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射撃
パウルスは、ブラナテラ精鋭部隊の最後尾に居た。またその手には、剣を携えていなかった。
そしてカエロヌが大公は、その親衛隊の後方にて、剣によってその胸を貫かれていた。
その結果を目の当たりにして察せられる事実。それは恐らく、パウルスの投げた剣により、大公が討たれた。
だが誰も、その過程を目撃していない。
気づいたときには、既にそうなっていた――。
状況を理解していたのは、パウルス、ただ一人だった。
パウルスが放ったのは、『光速射撃』――彼が独自に編み出した魔法であった。
原理は『衝撃』による音速の突撃と同じ。
これを超高出力、超高指向性に。そして発現の形態を、剣の形状に適したものへ改良し。手のひらから、自身の剣を、矢の如く射出した。
それより先に起こった、ブラナテラ兵とカエロヌ兵が衝突の第一波。その直後に生じるであろう、僅かな刻を。僅かな隙間を。
パウルスは予め狙っており。
目論見通り、その一撃を見事に的中させた。
――これが、事の全容だった。




