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第038話〈アクティベート・ザ・ビースト〉

サンドワームが目前まで迫る。


【任務を開始します。】

————————————————

任務:再生したサンドワームを殺害せよ


報酬:ガチャチケット1枚 システムポイント2万


失敗ペナルティ:強制死亡


制限時間:30分

————————————————


(システムから任務まで下った、いよいよ逃げられないくなったというわけだ……)


柊は脳内に住まう悪魔へ交渉を試みる。


(ベリアル、力をよこせ。)


『断る。お前が死ぬ寸前なら考えなくもないが、我に敬意を払わぬのなら痛い目にあってもらう。』


(チッ、そうかよ。ならそこでふんぞり返ってろ。)


ベリアルとの交渉がうまくいかなかったことで、柊は二人へ指示を出す。


「……プル、キャス、活性化を使用する。肉体の変化が完了したらすぐに攻撃を始めろ。」


「活性化?どういうこと?!」


キャスにそう問われ、サンドワームの突進を横に避けつつ柊は答える。


「基礎的な能力が全部向上すると思ってくれ。少し痛いぞ!」


柊が『活性化及Ⅰ』び『眷属活性化Ⅰ』を発動させ、肉体が変化を始める。


プルも背がぐんと伸びて大人の姿になる。


そしてキャスも同じように背が伸びるが、その骨格は変化を始め、より”猫”に近い骨格構造となる。


特に脚部が肥大化して逆関節に、さらに全身から黒い毛が生え、背が伸びたことにより露になった尾が二本に分裂、まさしく獣のような姿へと進化する。


「痛ッ、て、にゃ、にゃによこれーーー!」


キャスが自身の変化に驚き声を上げる。


「慣れろ!その姿のほうが戦いやすいはずだ!」


そう言われたことで、キャスは自分の肉体へ意識を向ける。


「たしかに、にゃんだか力が湧く!でもにゃぜかしゃべり方が変になってるにゃぁ!」


活性化によって変化する姿はより力が解放され、生物として覚醒した姿。


キャスは本能的に新たな肉体の使い方を理解した。


「いっくよー、キャス、ますたぁ!」


「ああ、プル、俺とキャスで穴を開ける。もう一度中から破壊できるか?」


「もっちろん!」


(と言ったはいいが、この層高強度、火炎突じゃ抜けないな……ならば!)


柊は胡狼をホルスターに戻し、詠唱を始める。


「鉄より硬く、金剛のごとく、この拳に宿れ__金剛拳。」


拳に鋼属性魔力が集まり、拳の表面が金属光沢を帯び、鋼のごとく硬くなる。


「キャス!そいつを固定しろ!だが危険を感じたらすぐ避けろ!」


「うぅ……わかったにゃ!」


キャスが獣化したことによって増加した腕力を用い、砂に潜ろうとするサンドワームを刀で受け止める。


「ぐ、力強ッ、長くはもたないにゃよ!」


「わかってる!」


柊はさらに活性化によって大幅に強化された脚力で30m上空まで跳躍し、詠唱を続ける。


「燃やし、赤熱せよ__熱焼!!」


拳へ追加で火属性の魔力が流れ込み、赤く熱される。


「はぁぁあああーーーー!!!」


落下の勢いを利用しながら体を回転させ、全体重を乗せた一撃を打ち出す。


ドバアアアァァァンッ!!!!


「GUUUYYYYAAAAAAAAAAA!!!」


凄まじい衝撃がサンドワームを襲い、下へノックバックされると同時にその装甲が大きく砕ける。


(やはりさっきより硬くなっている、が、これを喰らって無事でいられるかわけがない!)


同時にキャスが離れ、プルがサンドワームへ駆け寄る。


「今だキャス、斬れ!」


「纏え、引き伸び、奴へ届け__長風剣!」


残る他面の装甲によって完全な両断とはいかなかったが、風の刃は深々とサンドワームを切り裂き、大きな傷を生み出す。


「プル!」


「うん!」


プルがその傷へ接触し、侵入を侵入を試みる。


「GYUUUUAAA!!!」


「うりゃッ、ダメ、入れない!肉が硬くて潜れない!」


プルは肉の仇への戦友から血管への侵入に切り替えるが、血に阻まれ時間がかかる。


そのうえ、再生も始まっていた。


再生してくる肉体をプルは『溶解補食Ⅱ』で溶かしながら再生と拮抗させようとするが、やはり再生速度のほうが早い。


(再生……まさかアンデッド化?さっき再生するときも、再生前と比べて魔力波動が変わった。少しずつ肉体が変化させられているのか。)


「プル、これで攻撃してみろ!」


プルへ陽鉄のドスを投げる。


プルはそれをキャッチすると、サンドワームの傷へ突き刺す。


「GYYYYOOOOOO!!!」


再生速度が明らかに低下し、サンドワームが激しくのたうち回る。


潰されないように柊とキャスは距離を取り、プルは侵入を続ける。


「魔力濃度が高い位置を探しながらそのまま侵入を続けろ!、キャス、さっきみたいな斬撃また出せるか?」


「行ける!この体にゃらもっと強力な攻撃でも!」


キャスの迷いのない返答を聞き、柊は笑みを浮かべる。


「だったら、全部切り裂く準備をしておけ、俺は固定しに行く!」


柊は金剛拳を維持しながらサンドワームを掴む。


(こいつは頭部からではなく、残った部位から頭部を生やして再生した。となれば、コアがどこかにある。プルなら『魔力探知Ⅲ』でそれを見つけられる。)


「刺し貫け、鉄楔。」


脚から鋼属性魔術で楔を伸ばし、自身を固定。


サンドワームが地面に潜らないように手に力を込める。


「プル、見つかりそうか!?」


プルは振りほどかれそうにながらも自分の肉体を血管からサンドワームへの侵入が進んでいる。


「ざっくりとならわかる!頭部から45節あたりの場所!」


「ならいったん離れろ!キャスは切断の準備を!」


「すでにできてるにゃ!」


プルが肉体を回収してサンドワームから飛びのくと同時に柊も鉄楔を解除、そのままサンドワームが地下に潜る。


その隙に柊はリロードを実行し、物理的に『砕く』力が強い魔弾を選択する。


「下からくる、集中して避けろ。」


柊がそう言い終わって間もなく、地震のように周辺が揺れ、地面から激しい魔力反応が迫る。


「HUUUUYYYYYYYAAAAAAAAAAAAAAA!!!」


プルの下からサンドワームが飛び出し、その衝撃でプルが空へ吹き飛ばされる。


「うぇあ!?」


プルはそんな声を上げながらも、素早く反応して手に持つ陽鉄ドスをキャスへ投擲。


「にゃ、危にゃいじゃにゃいか!」


「とどめはそれを使え。」


キャスにそう言って柊はサンドワームに右手で接触。


その状態で左手の伸牙の撃鉄を起こして引き金を引き、魔弾を発動する。


「『魔力吸収』。」


闇属性の引く力を用いた3節魔術、基本四属性や無属性よりも扱いは難しいが、柊は急ごしらえで魔弾を完成させていた。


「GHEEAA!?」


右手からサンドワームの魔力を吸い出し、それによってサンドワームが脱力する。


「燃やし、赤熱せよ、熱焼!!」


もう一度腕を赤熱させた状態でさらにサンドワームの第45節の部位へ拳を振るい、殴り上げる。


「GYUHEAA!」


サンドワームの外殻が砕け、体が上へ持ち上がる。


「やっぱりそこ!他と比べて魔力濃度が高い!」


「ああ、そうみたいだ、思いっきり切り刻め!キャス!」


「わかってるわ……」


キャスが構えをとる。


プルから投げられた陽鉄ドスを姿勢を低くとった状態で納刀。


(抜刀術か!)


柊の予想は的中した。


「纏え、引き伸び、それでも短く、一絶ちは切り裂く_長風剣・圧縮!!」


キャスは活性化によって変化した骨格を巧みに利用し、抜刀術を放つ。


同時に『風滅迅雷(ゲイルライジング)』を発動させたのか、キャスの体はバチバチと雷を纏った。


颯魔(さつま)流暗殺術__『幻想死速(レリス・ファンタジア)』!!」


今まで成しえなかった速度。


活性化によって肉体はより速く、より強く、ついにその壁を突破した。


その剣先は、音を置き去りにした。


ッ!


キャスの剣は音速を突破したことによって衝撃波を発し、サンドワームを完全に両断した。


「GHHHYYYYY!!」


サンドワームが叫びを上げ、傷口からは半透明で鮮緑色の球体が現れる。

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