凪
対リーベルタ王国、対フォルティド公国と、度重なる軍事衝突により、ブラナテラ王国は、その兵力を大きく消耗した。
そのため王室の判断により、ブラナテラは、当面の戦争行為を回避することにした。
まずは、先に撃退を果たしたフォルティド公国へ、五年間の休戦協定を持ち掛け、フォルティド側もそれを承諾。
また、豊富な食糧を有していたブラナテラは、それを強みとして、軍力を強みとする隣国、スクドゥマ王国と同盟を結ぶことに成功。これを他国への牽制とした。
ところで、続く戦にて多くの功績をあげたパウルスへは、異例の速さで昇進の話が舞い込んだ。
が、パウルスはそれを辞退した。
曰く、まだそれに値する経験が無いからと、もっともらしい理由を述べたが、本心は、階級が上がるにつれて命を狙われる危険性も上がるから、というものであった。
かくして、フォルティド公国との交戦を最後に、ブラナテラでは四年間、戦争が起こることは無かった。
しかしこれが嵐の前の凪がごとく、束の間の平穏であることは、まだ誰も、知る由もなかった。
■あとがき
いつも本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。
前々回より、章末に『あとがき』として一言添えてみることにしました。
というわけで、本章は今回にて完結。
次回より新章に入ります。
(ちなみに第一章『アグムルーベ街道戦戦』、第二章『アグムルーベ平原戦』の章末にも、当初は無かったあとがきを、次回予告的な形で加筆しました。)
■お知らせ
二つ、告知です。
一つ目、小説を書き始めるようになって思ったことを、エッセイという形で投稿してみました。
タイトルは「執筆活動にまつわる色々」です。不定期連載。
二つ目、新作小説「少女を拾った傭兵、傭兵に拾われた少女」を、昨夜、投稿しました。
連載形式をとっていますが、実質短編小説です。完結済みです。
ちょっと覗いてみてもいいかな、という方は、読んでいただけると嬉しいです。
場所はたぶん、作者のマイページ――から作品一覧を辿っていく――のが正規ルートなんでしょうか……?
(すみません、なろうの仕様がよくわかっていません)
ともあれ、引き続き。
どうぞよろしくお願いいたします。