116話 家族を思う
ガゴリグさんの船はいつもどおり港を出たところ――ぐらい。
「ウルフ!?」
「ちいと厄介なことが起きた、急にレイニーがオヤジを殺すとか言い始めた」
「はぁ? まぁ、出来なくはねぇだろうが……俺が何かした覚えねぇぞ?」
『船長~ウルフくんせっかく帰ってきたんですから、聞いてあげましょうよ~』
甲板で雑巾がけしてた男に頷くガゴリグさん。
「レイニーが俺に怨み持つ理由については分からんが、まずは部屋で話を聞かせてくれ」
ガゴリグさんの私室に通されたので、本題を切り出す。
本当にガゴリグさんをレイニーが怨んでいるとしたら船員に聞かせられない話にもなりかねない。だから個室での話なのだろう。
「11代目がガゴリグさんだと聞いた瞬間でした」
「俺は昔から海賊だが11代目としてアイツに何かしたことねーぞ」
「ニカナから帰ってきて……ん?」
ガゴリグさんが驚いた顔をしている。
確かに嫌な場所なんだろうな、拷問されたらしいし。
「ニカナには何をしに?」
「スキル探しですよ、【スキル:クリア】」
「クリア!?」
知ってはいるらしい。
「俺たちがハクアに挑む時に、俺が人質にとられると厄介なんで探してまして」
「……あー、何となく俺が怨まれた理由が繋がってきた」
とても嫌そう。心当たりがないよりもあるほうが対処できるし楽だ。
でも本人も自覚するほどのことをレイニーにしていることにもなる。
「別に俺たちはオヤジをどうこうしたい訳じゃあねぇし、話してくれね?」
「俺の嫁だった女の能力だ」
「へーお嫁さんいたんですね」
「いたのか!?」
ウルフも知らないのか。
「えーと、ドレミドさんの遺体の行方、もしくはスキルカードのどちらか知りませんか?」
「スキルカードさえあれば遺体の行方は教えなくていいんだな?」
「はい、だって目的はそっちですし……」
「レイニーが俺を怨むってことは、やっぱりあの時―――あー、クソッ」
机の引き出しからボトルに入れられた【スキルカード:クリア】をガゴリグはカドマツに渡した。
「あるんだ!?」
「……それともう一つ」
指輪を渡された。
「何これ?」
「昔、俺の薬指に付けてた指輪だ」
「それってつまり婚約指輪とかそういうこと!?」
「スキルの効果を多少だが増幅させてくれるもんだ、やる」
「有難いですけど、本当にいいんですか?」
「レイニーを頼んだぞ」
よく分からないがスキルカードは手に入れたしオマケも貰った。
「そしてまったくレイニーがガゴリグさんを怨んでいる理由は分からないままだけど」
「本当にな」
「……悪い、話せねぇからソレで勘弁してくれ」
こうしてカミノに帰ってきたら城が水浸し。
「お帰りなさい」
「いい子で待ってられたな、ヨシ」
5歳児がミサイルの発射スイッチ持ってんだぞ?
家の中が水浸しとかそれどころじゃない。
人が死んでない、なら良し。




