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相棒となら異世界だって!  作者: 眠熊猫
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魔力ってこれかな?

とりあえず日本酒もどき(絞り酒と仮に名付けた)のことは置いといて、静思をしてみる。

座禅を組んでも正座でも良いけど、今日は草の上に大の字になって寝転んで目を閉じる。

そうして深呼吸しながら血液が身体中に流れていることを意識する。

心臓からぐるぐる回って…。あれ?

お腹の辺りから回っているみたいな気がする。この世界の人の心臓ってお腹にあるのかな?


疑問を抱いてたら静思にならない。身体を起こしてリュートに声をかける。リュートは結跏趺坐、つまり座禅を組んで目を閉じてる。

「リュート、ごめん。」

「何だ?」

「あのさ、この身体の心臓ってどこにある?何かね、お腹にあるような気がするのよ。」

リュートは目を開けて

「流石リンだよな。多分それが身体の中の魔力だろう。」

「気の流れに似てるような?」

「そうだな」


そっか。ならば。私は履いていた靴と靴下を脱いで裸足になって立ち上がる。

太極拳の基本姿勢を取って目を閉じて「気」を意識する。

…やっぱり。

「気」が至るところにある。すごく薄ーくだけど。

土から、草から、木々から「気」が微かに揺らめいて出て来てる。それがまるで煙のように風に揺れながら少しずつ空に向かっている。

それを私の身体に取り込めれば、もしこの「気」が本当に魔力ならばだけど、無限に魔法が使えるかも。

一つ深呼吸する。そして自分のごく近くで揺らめいている「気」のリズムに呼吸を合わせていく。

しばらくすると外の「気」が私の中に入って来たのが判った。呼吸で空気を吸い込む度に入ってきて身体が少しずつ温かくなって、軽く感じる。気持ち良い。そこにいきなり強い風が吹いてきた。 えっ?浮遊感?


「リュート!」

思わず叫んで目を開ける。私は宙に浮いていた。今も上昇している。ゆっくりとだけど。

リュートも静思を止め、浮いている私に気づくと慌てて立ち上がる。

「リン!」

でも、リュートが立ち上がって手を伸ばしても私の足に届かない。でも私はリュートの焦った顔を見て、かえって落ち着いた。

リュート、大丈夫だよ。私のことだもの、自分で何とかするよ。

深呼吸して、身体の中の「気」を少しずつ吐き出していく。少しずつ、少しずつ、身体が降りていく。

降りきって地面に足が着く。リュートが私を抱きしめた。


リュートに問われるまま、私がしたことを説明したけど、リュートには私と同じことは出来なかった。

外にある「気」を感じ取れないらしい。

でもリュートは外の「気」を取り込めない代わりに自分の中の「気」を凝縮して取って置けるようになったそうだ。取って置くってどこに?

それをイメージが出来ない私には出来なかった。個性の違いというやつなんだろう。きっと。でもリュートが喜んでるからいいか。


そういえば。この「気」、本当に魔力なのかしら?


このハプニングのせいで結局今日の鍛錬は静思だけになってしまった。








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