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歪んだ輪舞曲(ロンド)〜鉄の処女と白銀の駿馬〜 ――私の婚約者(馬車)が、元婚約者の婚約者(馬)と不倫していました。※乗れません  作者: 山田りく
1章 私の婚約者(馬車)が、元婚約者の婚約者(馬)と不倫していました。

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激突する二つのフェティシズム

 社交界の至宝と謳われた侯爵令息エドワードと、子爵令嬢セレナの婚約破棄は、あまりにも醜悪な罵り合いだった。


 セレナは激しく扇子を机に叩きつけた。


「もう限界よ、エドワード! 見なさい、私のこの激しく叩きつけた扇子を! バチーンって言ったわよ、バチーンって!」


「言葉を慎め、セレナ!」


 エドワードも負けじと端正な顔を怒りに歪め、セレナを指差す。


「君こそ、その目が完全にあの白馬のつなぎの角度、理想的な45度の傾斜しか追っていないじゃないか! 僕がステップを踏むたびに、君の指先は空中で馬のブラッシングの動きをしている!」


「何よ! アレクサンダーの毛並みはシルクなのよ! あなたの愛車『マリアンヌ』のC型板バネサスペンションが生み出す、あの淫らな衝撃吸収性と一緒にしないで!」


 エドワードは胸ポケットからワックスを取り出し、これ見よがしに磨いてみせた。


「我がマリアンヌを愚弄するか! あのマホガニー仕上げの木製車輪スポークと西陣織の内装ライニングの美しさに比べれば、君の馬のかんの細い貧弱な脚なんて、ただの棒切れだ!」


「そこまで言うなら婚約なんて破棄よ! 破棄破棄! はい破棄!」


「望むところだ! 教会に多額の寄付をしてでも、僕はマリアンヌと正式に婚約してやる!」


「私もアレクサンダーと聖壇に立つわよ! 見てなさい!」


 社交界を揺るがす大騒動の末、二人はそれぞれ前代未聞の暴挙に出た。エドワードは最高級特注馬車『マリアンヌ』と、セレナは純血アラブ種の駿馬『アレクサンダー』と、それぞれ正式に「婚約」したのである。

楽しんで頂けたら幸いです。


1章の改行を見直して、読みやすくしました。

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