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剣帝と呼ばれた一兵卒  作者: もやひと
リーベルトルムの戦い
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 パウルスは試されていた。

 此度の戦におけるブラナテラ軍の大将はルドヴィクスであり、パウルスを特別攻撃隊の一員としたのは他でもない、ルドヴィクスの意向であった。

 そして特別攻撃隊員に任命されたことは、ともすれば捨て駒に近しい扱いを意味していた。

 特別攻撃隊の役割は、ウェナジオ軍と交戦し、その姿をリーベルタの者に視認させることであった。

 すなわち隊が簡単にその役割を果たそうと思い、また安全性を度外視するならば、リーベルトルムを取り囲むウェナジオ軍に対し、正面から戦いを挑めばよい。

 城塞都市リーベルトルムは、小高い丘陵の中央に位置しており、その見晴らしの良さから、接近した者の姿を確実に捉えられる地形にあった。

 そのような場所で交戦すれば、必然、城壁の上に居るリーベルタの見張り役がそれを発見する。

 するとウェナジオに抗戦の意思を持つ、ブラナテラとスクドゥマの存在を認識させられ、やがて増援があるという予測をリーベルタに与えられる。そうしてリーベルタの降伏を抑制できる。

 つまるところ特別攻撃隊は、時間稼ぎのための駒――。

 過去にはルドヴィクスの切り札として無二の戦果をも挙げたパウルスであったが、ルドヴィクスはその得体の知れなさに、畏怖の念を抱いていた。

 またパウルスが危機的な状況下に置かれた場合、一体どのような結果をもたらすのか、純粋な興味もあった。

 ルドヴィクスがパウルスを特別攻撃隊に配したのは、このような事情からであった。

 かくして、本隊のそれに先立ち、特別攻撃隊の作戦行動は開始された。

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