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×フォリスー02(大荷物)

「あちょっとそこの貴方、貴方よ貴方、聞こえないのかしら、聞こえてるでしょ、聞こえててわざと無視するなんて、私に喧嘩を売っているのかしら、きっとそうね、そうなのね、それならそれで私にも考えがあるわ、まさか腕力で自分が勝ってるからって、自分が負ける事は無いなんて思ってるんじゃないでしょうね、男女差別の極みだわ、大体貴方は―――」


あー、困ったな。


背後から特徴的な喋り方が聞こえて来た時に、僕が最初に考えた事はそれだった。



別に急いではいないけど、できればスルーしたかった。

というかそもそも、何でいつもあんなに喧嘩腰なんだろうか。

誰に対してもそうなのか、僕に対してだけそうなのか、気になる所だ。


もし後者なのだとしたら、理由を探さなければいけない。

気がつかないうちに、フォリスの傷つく事を言ってしまっていたのかもしれないし。


「別に喧嘩する気はないよ。…………ていうか凄い荷物だね。」


フォリスは、ダンボールを両手で抱えて持っていた。

目の少し下まで積みあがっている。見るからに重そうだ。


「やっぱり気付いていたんじゃない、そうやっていつもいつも誰かを無視し続けて生きるのね、聞こえなかったなんていうのは言い訳よ、聞こえないんじゃなくてそれは聞こうとしていないっていう事なのよ、聞かなかった事にしても結局は意味なんて無いのよ、結局は自分が―――」


今度は何か語り始めてしまった。

……確かにさっきは、聞かなかった事にしようとしたかもしれない。


「……いや………まぁ…………持とうか?」


「―――つまり、っ?」


フォリスが言葉を止め、不思議そうな目で僕を見てきた。


そんな目で見られても、ね。


「いや、だからさ、持とうか?その荷物。重そうだから。」


「別に重くないわ、たくさん入ってるように見えて軽いのよコレ、体積イコール質量なんていうのは通用しない場合が多いのよ、何が重くて何が重くないかを考えるのが大切だと思うわ、それより貴方そこどきなさいよ、レディが通ろうとしていたら道を譲るのが当然でしょ、それに―――」



ん?結局どっちだ?持って欲しいのか?


どちらなのかは分からなかったが、とりあえず道を開けると、フォリスは無言で通っていった。


それを見送りながら僕は、体積イコール質量は、通用する場合の方が多いのではないか、と、どうでもいい事を考えていた。

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