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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第24章 雪と温泉とウィンタースポーツ

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春と挫折と宮古島 16話

チャポン……


湯気が立ち、私は湯船に浸かりながら天井を見つめていた。

あんなに楽しい一日が、台無しになってしまった。


「はぁ……なんでウチってこう怒っちゃうのかな。」


本当に悪い癖だと思う。

気持ちが上がってしまうと衝動的に行動をしてしまう。

絶対直輝に嫌われた。


お風呂に入って一人になるほどその事実が深く深く突き刺さっていく。

冷静に考えれば、直輝の方が正しい。

ウチの方が無茶苦茶な提案をしてるのはわかっている。


思えば、小学校からこんな感じで人が離れていってしまった。

それ以降はウチがいるとみんなは少し避けるような態度をとっていた。


「また……一人になっちゃった。」


お風呂でのぼせてるのか、それとも別の理由なのか顔が熱くなり、目から涙がこぼれてくる。


「何が……悲しいんだろ、訳わかんない……ほんと訳わかんない!!」


涙を拭えば拭うほど涙が零れてくる。

直輝に会いたい、自分の気持ちがなんなのか答えが欲しい。

ググッても出てこない、AIに聞いても分からないことを……もっと直輝から教えて欲しい。


すると、突然スマホが鳴り出した。

私はびっくりして画面を見るとママから着信が入っていた。

私は少し間を置く、しばらくすれば諦めるかもと思ったけど……電話が15コールも続いたので痺れを切らしてウチは溜息をつきながら電話に出た。


「……なに。」

「ああ、やっと出た。あんたね……電話出れるならすぐ出なさいよ。」

「……うっさいわね、今忙しいの。説教なら切るから。」


ウチはできる限り平成を取り繕ってママに反論をする。

もう今のウチにとってはママは本当に関わりたくない。

口を開けば否定してくるし、こんな時間になんの意味があるだろう。


「直輝くんとの旅行はどう?」

「べ……別に、フツーだったわよ。」


そんなことはなかった。

一緒にいてドキドキしたし、抱きしめた時はもっとくっついていたいとさえ感じていた。

そして、彼に最後拒絶されたショックに打ちのめされてるなんて口が裂けても言えなかった。


「まあいいわ。明日は何時に返ってくるの?夕飯はいるの?」

「……わかんない。」


そんな雑な対応をしてるのにママは怒りもしない。

恐ろしいほど淡々としていて、本当に今まで家族だったか分からないほどだ。


「わかんないって……あんたねぇ。」

「うっさい!!今機嫌悪いの!!」


ママはまた説教かと思って拒絶反応を示してしまう。

なんというか、本当は直輝との気持ちを話したいのに……それよりも先に否定が入るママに嫌悪感を抱いてしまう。


「まあいいわ、とりあえずちゃんと帰ってきなさいよ。パパは心配そうにソワソワしてるから。」

「う……わかったわよ。」

「お……おい!夢華と電話してるのか?大丈夫なのか?変わってくれ!」

「うっさいわね、年頃なんだから無理に絡み過ぎると嫌われるわよ。」


電話越しにパパの声が聞こえてくる。

優しいんだけど、愛が強すぎてさらに疲れてくる。

ママよりも今は一番溺愛してる父の方がキツかった。


「じゃあ、旅行楽しんで。」

「あ……ちょっときいて」


そんな私の制止も虚しく電話は止まってしまった。

家でやり取りする両親が想像できてやっと本音が言えそうだったのに、そのチャンスが水の泡になってしまった。


「なんなの!もう!両親揃って空気読めないじゃない!!」


そう言って八つ当たりと言わんばかりにスマホを投げ出す。

ウチのスマホはもう表面の保護フィルムがボロボロになるほどだった。

画面が割れたスマホにまた新しいヒビができていて、そんな自分にまた自己嫌悪に走ってしまう。


「直輝……。」


もう会えないはずなのに。

ウチからさよならと言ってしまったからそんなことは無いのに。


病んでは他人にあたり、また1人になって病む。

その虚しいスパイラルに抜け出せない自分が嫌いだった。


少し冷静になってスマホを持つとひとつの連絡が入っていた。

直輝からだった。


ウチは咄嗟にその通知を開いてしまう。


「ってバカ!そんなすぐ既読つけたら気持ち悪いやつみたいじゃない!」


自分の頭を小突く。

でも既読をつけたものは仕方がない。取り消せないのだから。

そして、直輝からのメッセージを恐る恐る見るのだった。何を言われてるのだろう。

もういっその事さようならとか言って欲しいものだと思ったが、彼のメッセージはそれとは相反するものだった。


「今日はありがとう、そしてごめんね。こんなに仲良くなれて嬉しかったけど、口足らずで夢華を傷付けちゃった。明日夕方には宮古空港で出航するから、もう一度会えないかな?」


ウチは言葉が出なかった。

直輝は怒っていなかった。

寧ろ、ウチの事を案じてくれていたのだった。

さっきまで当たっていたスマホを抱きしめ布団に包まる。


お風呂に入ったあとに綺麗なシーツで寝る心地良さがこの気持ちをさらにはね上げてくれるようだった。


直輝に会いたい。今すぐあいつの部屋に行って謝りたい。また今日みたいに遊んで彼から見えるウチを教えて欲しい。

そんな気持ちが爆発しそうだった。


とりあえず……返信しなきゃ。

でも、彼にどう返せばいいのだろう。


今から会いに来なさいよ……は迷惑だし。

嫌い!……は本当に嫌われる気がする。

日本語というのはこういう時の表現が多すぎて分からない。


結局、ウチが答えを出すのにそれから2時間くらいかかってしまった。

返信を考えては思いつかずネットで「仲直り テンプレ」とか調べてしまう。

それでもやはり納得いかずにまたゼロからを繰り返して、気がついたら深夜になっていた。


「もう……これでいいか。」


もうウチには時間がない。

直輝とはもしかしたらもう会えないかもしれない。

多分100点の答えを考えたら1週間が経ってしまいそうだったので咄嗟に赤点回避の答えを出す。


「わかった。明日、待ってるね。」


そう答えると……既読がすぐに着いてしまう。

そして、返答はあっさりと来たのだった。


「よかった!今日は疲れてるだろうし、ゆっくり休んでね。おやすみ。」


……………………………………………。


「あーーー!もう!なんでこんな優しいのよぉ!ばーかばーか!女たらし!ラノベの主人公!」


直輝はまたも私の調子を狂わせる。

結局、その後私は寝ようとしたけど、結局なかなか寝れなくてまた振り出しに戻るのだった。


でも妙に心の鉛だけは軽くなり、ベッドのフカフサさがさっきより心地よくなったようでもあった。


挿絵(By みてみん)

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