64話 心の駒に多綱許すな
初めまして、HalToと申します。
64話です。
よろしくお願いします。
茉由は掴む。自らの目の前に突き出されたその拳を。
「九条君がやっぱり心配になって…そしたら保健室にもいなくて…。」
茉由の背後から3mほどの光り輝くミタマが顕現する。
「ここに戻ってきたらこんな状態で…。」
「…何故見える?」
九条は問う。
「わからない…でもこの『アヴェ・マリア』は昔から知っている…そんな気がするの。」
スカート部分がシャンデリアになった女神の掴んだ拳は輝く。
その聖なる光は謎のミタマの身を浄化していく。
光が収まると、傷だらけの喪介が出現した。右手首には金色のリングを着けている。
「元に…戻った…。」
早乙女は呟く。
『アヴェ・マリア』は更なる光を喪介に当てる。
すると、傷はみるみるうちに治っていった。
「回復能力も…!」
早乙女を始めとした全員が驚く。
「うぅ…。」
喪介は目を覚ます。
「大丈夫…?喪介。」
「う…何が…。」
その時、九条に両手で襟元を掴まれる。
「…おい!お前…!一体何をしたのか覚えてないのか!!!!」
「え…?」
「おい、九条くん!!よせ!」
早乙女は九条を止める。
「お前は!!!敵とはいえ!!!「無音」を…!消した!!!跡形もなく!!!!」
九条は制止を振り切り、息を荒げながら怒る。
「え…俺が…?まさかそんな…。」
「チッ!」
喪介を投げる。
九条は帰っていった。
「そういえば…藤田は?」
早乙女が言う。
「確かに…あいつ影使いのくせに影薄いんだよな…。」
翔太は辺りを見回す。
少し前
「ん…?」
九条と謎のミタマの衝突中に妙な霊力を感じ取った藤田は振り返った。
大きな荷物を持った何者かが立ち去っていく。
無意識に追いかけた。
しばらく追跡した後、フードを被ったその者は立ち止まり、言った。
「なんの用だ…?」
「お前は誰だ…?」
藤田は杖を構える。
「「七剣使い」か…これは都合が非常に…いいな。」
フードを外し、振り返る。
「そうだな…あ、「黒皇」…とでも名乗っておこう…。」
長髪の男は藤田の方へ突っ込む
「…!」
藤田は杖を自らの影に突く。
影の手が2つ、しっかりと黒皇を掴む。
「やっぱそうくるかー、非常に…厄介!」
黒皇は振りほどき、上方へ跳ぶ。
「フンっ!』
黒皇の全身が黒く変色し、ボロボロと崩れ落ちる。
その中からは真っ黒な悪魔のようなミタマが現れた。所々ひび割れ、ポロポロと何かが剥がれ落ちている。
『こうするしか…ないかぁー!』
黒皇は空気を蹴ると頭から藤田に突っ込んだ。
更に少し前
「…ハァ…。」
辺りは荒野そのものだった。
秋本と皇帝は互いに決定打を与えられぬまま時間だけが経っていた。
『フッハッハッハ!!強いな…まさかここまでとは…。』
その時、皇帝の腹部の装飾がフッ…と消え、胸部や脚部と同じようにミイラのようになってしまった。
『…!?』
「何だ…?」
『予想外の事態が起きた。決着はまた今度だ…。』
「待て!!」
皇帝は消えた。
65話に続きます。




