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平成4年4月25日(クラスマッチ③)
ピッチにたった自分は久しぶりのグランドに若干戸惑いはしたが、心が鳴った。
中学までは芝だったが、土のグランドも他の強豪中学の練習試合で経験済みだったので意外とすぐに慣れた。
試合が再開すると、すぐにボールが自分の足元に来た。
来たっ。
すぐにボールの感触を確かめながら、トラップも自分のコントロールの範囲内にしっかり入り、いい感触だと思った。
が、すぐに背後に人の気配を感じた。
クラスマッチなのに、しっかり足を削ってくる。
なんだ、こいつはと思い、相手の顔を見ると平山先輩だった。
さっきまで、自分と同じで大してやる気のないプレイだったのに急にやる気を出してきたのだ。
このままではボールをとられると感じ、味方にパスを出して離れようとしたときに平山先輩はわざと足をだし、自分はバランスを崩した。
くそっと思い、先輩の顔を見たとき先輩は、こっちを見てニヤッと笑った。
やってやるぞ!
自分の中で、何かが切れる音がした。