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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第24章 雪と温泉とウィンタースポーツ

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春と挫折と宮古島 17話

ザザーッ……ザザーッ。


3日目の宮古島は生憎の曇りだった。

青空に照らされる宮古島がみれないのは残念だったけど、暑さは少し和らいでいて心地よいと感じてしまった。


「あちゃー、なんだかんだ綺麗な宮古島見ることできなかったな〜。」

「すまん、母ちゃん……俺が叩き起しておけば。」

「んーん!また直輝と行く理由できたからね!」


俺たちは朝食のビュッフェを食べ終えて、その後チェックアウトを済ませてホテルからすぐそこにあるビーチにいた。


というか、こんなに近くにあったのに意外と気が付かないものだと感じてしまう。


朝日に照らされた母ちゃんの表情は空とは違って一点の曇りもなく晴れやかな顔をしていた。


「さーてと、いよいよ空港ね!」

「うん、そうだね。」


俺は旅の終わりに夢華に会いに行く。

そして、昨日の言葉について話して向き合わなきゃ行けなかった。

少しだけ、気が重くなる。


そんな中、宮古島の砂浜から海に背を向けて2人の親子は歩き出す。

心の中でまた来ますと小さな約束を交わして。


海はまるでエールを送るかのように静かにゆらりゆらりと波音を立ててそれが少しずつ離れるのがとても寂しく感じた。


☆☆


帰りの宮古島空港に着く。

ここは空港と言うよりも赤い瓦が目立つ1つの南国の建築にさえ見えるけど、列記とした空港らしい。

俺たちは探るように歩くと、そこには夢華がいた。


目をぱちくりとさせて、表情が真っ赤だった。


「よ、よぉ……。」

「うん、昨日ぶり。」


妙に会話がぎこちなかった。

それを見かねてか母ちゃんがどこかへと歩いていく。


「あ、大変!お土産買うの忘れてた!ちょっと2人で話してて〜。」

「え、母ちゃん?」

「大丈夫〜!30分くらいしたら戻るから!」


明らかに不自然だった。

きっと夢華が警戒して話せなくなると思ったのか母ちゃんはどこかへと消えていった。


「とりあえず……座るか?」

「ええ。」


俺たちは空港のベンチで横たわって座る。

まだまだ出航にはお互い1時間以上の余裕があった。

なので特に焦ることもなく、お互い隣に座るとしばらく無言になる。


「その……昨日はごめん。傷つけるようなこと言って。」

「別に、怒ってないし。」


夢華は必死に棘のある言葉を取り繕うけど、仲直りしたいと言わんばかりの態度だったから話す度にこちらも緊張がほぐれるようだった。


「あれはウチが悪かった。直輝なりにウチのことを考えてくれてたのに……勝手に否定されたと思ってただけだし。」


……。

あれ?全部わかってる?

これから話そうとしてること全部理解してるくない?


「て……てっきり、既読ついたままになってたからもっと怒ってるかと思った。」

「ちが……あれは!その……なに書けばいいかわからなくて……。」

「え?そなの?」

「だいたい!直輝連絡が早いんだよ!ウチが必死に言葉考えてるのに直輝はものの数秒で返信してくるからウチも混乱するの!」


……何だこの可愛い生き物。

言い方キツイのになんというか、心がグッとくるのは何故だろう。


「あはは……ふふ…。」


俺は大笑いする。

これは面白いという訳ではなく、安心感から来たものだろう。お互い色んな誤解をしていた。

でもきちんと話してお互いの意図を知ると、ただ気持ちがすれ違ってただけだった。


少しだけ頭の緊張がほぐれて偏頭痛が和らぐような感じがした。


「夢華に出会えてよかったよ。やっと今はっきりした。俺……とにかく今年は受験を必死に頑張って医学部行くよ。また夢華とも会いたいし」


そう言った瞬間、夢華が俺に抱きしめてきた。

そして、彼女の褐色で可愛らしい顔が俺の前に来る。

俺は……夢華にキスをされていた。


俺は反射で抵抗しようとするも、夢華は必死に話そうとしなかった。俺は驚きと心地良さが相まって脳がフリーズするのを感じる。


「ゆ……夢華……?」

「直輝、ウチも直輝に会えてよかった。少しだけ何かを許すことを覚えた気がする。昨日も……ずっと直輝のこと考えてた。嫌われたくないって……でも、直輝はそんなわがままなウチを許してくれた。」


夢華は大胆に抱きしめて、静かに語りかける。


「直輝、もう連れてってとは言わないけど……今度は東京に遊びに行っていいかな。また会いたい。」

「ああ、いつでも遊びにきてよ。」

「うん。」


俺たちは決裂から小さな約束で塗り替えて、また俺たちは友達にもどる。

俺たちは距離を置くと夢華は泣き顔で頬が真っ赤に染まったままこちらを見ていた。

やっぱり彼女は少しずつ強くなってる気がした。


「あ……えっと〜あはは。」


後ろから声が聞こえたので振り向くと……母ちゃんがいた。


「ごめん……少し早く戻ってきちゃった。」


俺たちはハッとして公衆の面前で抱き合ってることに気がつくと夢華が顔を真っ赤にする。

そして、彼女のつり目がさらに釣り上がり頬を赤らめてふるふると震え出した。


「あの……夢華さん?」

「きゃあああああ!!?」

「ひでぶっ!?」



挿絵(By みてみん)


彼女に思いっきりビンタされて俺は床に伏せる。

その様子はまるで振られた男のように惨めな体制をしていた。


「そ……そろそろ出航なんで!じゃあね、直輝!!」

「お……おいまだ。」

「うっさい!ウチはもう時間が無いの!バーカバーカ!」


夢華はその場を去ろうとすると、彼女はその場で立ち止まる。

そして、少しだけこちらを向いて静かに別れの言葉を伝えた。


「またね、直輝。」

「お……おう。」


すると、夢華は保安検査場にダッシュして消えてしまった。

妙にまだ引っぱたかられた頬がヒリヒリと残り、口の内側が少し切れてる感じがした。

これ、口内炎になるやつじゃねえか。


きっと彼女なりの照れ隠しだけど、それにしたって俺は振られた男にしかみれないから周りの人がザワザワとこちらを見ていた。


「直輝、場所変えよっか。」

「うん。」


少しだけ俺たちは外に出てヤシの木を見る。

すると、ひとつの飛行機が走り始めて飛び去っていく様子が見えた。


「あれ、夢華ちゃんが乗ってるやつかな?」

「かもな。」

「……ごめん、ちょっとタイミング悪かったよね。」

「いいんだよ、別に。」


明らかに一部始終を見ていたのか母ちゃんは気まずそうにしていた。

わかるよ、俺もなんか泣きそうになってきたもん。


「そうだ!帰りにラーメンでも食べる?」

「母ちゃん……多分その頃には口内炎ができてるからちょっとしんどいな。」

「あ、そうだよね。……にしても、あんた最近隅に置けな過ぎて怖いわ。」

「ん?どゆこと?」

「いや、なんでもない。」


母ちゃんは含みのある言葉を伝えて少し意味が分からなかった。

そうだ、ビンタで上書きされたけど俺は夢華にキスをされていた。

その様子を思い出して少しだけ赤面する。


「まあでも、仲直りはできたみたいね。」

「うん、また東京に遊びに来たいって。」

「そっか、それなら良かった。」


そう話すと母ちゃんのアラームが鳴り出す。

そろそろ俺達も出航の時間が迫ってきたようで、この南国ともお別れのようだった。


「さて……宮古島ともお別れね。」

「だな……。なんか、すげー疲れた。」

「あはは、飛行機でゆっくり寝てったら?」

「そうすっかな。」


俺たちは空港へとまた入って行った。

俺たちは頬の痛みと新たな決心を抱えて進む。


雲は少しだけ、晴れて静かに日が地表に降り注いでいた。まるで今の俺の気持ちまで晴れていくのを映す鏡であるかのように。

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