114話 隠したかった真実
XXX年前、まだレイニーが異世界転生者になっていない時代。
僕は―――ホンイツは城で姉と出会った。
「え、姉さん!?」
「あんたもこの世界にいたのね金糸雀!」
「本名で呼ばれたのは何百年ぶりだったかな……この世界では新しい名前を持つんだよ」
「知ってるわ、アタシはドレミドって名乗ってるもの」
「男っぽいけど、好きにしたら?」
「で――あんたがカナリアだと話が変わってくるわね」
「ホンイツって呼んでくれない?」
「嫌」
「侵入者がいるとは思ってたけど姉さんだとは……」
「アタシ、人を監禁して拷問するような子に育てた覚えはないけど?」
「だろうね」
日本で年の離れた姉は親の代わりに世話をしてくれた。
両親はいることにはいたが父親の故郷は海外にあり、その都合で母も父も海外にいることが多かった。
だから姉が親代わりに育ててくれたのだ。
異世界転生者への拷問は目的のためとはいえ酷く精神を削っていた。
愛した女性も残酷な処刑をされ、もう限界だった。
「助けて……姉さん」
「あんたが優しい子なのは私が一番しってる、こんな辛いこともうさせないから」
「どうしたら、いい? 僕には、もう分からない……」
「そんなの決まってるじゃない!」
「えっ」
「魔王より強くなって、全部1人でやっつけちゃう!」
「そんな、こと」
「一国を滅ぼしたんでしょ!? それだけの力になったんだよ! ?姉さんの力がまだいる!?」
「……分かったよ、姉さんだけは#利用__・__#しない、僕の力だけで――」
繰り返してきた異世界転生者への拷問。
傷つけているのは僕なのに、何故か痛くて痛くて辛くて。
誰かに、もういいと……救ってほしかったのか。
「―――!?」
油断した、と今でも思う。
現れたのは11代目転生者、怨まれているのは分かってたんだ。
だって殴って殴って、水に沈めて拷問した相手だ。
そこにいて、謝ろうなんてした僕が間違いだった。
「死ね、クズ野郎!!」
「駄目ッ!!」
僕は、姉さんに庇われた。
姉さんは11代目と組んで僕を殺すつもりだった、正体を知らなかったから。
だから庇う何て想定ができるハズがない――
11代目の拳はドレミドを殴りつけ、心臓のコアも砕いた。
「―――なん、で!?」
「……やっぱり、まだ、僕は弱い」
たった一発の攻撃を防げなかった。それだけで、死なせた。
まだ、僕は弱い―――こんなにも。
魔王に僕だけで勝つ? できるものか。
「何故―――ドレミドがお前を庇った!?」
「……」
何故、ということなら会話は聞こえていなかったらしい。
姉を殺したのはお前だ、何て言えば11代目は今までの拷問と同じでスキルを何倍にもパワーアップさせる。でもそれは姉を利用した――ことになる。
「なぜ!?」
「見えなかったらしいね 【スキル:ドール マリオネット】」
本当は助けたくて伸ばした糸はすべてが遅すぎた。
「てめぇ……っ!?」
「僕を殺そうとする? 勝てる? わけ―――ないね」
だって、僕に勝てるほど強いなら魔王と戦えるように異世界転生者に拷問して強くする役目は終わりでいいんだから。
「ホンイツ……確かにてめえにゃ勝てない、だが死体だけは、ドレミドは連れ帰る!! お前の人形にだけはさせねぇ!!」
そうだよ、僕の人形にならないように―――僕が知らない場所に、安らかな場所に。
「いらないからさっさと持っていきなよ、僕だって城で暴れたくないんだ」
「俺の恋人を殺したお前を絶対に許さねぇ……絶対に!!」
城から姉さんは出て行った、恋人に抱えられて。
殺したのは果たして誰なのだろうか、真相は全部僕が墓までもっていけばいい。
さようなら、姉さん。




