120話 遊園地ダンジョン3
次のアトラクションは射的。建物が小さいようだがゲーセンみたいに的が置いてあるだけかもしれない。これは楽なアトラクションの可能性が高いか?
「銃……ですか」
「武器は慣れがいりそうだもんな」
「この世界では滅多に使うかたがいらっしゃいません」
「確かに見たことねーな」
看板には建物のなかに入れば魔物が襲ってくるから銃で撃てという説明が。
現れるのはゾンビでスキルだと倒すことができないらしい。
必ず指定された武器を使わなければならない――
「こういうスキル使えへん系はけっこう危ないで?」
「そうね、サカネちゃんのスキルで治せないし」
「じゃあ違うアトラクションを――」
後ろにいたハズのレイニーがアトラクションのなかにいた。
「レイニー入っちゃった」
「目を離すとすぐこうなるのよね……」
そうはいっても銃で倒せる程度の魔物で怪我するのは俺だけだろう。
後ろに下がっていろと厳重に注意された。
ずいぶん狭いように見えたが全員で入った瞬間、建物から壁がなくなり遊園地はゾンビだらけになっていた。
「なるほどぉ」
ティラノが【スキル:テレポーター】を発動できないらしい――それより。
知らない男が突然、目の前に現れた。
あまりに不意打ちだったので逃げようとして盛大にすっころんだ。
今度つかんだのは腕で良かったと思う、いや知らん人の腕掴むとか良くない。
「すごい筋肉」
「急にどうしたんだよ」
「え?」
「鼻も効かねーし俺は武器とか苦手だしなぁ~」
「もしかして、ウルフ?」
「どう見てもウルフだろうが」
「その姿を鏡で見てから言ってくれ」
俺は手鏡でウルフを写した。朝の支度をしていたのでこれだけ持っていたのだ。
「誰だよ?」
「これ鏡だからな」
「……俺!?」
目の前に出現した銃を手に取ってゾンビもどきを撃つ。
消えていくゾンビだが他が苦戦している。
スキルが扱えない空間での戦闘はどうも皆が不得手なようだ。
「銃だと当たらへん!!」
「でもさー、噛みつく威力ないよねーこいつら」
シャックが噛みつかれているが平然としている。
硬すぎて食いちぎれないという雰囲気のゾンビモドキたち。
流石に0距離で噛みついた相手なら銃で処理できるようで次々と消えて行った。
消えた魔物が、何か光るものが落っことした。
「ん?」
「どうしたよ?」
「なんか――変なのが」
「バカ!! 出るなッ!!」
本当にうっかり足を踏み出してしまい迫りくるゾンビモドキ。
終わった。俺は何故いつもやってしまうの? 俺よ冷静であれ。
「うわ!?」
しかしゾンビモドキが次々と消滅していく。
何かと思えばホンイツが次々とゾンビモドキを遠くから破壊したらしい。
慌てて皆の後ろまで下がってくることができた。
「助かった……」
「どうされたのですか?」
「キラキラしたものが見えてつい」
ゾンビモドキの攻撃が終わり『ゲームクリア』の館内放送が流れる。
レイニーが落ちていたものを確認して、驚いていた。
ごく普通に指輪で銀色。
「これ、は」
「レイニーなら似合いそう」
「『約束の指輪』と呼ばれる特別なものです――あの、何故、私につけているのですか?」
「ほら似合う」
ティラノさんが慌てて【スキル:テレポーター】で近くにきた。
「待ってあんた意味わかってやったの!?」
「意味? あーもしかして指輪で告白する文化でもある?」
中指だし右手だけど文化の違いとかで変に思われることあるよな。
レイニーの王子様な恰好とシルバーアクセの組み合わせ。
中二病を着こなしてる感じがしていかにも異世界転生感が増した。
「約束を破らせないために付けさせるアクセなの」
「へー」
「これ付けて妻しか愛さないって約束して、浮気をしたら」
「したら?」
「ちんちんがもげるわ」
予想外の解答に指輪を引き抜こうとしたが抜けない。
ピッタリくっついてしまっている。
誰か俺の代わりにグーグルで『指輪 外しかた』で検索して教えてくれ。
「では『ハクアとの戦いでカドマツ様を死なせないことを約束します』」
「俺が死んだらお前のチンコがもげるわけか」
「はい」
「地獄のピタゴラスイッチ爆誕してるんだが!?」




