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剣帝と呼ばれた一兵卒  作者: もやひと
ルトゥムの戦い
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捨て石

「ルトゥムはくれてやる。が、相応の代償はいただく」

 リーベルタが智将、トゥッリスの計画は、ルトゥムを捨て石にしようというものだった。

 そしてまた、その計画は、リーベルタ上層部の承諾をも得ていた。

 ルトゥムはリーベルタ王国にとって、元より経済的価値が低かった。

 リーベルタ領は全体的に土壌の質が悪く、特にルトゥム地区はそれが顕著である。

 ルトゥム地区ではリーベルタが渇望する農業の発展はおよそ不可能であり、従って工業が産業の中心だった。

 だが、その肝心の工業も、たびたび起こる地盤沈下の影響で利益は奮わず、それに伴い税収も減免が相次ぎ、少なくとも財政面、産業面において、ルトゥムを領内に置く価値は無いに等しかった。

 トゥッリスはその事を巧みに説き、リーベルタ上層部にルトゥムの放棄を納得させた。

 さて、そのトゥッリスの計画だが、概要は次のようなものだった。

 トゥッリスは魔術士であり、率いる兵種も魔術士が中心。そして魔術隊の運用に長けていた。

 しかし、魔術士は剣術士に対して相性不利。

 従って、地の利があるルトゥムにて、ブラナテラ軍の剣術隊を可能な限り破壊する――これがトゥッリスの描いた計画であった。

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