9
リベルトside
「俺の名前…リベルトだ。」
「そっかリベルトさんか。」
「え?!り、リベルトさん?!」
「なんだガキ。」
「いや…もしかしてって…な、なんでもないです!」
俺見て何か言いたげにしてたのを止めやがった。
最後までいいやがれ!
と思うはずが思わねぇ…。
「1度、マーダラーさんの所に戻るよ。」
「マーダラー?」
聞き捨てならねぇな!
なんでこいつがって思うはずが思わねぇ…デジャブだ。
この不思議な感覚に早くもなれそうだと
心の隅っこで思っていることは全力で否定した。
そんなこんなでマーダラーの住処に訪れた。
「おぉ、帰ってきたのか。ん?それにリベルトもだと?」
「マーダラーさん、ただいま帰りました。」
「おかえり。なんともすごいメンツじゃないか。」
「あ、俺の仲間ラッセルとカレンです。この人はおっちゃん。ラッセル達を助けてくれた人です。」
「初めまして!おっちゃんです!よろしゅう!」
「こちらこそ宜しく頼むよ。」
「あ…あの!ボク…」
ガキが、マーダラーと目配せした。
なんだ。何が起こる?
ガキがあるものを俺に持ってきた。
「これ!」
そう言ってガキが、差し出したのは奇妙な腕の形をした篭手のような鉄具があった。
「中々変わったモン持ってやがるな」
「それって!!」
赤目の男がキラキラとした瞳で見た。
俺はその鉄具をじっくりと見た。
「これ…つけて欲しいんです…!」
「は?」
「うわぁーー!すっごい!それ作ったの?!もうあれじゃん!鋼のピーのキャラクターに出てくる女の子…そのものじゃん!性別違うけど!!」
赤目の男は何だか興奮していた気色悪ぃ
「お前が作ったのか?」
「うん…えっとマーダラーさんがね。」
「そう、エジンに…設計し、組み立てる様に言ったのは全部私だ。」
そして、マーダラーが言い淀む。
そんな時赤目の男がわざと声を上げて言った。
「無音結界」
「何をした?」
「結界貼ったの。エジンと俺マーダラーさん、リベルトさんしか聞こえない状態にしたんだよ。」
「ほぅ…でだ、マーダラー。どういうことか説明しろ。」
「そうか。ありがとう。アレン。何だか今日はあいつが大人しすぎるから気持ちが悪いが。リベルト…理由は簡単だ。それを付けてエジンを連れて行って欲しいのだ。」
「ほう?」
「彼は誰よりも上手く機械マシンを扱う技術者エンジニアを目指しているんだ…。さっき聞いた話だとお前もこの国への復讐を望んでいるのだろう?」
「へぇ〜そうだったんだ。」
「まぁな。お前はいちいち横槍をいれるな。」
あぁ、気持ち悪ぃ。怒りの感情が湧かねぇ…。
「ごめんね。話をどうぞ。」
「いいんだよ。リベルト改めて言おう。彼は私達の知っている技術者を遥かに超えた才能を持っている。連れて行って損は無いと思うが?」
「……」
「彼が持っているのは《戦術的武装篭手タクティカルアーマードガントレット》略して「TAGタグ」だ」
「篭手ごときで何ができる?」
「まぁ待て、コイツはお前の失った左腕になるんだ。つまりソイツは大いに役立たつという訳だ」
「ほう?こんな鉄クズの塊が腕になると?信じ難いな」
「いやほんと便利だから!持ってて損は無いよ!!」
だからいっぺん地中に沈み…やがれなんて思わねぇ…。
そこでガキも会話に参加してきやがった。
「リベルトさん!この篭手には5つの装備が施されてるんです。神経回路を繋ぐことで自分の意思で切り替えが可能なんですよ!」
「ほほう?5つか…腕もないしそれを付けられるなら頼むか…」
「えー?!5つも?!すっごい!!やばい!!錬金○じゃん!絶対そうじゃん!え?!俺も混ざる!絶対混ざる!!」
この男を止められる男は今この時だけ誰もいなかったのは
俺が知るよしもねぇ。
無論、麻酔が無いから取り付けるのも激痛だな。
仕方ねぇ。
俺ははため息をつきながらドカッと椅子に座った。
それからコートを脱いだ。
「え?リベルトさん?」
ガキは少し戸惑ったような顔で言いやがる。
いちいち反応がイライラなんてしねぇ…。
「付けるんだろ?早くしろ、失敗は許されないのは分かってるよな?しくじったら頭を潰すから頑張れよ?」
「待ったァァァァ!!!」
「な、なんだ?!」
ニタニタと笑みを浮かべる赤目の男が俺の瞳に映った。
俺とこいつが語り合うまでそう長く時間はかからない。
────
──
─
アレンside
俺はニヤニヤと笑っていた。
だってさ??こんなに楽しそうなことってないじゃん?
夢じゃん?ロマンじゃん?!
ふふふふふふ…ははははははは!!
みんなが俺を見てドン引きしてることなんて気にしない!!
「エジン…俺に任せてくんないかな?!」
「え?いいですけど…」
よっしゃァァァァ!!!あっさり許可貰っちゃったぞ!!
ふふん!!
「よし!リベルトさん任せとけ!!」
「なんだテメェは!!!」
奇妙なやつを見る目でリベルトさんは俺を見る。
こんな目は日常茶飯事だったし慣れている。
「黙ってて。」
俺は唱えた。
神経接続!雷土錬金術付与!!
また光った。
まばゆい光。
リベルトさんの手には、TAGと呼ばれるものがついていた。
「いつの間に終わりやがった?」
そんなリベルトさんの呟きは無視して俺は見た。
────────────────────────
TAG《戦術的武装篭手》
[レア度]☆☆☆☆☆☆☆☆☆★
5つの武器が搭載されている戦闘に特化されている。
自分の意思で5つの武器の切り替えが可能。
・サブマシンガン ― 100発/1000発
・3連ショットガン ―6発/60発
・スナイパーライフル3発/15発
・マチェット
・クローショット(ワイヤーフック)
同時に2種類を装備可。リロードも自動。だが、それぞれ7秒かかる欠点と切り替え、変形スピードも2秒かかる。
それぞれの弾薬ポーチに1分に約5%の弾薬を製造。
重量35kg。
雷と土属性の錬金術を、使うことが可能。
戦闘の動きにて、次に使えるまでの秒数が減る。
発動までの秒数は術者本人のみしか分からない。
───────────────────────
おおおおおおおおおおおお!!いいねいいね!!
って事は…錬金術発動するにも戦闘が得意なら有利ってことじゃん?いいもの付与出来た!!
「あっという間に終わっちゃった…流石アレンさんだよ!」
「いやぁ…ごめんね?すこーし、改造しちゃった!」
「なにか、よく分からないですけど、全然大丈夫です!」
「俺が大丈夫じゃねぇだろうが!」
そんな彼のツッコミは、スルーした。
聞かなかったことにした。
感謝してよね!
これは運命さだめだったのだと俺は知ることになる。
この後…俺は思った。ここには二度と帰ってこないかもしれないと。だから、お礼として…マーダラーさんに箱を託した。
恐らく…マーダラーさんなら解けるだろうと。
簡単な謎解きである。
そうして俺達は、コウとネロを探す旅に出たのであった。
✡✡✡✡
マーダラーside
「これはなんだ?」
「これはカラクリ箱です。」
「本当に箱なのか?」
「はい箱です。マーダラーさんならきっと解くことができると思います。中身を見てどう使うかは貴方次第です。ちゃんと紙も入れおきましたから。まぁエジンに書いてもらったんですけどね。」
「ほぅ。分かった。最後に聞きたいことがある。あれ「リベルト」に何をした?」
「一時的に、封印してるだけです。」
「そういう…事か。」
彼の言葉に理解した私は何も言わなかった。
彼はそう言って去っていった。
そして私は箱と戦う羽目になった。だがしかし、
ひとつ分かれば後は簡単だった。
何重の仕掛けになっていた。押してみたり引いてみたり。
音が分かれば…たやすかったがな。
中には札束100枚…そう。100万円と葉っぱが2枚入っていた。
そこに紙があったアレンの字で。
”死盗の葉 効果は若返り。1度しか使えない。2度使えば最初の年齢より老ける。特別に2枚入れとくね アレン ”