98/152
逃避
パウルスは、たった今その手にかけたウェナジオ兵が、剣術を本職とする者だと推察していた。そして実際、それはその通りであった。
彼はその敵兵を仕留めるにあたり、実力者の首を跳ねるという、驚愕に価する手段を意図的に選択した。
それは後続のウェナジオ兵たちへの威嚇の効果を期待してのことであった。
パウルスは敵の首を獲ったその剣を振り終えると同時に、一瞬、続き迫りくるウェナジオ兵たちへ睨みを利かせると、素早く身を翻し、再び逃走に戻った。
そうして漸く、パウルスを含む集団は、森林地帯へと足を踏み入れることに成功。
ウェナジオ兵もまた続々と森林地帯へ突入し、なおも追撃を続行したが、パウルスの安全確保は迅速であった。
パウルスは、先ほど敵兵を仕留めた直後から開始していた呪文の詠唱を早々に終えると、巨木の陰に隠れ、『衝撃』で足下の空気を破裂させ、直上に跳躍。
その後は樹上に潜むことで敵兵の到来をやり過ごし、また念を入れてその場で一夜を明かした。
翌日、再集合の地点として予め定められていた、近隣都市の郊外へとパウルスが赴いたとき、そこに居合わせた隊員の数は、元の三割ほどであった。




