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第37話 土の大精霊にも憑りつかれた男は善行を積めるのか、悪行に走るのか


俺のお漏らしと髭ボウボウ、止めにキンキンに冷えた水を飲ませ続ける作戦が失敗したら飢えたオーガ(意訳: 青髭おねぇの真の姿)が解放され、俺が生贄にされて食われる。

安易に切り札を出していいものか。


'そうは言うが、このままでは手詰まりじゃの。

もうそろそろその脅し文句をたたきつけてはどうじゃ。'


そうだな、わかった、そうすっか。


俺は食われるかもしれないという恐れをおねぇに悟られぬように、わざとらしく不敵にニヤリとしながらおねぇに向かって口を開いた。


「そうやって、一般観光客だと白を切り通すもりならこのまま土の中で一晩、二晩と過ごしてもらうけど、いいだよな。」 ニヤリ

「あたしは本当にただの観光客なんだからねぇ。

それ以上何を話せっていうの。

それよりもここから早く出してちょうだい。

こんなことが許されるとでも思うの、あなた。

誰かにこんなところを見られたらタダじゃすまないわよ、あなた。」


あくまでも観光客で通すつもりの、おねぇ。


「まぁ、今は話す気がないなら、話す気になるまでこのまま俺は待つだけだ。

そうこのままずっとね。」

「このままって。

そうじゃなくて、早くあたしを土の中から出して解放してちょうだい。」

「だからぁ、あそこで何をしていたかを正直に話してくれたら考えるよ。

それまではずっとこのままにしておくしかないね。」


俺はそう言ってから、再びわざとらしくニヤついて見せた。


"その悪人面に似合い過ぎたセリフだな。"

'所謂、天職というやつかのう。'


俺の方を見ながらひそひそ揶揄する、大精霊様方。


うるせぇ、俺だって好きでこんなことをしてるんじゃねぇ。


'ほぉっ、好きでもないのにワルが余り似合い過ぎておるのじゃのぉ。'


ほっといて。


「まぁ、このままほっといて、万が一にあんたが漏らしたとしても誰にもわかんないからな。

その点は安心していいぞ。

そっ、首から下はね、アハハハハハッ」


俺は大精霊様方の揶揄を無視して、さらに脅し続けることにした。


「もっ、漏らすなんて・・・・・・」


青ざめて絶句する、おねぇ。


'なんじゃぁ、お漏らしをすると言っただけでかなり動揺しておるのじゃな、傍目ではわからんというに。'

"おねぇの矜持からしたら相当にまずいことなんだろうよ。

これがさらに若い男の目の前で化粧が半ば剝げ落ちて、鬚がボーボーした面を堂々と晒すことになるなんて言ったら、こいつ目から水があふれ出て来るんじゃねぇ。

その涙で化粧がさらに落ちて、ボーボーの髭だけが顔を覆うなんてなったら。

あぁ、こりゃぁ、意外と落ちるのがはぇかもな。"


お漏らしと言っただけでおねぇが大いに動揺する様子を見て、これはもうすぐにでも情報を吐いちまうんじゃないかと、あきれ顔でおねぇを見る、大精霊様方。


ふっ、俺に掛かればこんなもんよ。


"さすが天国に至る道に足を一歩乗せることすら拒絶される、悪人面だな。

それに面だけでなく中身も根っから悪人だったかぁ。"


ちっ、違う、この状況だから仕方なくてだなぁ。


'言い訳しても将来進む道は地獄一択なんじゃから、遠慮することなく悪に徹すればよかろうが。'


いっ、いや。

まだ、天国へ至る道筋がほんのちょっとだけは残されているよね。


"ねぇな。"

'無いのじゃ。'


即答の、大精霊様方。


くっ、こうなったら一気に吐かせてやる。

そして、これ以降は一切悪行に手を染めることなく、徳を積むことに励み、なんとしてでも天国への扉を開くんだぁ。


"だから無理だって、何度言ったら。"

'お前が立ちはだかることで天国への道が閉ざされたら善良な市民が難儀するのじゃ。

とっとと地獄の一丁目に行くのじゃな。'


くっ、なんとしてても善行を積んで天国に行ってやるからな。

んっ、そうだ。


"どうした、シュウ。

また地獄の門に近づく悪行を思い付いたか。"


ふんっ聞いて驚け、天国に近づく善行を思いついたんだよ。


"どうせ地獄に近づく悪行なんだろぉ。"


ちっ、ちげぇぞ、絶対に善行だからな

いいかぁ、このおねぇは国の密偵だよな。

ということは、裏では相当やばいことも数えきれないぐらいやってきているはずだ。

そんな悪人を懲らしめることは大いなる善行となるはずだ。

よし、徹底的に脅してやるぞぉ。


'悪人が悪人を懲らしめても転じて善行とはならんじゃろうに。'


いいの。

俺はこれから善行に励むの。


"まぁ、やってみそ。

結果は変わらんけどな。

結局は地獄の門をくぐるのが早くなるだけだってぇの。"


くっ、くっそぉ。

みてろよ。


「あんたをこのまましておいたら自然現象で、そのうち漏らすんでよな。

まぁ、それはあんたにしかわかんないからまだいいけどな。

でもなぁ、このままにして置いたら明日の朝はあんたの顔はどうなるかな。

その分厚い化粧も剥げて、そして、顎には、頬には・・・・・・ニヤ 」

「いやぁぁぁぁぁぁぁ、やめてぇぇぇぇぇぇぇ。」


俺が言い終わらない内におねぇはすべて察したのか、密偵としての矜持のかけらもない悲鳴がこだました。


ふんっ、ようやく自分の置かれている状況を察したようだな。

よし、ここでとどめだ。

おねぇ、くらぇぇぇぇ。


「おいおいそんなに騒いだら喉が渇いたよな。

キンキンに冷えた水があるからたっぷりと飲ませてやろうか。

たっぷりとな。

そして、土の中から出た時が楽しみだな。

土で汚れているから見た目はわかんねぇけど、臭いまではどうだかな。

ププププッ」


"こいつ世紀の極悪人だな。"

'普通の悪党じゃ、ここまで追い詰めることはないのじゃ。'


かなり引き気味の、大精霊様方。


そっ、そんなことないよね。

俺なんかより国の密偵の方が裏でもっとひどいことをしてるはずだよね。


"プルプル"

'ぷるぷる'


引きながら首を横に振る、大精霊様方。


とっ、とにかくおねぇに情報を吐かせれば勝ちだ。

勝てば正義だぁぁぁぁ。


'無間地獄が確定じゃな'

"明日、さっそく大鬼婆に無間地獄に招喚されんじゃねぇか。"


えっ、これって善行だよね。


首を横に振り続ける、怨霊様方。


だっ、大丈夫なはずだ。

これは善行だ。

勝てば善行に出来るんだぁ。


首を思いっきり横に振り続ける、怨霊様方。


とっ、とにかく尋問を続けるぞ。


'すっかり悪役が板についたのぉ・・・・・・・・'


ほっといて。


「あんた、漸く置かれている状況が分かったみたいだな。

もう一度聞くぞ。

あんたらあそこで何をしていたんだ。

一般人、観光客なんて言ったらキンキンの水をたっぷり飲ませてこのまま放置。

次の尋問は明日の昼にするからな。

それまで自分がどうなっているかわかっているよな。」


「うぐぐぐぐっ。」


俺の言葉に涙を流して声にならない唸り声をあげる、おねぇ。


"おねぇ、早く話して楽になっちまえよ。"

'これ以上、フンに悪行を重ねさせないようにのぉ。'


あれ、茶色い子さん、俺の味方をしてくれんの。


'さっきので無間地獄行きが決定したのじゃ。

後は明日に地獄の鬼がフンを無間地獄に迎えに来るじゃろ。

おねぇの仇は地獄の鬼が取ってくれるはずじゃ。'


がぁぁぁぁぁぁ、味方なんてとんでもねぇ。

鬼がいたぁ。



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