×頴娃ー03(憧憬)
ギギギ、と軋みながら、そのドアは開いた。
さすがに慣れて来たが、何回聞いても好きになれそうにない音だ。
「ああ、茉莉さん。今日も何か本をお探しですか?」
「いや、まぁ、うん、そうと言えばそうかな。」
「…………………?歯切れが悪いですね?」
「………うん、あのね、今日は、明確に探す本を決めてある訳じゃないんだ。」
「はい。」
「つまり、頴娃君のお勧めを読んでみようかなと思って。」
「そうですか。………僕の面白いと思う本が、必ずしも茉莉さんも面白いと思うとは限りませんよ?」
「うん、それでもいいよ。」
「なら、少しそこで待ってて下さい。」
頷いて、頴娃君は本を探しに行ってくれた。
待っている間、なにげなく恐竜の骨を眺める。
こんなに大きな生き物が、昔は何千匹もいたのだ。いや、何万匹かもしれない。
そんな時代に生まれなくてよかった、と、どうでもいい事を考えていると、少年が、両手で本を抱えてやって来た。
「う、え、さ、流石にそんなには読めないよ。」
「あはは、違いますよ。とりあえず見繕ってきたので、この中から読みたいのを選んでください。」
言って、横の机に本を並べだす頴娃君。
並べながら、言葉を続ける。
「僕ね、恐竜が好きなんですよ。子供っぽいかもしれませんが、やっぱりかっこいいなぁって。」
話題がえらく飛んだな。
さっき僕が、割かし真剣に、恐竜の骨を見ていたからかもしれない。
「確かにカッコいいね。でも、ちょっと怖くない?」
「そうですね、………でも僕は、一度見てみたいです。」
その気持ちは凄く分かる。
「そうだね、危なそうだけど、一回見るのは面白そうだ。………………コレ、と、あとコレを借りてもいい?残りはまた今度借りに来るよ。」
その後も僕らは、恐竜の話や、本の話で、小一時間盛り上がった。




