俺の彼女が重すぎる件について 4話
「んーー!美味しい!」
舞衣はチョコレートパンケーキを食べて喜んでいた。
あまりの美味しさに頬に手を当ててうっとりとしている。
「はは、そりゃあ良かった。」
「直輝くんも食べる?アーンさせてあげるよ。」
「あ、いやそれは……。」
「えー、いいじゃん。そうしないとデートの満足度が下がるかも〜。」
こんな感じでずっと機嫌が良い。
俺も恐る恐るパンケーキをたべると、驚きの味だった。
まるでスフレを食べてるようなふんわりとした食感でそれでいて甘すぎないところも良い。
「……美味しい。」
「あはは、直輝くんほっぺにクリーム着いてるよ。」
「え、どこ?」
すると、舞衣は俺の頬に指を当てそれに着いたクリームを美味しそうに舐めとっていた。
「こ・こ♡」
その時は舞衣は妖艶な表情で少し恥ずかしくなる。
どうして彼女は人前でそんなに振る舞えるんだろう。
「ちょ……恥ずかしいからやめてくれよ。」
「えー、直輝くん顔真っ赤!」
……なんか、これが高校生のカップルのあるべき姿なのかなと少し考えてしまう。
舞衣は時にからかい、時に身体が触れ合ってイキイキとしていた。
しばらくすると二人で静かにコーヒーをすする。
「さて……なんか久しぶりにいい時間だったな。まだなんかやりたい事あるか?」
「え?んー、じゃあ直輝くんとの子どもを」
「すまん、それ以外で頼む。」
「もう……しょうがないな〜。」
相変わらず破天荒な言動は変わらないけどそれもそれで彼女の退屈しないところでもあった。
すると、彼女はピンと来たように立ち上がる。
「そうだ!ゲーセン行こ!」
「……ゲーセン?」
次に俺たちはカフェからゲームセンターへと行く。
なんか、ここに来るのも久しぶりだ。
というか、ガチの陰キャはゲーセンすら行けない気がする。
現に俺は自宅でモンハンとFPSばっかしてたし。
すると、舞衣がプリクラへと進んで行った。
「ねえ、ここ行こうよ!」
「プリクラ?まじで行ったことないからわからん。」
「まあまあ!入った入った!」
俺は恐る恐る入るとのれんの中は白一色で妙にプライベートな空間が広がっていた。
値段が書いてある。
400円!?高……!
「さーてと、やりますか!」
「ちょ……心の準備が。」
俺の静止も虚しくプリクラは起動される。
すると、いくつか指定のポーズがあった。
1個1個を電子音声が指示をする。
「じゃあ、まずは盛れるように頬に手を当ててー!」
「え?え……どうすれば。」
パシャリ
すると、写真を撮った俺たちが移される。
ポーズを決めた舞衣と、アタフタしてる不格好な俺が並んでいた。
「次は……ほっぺに指を当ててあざといポーズをしよう!」
「あざといポーズってなに!?」
「あはは……直輝くん固いよー。」
こうしてる間にまた無様な写真が取れてしまった。
なんか……すげー疲れる。
最近の女子高生ってこんなことしてるのか、順応性とか反射神経とか自分とは比べ物にならない。
「最後はー!大胆にキスをしてみよう!」
「はぁー!?え……え。」
「ふふん!直輝くん……えい!」
舞衣の顔が近くにあった。
黒髪がサラサラしていて、そこからホワイトリリーの香りがする。
唇は温かくて、ほのかに彼女の吐息を感じる。
「はーい!撮影終わり!次はー、落書きターイム。」
「「…………。」」
俺たちはキスしたまま固まってしまった。
あれ?終わったよね?
俺は今喋れないので舞衣の肩をポンポンと叩く。
でも、離れようとしなかったので息苦しくなりしばらくして離れた時には息が荒れていた。
「はあ……はあ……ちょ、舞衣?」
「あはは……照れてる直輝くんが可愛かったから捕まえちゃった。」
そう言って、またいたずらっぽい表情に俺はキュンとくる。
なんというか、今日の彼女は色っぽい。
見慣れてるはずなのに緊張してしまう。
1年間何となくやっていた交際でもうこれ以上ドキッとくることはないと思ったけど、今日の彼女は積極的でそれでいてまるで自分の心を絡め取るような……そんな感覚だった。
「ほら、直輝くんプリクラ取れたよ!」
「お……おお。」
プリクラを取ると、加工で可愛くなった舞衣と加工が強すぎて顔面の原型が留めてない俺がいて少し恥ずかしかった。
「待ち受けにしよーっと。」
「ちょっ……恥ずいから……。」
俺に構わず舞衣は有言実行もいいところで、あっさりと待ち受けにしてしまった。
俺たちは再びゲーセンを歩く。
すると、あるものを立ち止まってみていた。
「なんだ?なんかあった?」
「これ……。」
すると、ち〇かわのぬいぐるみがあった。
大きさは30cmほどあって、妙に情けない顔をしている。
そういえば母ちゃんもなんかグッズ集めてたなと少し遠い目をするけど、舞衣はどうしても欲しいのかクレーンゲームを動かす。
しかし……
「あれ、アーム弱すぎない!?掴めてすらいないんだけど!!」
「ふむ……。」
さらに彼女は白熱してお金を投入する。舞衣は1度欲しくなると凄まじい執念で取りに行こうとする。
いつもは機械に詳しいのと高い頭脳で欲しいがままに願望を叶えていたけど、クレーンゲームだけはからっきしだった。
「もうー!1500円も投入したのに全然動く気がしない!!」
「……貸してみろ。」
「え?」
俺はしばらく様子を見て理解した。
このち〇かわは顔がデカすぎて、アームの確率を引けないと自重で落ちてしまう。
なので身体だけを持ち上げてみると、身体がアームにつっかえて絶妙なバランスをキープさせる。
すると、穴の上で止まりあっさりとち〇かわは俺たちの手元に入っていった。
「すごい!すごいすごい!直輝くんこんな特技あるんだ!」
「……まあ、見てだけだよ。」
舞衣はとても嬉しそうにち〇かわを抱きしめてぴょんぴょんと跳ねていた。
いつもは怪力と圧力が印象的な彼女がこんなにも喜ぶとは……意外と悪い気はしなかった。
「これ、大事にするね。」
「おう。」
そう言って喜ぶ彼女はとても嬉しそうに微笑む。
今日だけで何度も彼女の知らない面を見れた気がした。
その度に、ドキドキとして照れ隠しをする。
「よし、そろそろ帰るか。」
「うん!あ……私も隣で勉強してていい?」
「いいけど、俺勉強中は喋らないからな。」
「やった!」
今日のデートは、恐らくあまりにもスタンダードで面白みにかけていたかもしれない。
でも、そんな当たり前の高校生の男女を過ごすというのも、悪くはなかった。
むしろ、この時だけは高校生という期間があまりにも貴重なのだと思い知らされるほどだった。
それは舞衣も一緒だ。
彼女だって一度きりしかないこの瞬間を分かちあっている。
それが同時に彼氏という責任の重さを思い知らされる。
もう18時だと言うのに空がまだぼんやりと明るいところを見て、そろそろ初夏も近づいてるような気がした。
人生でたった一度きりの、17歳の夏が少しずつ近づく。
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