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剣帝と呼ばれた一兵卒  作者: もやひと
ムンティホルムの戦い
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標的

 小隊長ヤコブは言葉を続けた。

「要するに、指揮官のみに狙いを定める。さらに対象を、前衛側のそれに絞る。これならば、標的は一人か二人、多くても三人程度だろう」

 ヤコブの提案に、一同の意見は賛成で一致した。

 もっともパウルス――彼の心中は、本隊へ戻ってそこへ合流し、この戦を適当にやり過ごしたい、というのが本音ではあったが。

 ヤコブは、作戦の概要を次のように語り始めた。

「迎撃の位置は、今居るこの地点だ。待ち受けて奇襲をかける。手順としては、まず、魔術で敵を前後に分断したい。可能か?」

 ヤコブの問いに、最年長の魔術士が辺りを軽く見回し――頷いた。

 ヤコブも応じて頷き、さらに話を進めた。

「すると、指示を出す者、代表して指示に答える者、隊を先導する者などが出てくる。それが標的だ。標的さえ打破できれば、それ以上の深追いは不要。失敗しても退く。各員、役割を果たしたら身を隠せ。作戦後は、草原寄りにて再集合だ」

 その後、隊員たちは作戦行動に必要な準備を行い、全員がその身を潜めた。

 間もなく、木々の合間に人影が見え隠れし始めた。

 それはやはり、フォルティド軍の兵士。

 その数、約70名――!

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