1/91
プロローグ
◇
「ごぼっ、がばっ……!」
どうして……どうして、こうなるんだよ!
水色や緑色に染まる視界。液体のように流動する物体が俺の身体全てを包み込んでいる。
右手に持つ漆黒に染まった剣をいくら振り回しても斬る事も押しのける事もできず、うんともすんとも言わない。
何もできない、息もできない状況に働くのは視覚と思考だけ。
水色や緑色に染まった視界の向こうには無数のモンスターの死骸。
さっきまで意気揚々にモンスターを倒していた筈なのに、一変したこの状況。
危険だと警告する危機感知が作用しても何もできない。もう手詰まりだと。
「がばっ、ごぼぼっ……!」
それもこれも全てあのクソジジイが悪い!
思い出すのはあのクソジジイの言葉。
俺に宿る能力がマイナスの作用をする。
だから、どうして、そんな能力があるんだよ!!
くそっ! あのクソジジイがぁ!
神がどうした! そんなの関係ない!
絶対に、絶対にぶん殴ってやる!!
◇