゅ、十六ですか!?」


少し声が大きくなてしまった。

リリア先生は頬を少しだけ赤くしたがすぐに冷静になった。


「シエロ君!少し声のボリューム落としてください」

「す、すみません!」


僕は急いで謝った。


「それより、その身長が小さいことで何か問題があるのでしょうか?」

「別に隠すつもりはなかったのですが、私はヒト族ではなく、リネット族なんです」


(リネット族?母が読んでくれた本には出てこなかったな)


しかし、見た目はヒト族と何も変わらないように見えた。


「リネット族初めて聞きました」

「それもそうでしょう。リネット族は南の国(アウストラル)の端の方に住んでいる種族ですからね。リネット族は成人になってもみんな私くらいの小柄な身体で止まってしまうのです。さらに身体の成長速度もヒト族に比べたら半分ですからね。だからリネット族のほとんどが縁もあまり多くはなく、戦闘には向いていないのです」


だから、パーティーを組んでも足手纏いになると思われ組んでもらえないのか。


それよりも、ヒト族より成長速度が半分も遅いということは、ヒト年齢で言うと八歳という事に驚きが隠せなかった。

さらに、特級風魔術師。


しかし僕はふと思った。


「そうなんですね。でもリリア先生は特級魔術師で縁も少ないとは思えません。リネット族でも先生のように縁を多く扱える方もいるんでしょうか?」

「私はたまたま大きく縁が増えただけで、ほとんどのリネット族は今のシエロ君より少ないと思います。それと私は、この杖のおかげでもありますね」


リネット族、この魔術の世界ではかなり厳しい種族だな。

もし魔物と遭遇した場合はどうしているんだろう。


それと、リリア先生の杖が目に入った。


(杖......かっこいい!)


「その杖とても良いですね!」

「この杖ですか、私が十歳の時に父と買いものに出かけた時に一目ぼれして、買って貰ったんです。この杖が、私を呼んでいるように感じて」

「とてもいいですね!僕も杖が欲しいです!」

「いずれ杖や魔道具は必要になると思いますよ。魔道具は、自分の身体に納まらなくなった増えた縁を格納できますし、上級以上の魔術を発動させるのにほぼ必須ですから」


魔道具について、リリア先生から沢山話を聞いた。

なんやかんやで、話しすぎて昼休憩も残り十五分だった。


「あっ!ごめんなさいねシエロ君。お昼休憩も残り少なくなってしまいました。早く戻らないとセリカさんに怒られてしまいますね」

「僕は先生とお話ができて楽しかったです!またお話ししましょう先生!」

「そう言ってもらえて光栄です。では私は解雇にならない事を神様にでも願って戻りますね。ここに居ても神様には抗えませんから」

「はい!僕もルイドスさんに謝っておきます。では!」


そのまま僕は急いで食堂に向かった。


セリカの事だもう食べ終わって、今頃怒ってそうだな。


(遅い!遅いぞシエロー。どんな経験待たせるんだとか言われそうだ)


そういや、先生と話している時誰かに見られている視線を感じがしていた。


それから僕は、息を切らしながら食堂に着いたが目の前の光景は僕が思っていた光景では無かった。


セリカが高学年の集団に混ざり、腕の力比べをしていた。

それもかなり盛り上がっていた。


女性の部だろうか、参加しているのは女性しかいないが僕が見る限り高学年の生徒をセリカがすでに何人かを倒している。


(何をやっているんだ......)


「あ、あのセリカさん?一体これは......」

「シエロ遅っそいわね!私は今腕相撲ってのをやってるのよ!」

「それは見れば分かりますが、何故腕相撲を?」

「何故ってあんたが遅いからよ!それよりあんたはなんでこんなに遅いのよ。もう休憩終わっちゃうわよ!」


全然理由にはなっては無いが、すぐに昼ご飯を受け取りに動いた。


「僕はちょっと怒られていまして......」


リリア先生とだべっていたとは言わない。

僕だけの秘密だ。


それから僕は爆速でご飯を食べ午後の授業を受けた。

先生も特に変わった様子もなく、解雇は免れたのだろう。


ルイドスは相変わらず無口だった。


そして、全ての授業が終わり荷物をまとめてルイドスの席に向かおうとした。


しかしそこにはルイドスは居なかった。

もしかして、もう帰ってしまったのだろうか。


「シエロどうしたの?帰らないの?」

「いえ、ルイドスさんに今日のこと謝ろうと思いまして」


するとセリカは声を少し震わせて、しかし何処か僕を馬鹿にしてる感じで答えた。


「あ、あんたまだ謝っていなかったの?」

「はい、帰る時に謝ろうと思いまして」

「はぁ......あんた馬鹿ね。あのオカッパの親はこの学校のアカデミーカウンシルよ」


(アカデミーカウンシル?初めて聞く単語だ)


「あんた、まさかアカデミーカウンシル知らないの?」

「すみません......」

「アカデミーカウンシル、通称『学園評議会』この学校の方針などの意思決定などを行う機関よ。しかもその長をあのオカッパの父が務めてるらしいわよ」


(は、はい?学園評議会の長?だからあの時みんな......それに先生の解雇も......てかなんでみんな知ってるんだよ!僕に教えてくれたって良かったのに)


「ちょっとルイドスさんを探してきます!」


僕が教室から飛び出そうとした時、聞きたく無かった声が聞こえた。


「もうあの子は帰りましたわよ。もう今頃、家族に今日の出来事を話している頃じゃないでしょう」


そう言ったのは、赤いドレスに包まれたマドンナ(僕の中で)ルージュナ・ヴァーミリオン。


「もう今謝っても手遅れですわ。オーホッホッ」


僕はそいつの言葉を無視し、急いで教室を飛び出て、学校の馬車停に向かった。


もしかするとまだ馬車停にいる可能性もある。

何故か後ろからセリカも追ってきていた。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよシエロ!」


息を切らしながらもすぐに学校の馬車停に着いた。

しかしルイドスの姿は見当たらなかった。


やばい、このままだと父と母に怒られてしまう。


すると追ってきていたセリカが到着した。


「あ、あんたちょっと待ちなさいよ」

「どうしてセリカまで?」

「どうしても何も、鞄も持たずに飛び出しっていたじゃない」


、僕としたことが完全に忘れていた。


「すみません。ありがとうございます」

「あんた少しは落ち着きなさいよ!まずは家に帰ってご両親に説明しなさい!」


そうだ、セリカが言っていることは正しい。

今から家も知らないのにルイドスを見つけることは無理だ。


「そうですね。一度家に帰り今日の出来事を説明してみます」


上手く収まるといいけれど、母は大激怒する様子が目に浮かんだ。


それから僕とセリカは馬車に乗り馬車停まで向かった。


セリカは昨日と同様迎えが来ていた。


僕はセリカと別れ走って家に向かった。

走りながら上手く怒られなさそうな言い訳を沢山考えた。

多分今が一番脳が冴えていると思う。


しかし、その言い訳集も一瞬で水の泡に変わった。

家が見えた時、すでに誰かが僕の家に来ていた。


最初は村の誰かが来ていると思ったが、見ない事ない顔だった。

家に近づけば近づくほどすぐに理解した。

ルイドスとその両親だ。


父と母は頭を下げており、ルイドスの母らしき人物が怒鳴っているのが分かる。

そして、僕は震えた足で縮こまりながら恐る恐る家に近づくと、母と目が合う。

その目には怒りと涙が浮かんでいる。


終わった。

読んでいただきありがとうございます。

良ければ評価の方をしていただければ、嬉しいです。

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