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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第24章 雪と温泉とウィンタースポーツ

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春と挫折と宮古島 12話

俺たちはチャリでしばらく街を進むとその先で急坂と学校などがある人口密度の比較的高そうなところにくる。


そして、駐車場で降りるとそこには神社があった。


「ほら!あるじゃない!」

「……なんか、俺の知ってる神社と違う気もするけどな。」


そう、俺の知ってる神社とはどうも文化そのものが違う気がした。

建物が本州なら白と黒、茶色が多い気がするがここは琉球王国の雰囲気がそのまま継承されている。

例えば屋根が朱色で両端が妙につり上がったデザインには少し慣れないものを感じる。


「……そういえば、神社って芝生だっけ?」

「え、そうじゃないの?」

「いや、だいたい砂利が敷いてある気がする。」

「へー、めっちゃ違うじゃない。」


そういって夢華は大股歩きで神社に行く。

そして、お賽銭をゆっくり入れて俺たちはお参りをした。

二礼二拍手一礼をして、お願いをする。

俺の願いはシンプルだった。

絶対に、医学部合格できますように。


その時、初めて俺は本気でこの目標を叶えたいんだと知ってハッとした。

夢華は何やら一心に手を合わせていた。

そして、少し笑って回れ右をしていた。


「行くわよ!」

「ちょ……ちょっと待って。」

「なによ!せっかく私のやりたいこと見つけられますようにってお願いしたのに!」

「お守り買っていきたい。」


そう言うと夢華は腕を組んでいた。


「わかったわよ、待ってるわ。」


そういって夢華は駐車場でストレッチをしだした。

本当に活発なんだなと思いつつ、俺はお守りを2人分購入して戻ってきた。


「夢華、これあげるよ。」

「え?これは……。」

「合格祈願だよ、夢華も無事に受験終わりますようにってお願いしておいた。」

「ふーん。」


そう言うと、夢華はバッグのポーチにお守りを縛り付けていた。

え、もう身につけるの?

表情をみると、褐色の肌が少し赤くなってる気がした。

どうやら嬉しかったみたいだ。


「直輝もつけなさいよ。」

「いや、買ったの俺なんだが?」

「嫌なの?」

「……いや、付けときます。」


たまーに夢華は怖い顔をするんだよな。

圧を感じるというか、舞衣とは違う圧倒感があるんだよな。


お守りをつけ追えると夢華は自分のお守りと一緒に写真を撮った。


「オソロいい感じ!直輝にも送ってあげるよ!」

「あ……ありがとう。」

「ほら、QRコード見せなさいよ!」

「はいはい。」


俺は彼女のLINEを交換して、その画像が送られてきた。

夢華から写真が送られてきたけど、それ以上に気になっていたものがあった。


「なんでLINEのアイコン真っ暗なの?」

「なんとなくよ。そんなに見ることでもなくない?」

「そ……そうだよな。」


しかし、LINEの一言は「嫌い」の一言だけで妙に闇を感じた。

でもまあ、初対面の時も刺々しい感じだったし彼女なりのバリアなのかもしれない。


「ほらー!おいてくよ!」

「ま……待ってくれ!」


そう思う前に夢華はどんどんと進んで行った。

その様子からはとてもLINEのアイコンを真っ暗にするようには見えなくて、光と影と相反するものが彼女にはあるのかもしれないと感じる。


それから、15分ほど自転車で進んだのだろうか。

俺たちは砂山ビーチというところに到着する。


「へぇ……砂山?」

「ここ、めっちゃ綺麗で人気らしいよ。」

「へぇ〜、気になるな。」


そういって、俺たちは自転車を降りて森の中を進む。

森の中は妙にカラフルな植物があってそれだけでも本州とはかけ離れているのだと改めて思い知らされて、少しずつ坂を登っていく。

そして、下り坂になると少しづつ白砂が増えていき、やがて辺り一面が砂になっていき……突然美しいビーチを目の当たりにした。


「すげぇ……!」

「でしょ!」


ここは、少し波が強いのだけど、それでも宮古島の美しい海は泥で濁ることはなく相変わらず美しい海面と砂浜が続いている。

そして、波によって岩が抉られていて、それが自然の力強さを体現していて俺は一気に目を奪われるようだった。


俺その場で座り込み、しばらく海を眺めるとそれに合わせるように夢華も隣に座った。


「いいところね。」

「だな。」


しばらく波が砂浜を這う音がする。

その音が心地よく、そして広い海を見ると自分の受験に対する無力感がどうにも小さく見えるようだった。


「海って不思議だよな。こんなに広くて美しいなんて。」

「うん、ウチも海好き。」

「ありがとうな、こんな素敵なところを紹介してくれて。」


正直まだ模試が分からないことだらけで挫折しかけていたけど、夢華とこうして出かけることで少しずつだけど自分というものが見えてきた気がする。

それに夢華と話してると、その悩みも紛れそうだった。


「私もたのしいよ。こんなに笑ったりしたの久しぶりだった。」

「そうなのか?」

「うん、ほら……ウチいつもこんなだから嫌われやすくってね。だからLINEのアイコン真っ暗にしたり、イライラした気持ちを一言にやるんだけど、誰も構ってくれなくなっちゃってさ。」


挿絵(By みてみん)



まあ、その周りの人間の気持ちもわかる。

彼女はかまって欲しくてこうやって闇を見せるけど、それがかえって逆効果なのだ。


でも、中学三年生ってそうやって間違え始める歳だからきっと時間をかけて理解するものだと思ったから何も言わなかった。


「ねえ直輝……ウチ怖いかな?」


そういう時の夢華はいつもみたいに怒った顔じゃなくて、年頃の少女が見せる危うさが混じった弱さに近いものを感じた。


きっと、自信がないのかもしれない。


「いや、全然。」

「え、そうなの?」

「怖いかと言われると違う気もするな。だって本当は優しいし面白いんだからみんなは知らないだけだと思うぞ。」

「知ら……ない。」


そう言うと夢華は砂に指を刺してクルクルと回していた。

そして、また体育座りになり海を見つめる。


「例えば、最初の俺はどう思った?」

「ウザくてキモイやつだと思った。」


おい、もうちょいオブラートにつつみなさいよ。


「……で、今は?」

「私とは違って目標があって、努力家で楽しくて、優しい人だなって……あ。」

「まあそういうことだ。」

「みんな、私の怒った顔しか知らないんだ。」


どうやら彼女なりに答えを見つけたらしい。

すると、彼女は太陽のように穏やかに静かに笑った。

まるでずっと歯の奥に詰まっていたものが取れたかのような、そんな感じだろうか。


すると、夢華はカメラを構えてインカメで俺たちを写していた。


「えへへ、直輝……アイコン用の写真撮るよ。」

「え、おいおい……。」

「大丈夫!不細工でも私が加工してあげるから。」


そういって俺たちは砂浜を背景に写真を撮る。

きっと、彼女は時間がかかるかもしれないけどきっと少しだけ彼女の人生が良くなる。

そんな気がした。


そういって、俺たちは写真を撮る。

俺は医者になりたい。

夢華は人と仲良くなりたい。

その決意を写真として切り取られたような、そんな清々しい表情を広大な海と共に記録された。


「さてそろそろ。」

「ねぇ直輝。」

「ん?どうした。」

「ウチ……直輝が。」


そういうと、夢華は妙に顔を真っ赤にしてカーッとしていた。

すると、また最初のように強気な態度になり俺の前を進む。


「……なんでもない!」

「え、なんだよ。モヤモヤするじゃん。」

「うっさいわね!時間は有限なんだからさっさと行くわよ!」

「ちょっと!待って!」


俺は夢華を追いかけて砂山を登る。

だけど砂で足が沈むので登るとかなり疲れる。

それに気づかず、夢華は俺を置いていくかのようにどんどんと進んで行った。


俺はこの時は気が付かなかった。

夢華が俺に対して特別な感情を抱いてることを。

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