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×鞘香ー02(職人気質)

「んー、やっぱりここの角度が気になるなぁ。茉莉くんはどう思う?」


一見するとタンスにしか見えない【作品】の、上から三番目の引き出しを執拗に気にしながら、鞘香さんが僕に聞いてきた。


いや、正直他の部分との違いが分かりません。

こういう時英知に相談できると楽なのだが、生憎今は席を外している。


………タンスに見えるけど、いつもと同じだから、そこら辺に「気になる」要素が隠れているんだろう。

いや、でもなぁ、外見と中身が全くデタラメなのだから、目の前のタンスが、実際は何なのか予測の立てようが無い。

かと言って、明らかに質問をされているのに無視をする訳にもいかないし。


致し方ない。思ったままを答えよう。



「………特に問題は無いと思うよ。」

嘘は言ってないから大丈夫………だろう。


「を?そうかな?でもやっぱりここのフォルムはもっと尖ってた方が。……んー、考えすぎかなぁ。」


こういうのを、職人気質というのだろう。

自分の作品にはとことんこだわりたい、という。


んーんー唸っている鞘香さんが、問題視している部分を、もう一度目を凝らしてよく見てみる。


木で出来たそのタンス―――らしきもの―――の違いは、やはり僕には分からなかった。

強いて言えば、木目の模様が違うが、そういう問題では無いのだろう。


僕が居たら逆に邪魔になりそうな気がしたので、部屋を辞す事にする。



部屋を出てしばらくしてから、結局アレは何なのかを聞くのを忘れた事に思い至った。



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