第13話:発見
朝、目が覚めて最初に見たものが窓から挿し込む綺麗な朝日
ではなくて、未だに袋の隙間から輝いてるマジックボールだった。
「おいおい、まだ光ってるのかよ・・・」
昨日、数時間で消えるっていってたのに
魔法は便利だけどなんだか微妙なところが不便だ
俺の使う魔法は危ないし、実際に使って役に立ったのはホーンベアーを追い払うのに使っただけだ
まあ、その魔法はホーンベアーに当たらず木を丸焦げにしたわけだが
ぼーっとマジックボールを見ながら考えて数秒
そんなことより今日は大事な日だ。
部屋から出てすぐに宿屋のオヤジに出会った。
「あ、おはようございます。良く眠れましたか?」
ニコニコ笑顔で挨拶をしてくる。ハーヴェイとの態度があからさまに違ってなんだか腹が立つ
「ああ、良く眠れたよ。今日もまたハーヴェイを借りていいかな?まだ町を回りきれてないんだ」
そう言いながら銀貨1枚を手渡す。
約3日分の宿泊費だ
「え、ええ、良いですとも。どうぞどうぞ。おい!ハーヴェイ床掃除はいいからこっちに来い!!」
予想通りの展開だ。怒鳴り声の後にドタドタという音を鳴らしてハーヴェイが走ってくる。
「では、私は忙しいので」
そう言って宿屋のオヤジさんは走っていった
ハーヴェイがいなくなる分の仕事もしなくちゃいけないんだろう
ショータの顔を見たハーヴェイがニヤリと笑う
同じくショータもにやりと笑う
「さあ、行こうか。ハーヴェイ!」
「おう!」
「ハァハァ、なぁ、ハーヴェイ。後何人だ?」
「ハァ、あと12人だ」
何故こんなに息が粗いかと言うと、それはかなり走ってるからだ。
何故走ってるかって?
1日に50人もの人を探して合わなくちゃならないんだ、走らないと間に合わない
何故1日でやるのかを簡単に言うとと言うと
金が無い
まだ銀貨1枚が残っていて3日は泊まれるだろうけどこの銀貨はこの作戦に必要だ
宿屋に泊まれないとなると野宿しなければならないわけだが、それはなんとしてでも避けたかった
まあ、疲れてる原因が走ってるだけではないのだが
まず最初の1人に合って事情を話して腕輪を外したとき、そのショックの余り気絶した
2人目は気絶はしないものの口をパクパクさせて真っ青になっていた
と、作戦を説明した後に気絶されたり疑われたりしていろいろと大変だったわけだ
まあ不幸中の幸いに50人全員がバラバラの場所にいたのではなくて数人が固まって居る場所もあったから結構簡単に見つかったのはいいのだけど
「なあ、ハーヴェイ。やっぱり移動手段は徒歩だけなのかよ?」
「ああ、ショータが言ってた”くるま”なんて乗り物は無いぜ。歩くしか無い」
そう、この世界には自転車という代物もなかった
「おっと、次は市場か。市場に最後の1人が居るんだよな」
「ああ、そうだ。ところで話が変わるけどよ、ショータは今までどうやって逃げてきたんだ?」
「どうやってって言われても、出来るだけ魔法を使わないようにしてるだけだけど?」
「え?じゃあ感知型の魔法使いに出会ったらどうするんだよ」
「かんちがた?」
初めて聴く言葉だ、感知型・・・なんだか嫌な予感がする
「知らなかったのか!魔法使いには攻撃型、防御型、感知型、っていろいろあって攻撃型の魔法使いは攻撃に特化してる魔法使いのことだ。
で感知型は魔法の強さや魔法の性質、魔力量を感知できるんだ」
「え、じゃあ俺。感知型の魔法使いに出会ったら・・・」
「すれ違うだけで間違いなく国王だとばれるだろうな」
おいおい、神様。また俺から希望を奪っていくのかい・・・・
本当に神様が居て出会ったなら猛講義してやる
「ははは、いままで出会ってなくて良かった・・・」
「ショータ・・・、大丈夫かよ、顔が真っ青だぜ、っと町に居る最後の1人だ」
「ああ、行こう!」
そう言って顔をあげると何かこっちに向かってくる人影が見えた
なんだろう、騎士っぽい人が数人が何か話してる、そしてこっちを指差す人が1人
その指の直線状にある人物は・・・
俺だった