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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第23章 AV女優でも母親でもない私

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AV女優でも母親でもない私 3話

もう少しで夜勤が終わる。


妊婦の宮田さんの診療をいつも通りこなし、予定日などを確認して静かに子どもが生まれる日を待ち望んでいた。


「はい!順調ですね。」

「………。」

「あれ?宮田さんなんか顔が浮かないわね。」


20代半ばの宮田さんはいつも天真爛漫な雰囲気で生まれる赤ちゃんを楽しみにしてるはずなのに、ちょっとだけ表情が暗い感じがした。

なにか、嫌なことでもあったのだろうか?


「先生……私不安です。」

「……どうして?」

「身体の弱い私が母親になっていいのか……とか、最近は旦那も仕事が忙しいらしくてお見舞いに来てくれなかったりで、本当にこの子を幸せにできるか……自信ないです。」


宮田さんは確かに病弱で体力面に不安がある。

普段は明るく振舞ってるけど、そんな彼女が母親になるという責任に押しつぶされそうなのかもしれない。

夜勤の疲れはあるけど、私はそういう人に全力で寄り添いたかった。


「宮田さんの気持ち、ちょっと分かるかも。」

「え、天野先生もそんな時期が?」

「うん……遠い昔にね。」


とはいえ、私はその葛藤に負けたのだけど。


「先生!私は……どうすればいいんでしょう、怖くて……怖くて……。」


そういうと、妊婦の宮田さんはボロボロと泣き崩れてしまった。

その姿をどこか過去の自分に重ねるようで少しだけこころが痛くなる。

私は静かにその人の頭を撫でると、少しだけ落ち着いたように見えた。


「宮田さんは、どうしたい?宮田さんの人生だから決める自由も責任もあなたのものよ。どっちの意見も尊重する。」

「…………。」


しばらく彼女は泣いていると、少しずつ泣き止んでから頭の中を整理したようで落ち着きを取り戻したようだった。


「……産みたいです。小さな手を握って、守ってあげたいです。」

「そう……よく言ったわ。私もなるべく宮田さんが無事に産むことが出来るよう……努力するわ。」


あの頃の自分が最も欲しかった言葉を彼女に伝える。

どこか心苦しいものがあるけど、彼女の小さな決意を見守りたかった。


「ありがとうございます!旦那にも……ちゃんと話し合ってみます!」


そう言って、彼女と別れ静かに手を振り時計を見る。

定時はとっくに過ぎたけどいい残業だった。


「ヒュー!やっぱ天野先生かっこいいですね!」

「山崎ちゃん?」


宮田さんにすれ違うようにとっくに定時を過ぎたはずの山崎ちゃんが立っていた。

どうやら一部始終をみていたようで、少しだけ恥ずかしい気持ちがある。


「どうしたの?もう定時終わりよね。」

「はい!お互い明日休みなんで……酒でも1杯どうですか?」

「ったく……今日だけよ。」

「えへへ、女子会ですね!」


お互い、もう昼過ぎで疲れた身体を伸ばしながら……今日の勤務を終えていった。

夜勤は確かにしんどいけど、この差し込む優しい陽光がどうにも好きなところが……唯一の好きなところだと静かに感じながら。


☆☆


「すんません〜!生!おかわり〜!」

「あいよー!」


ありふれた酒場で私たちはビールを飲む。


私は2杯目だけど……山崎ちゃんは6杯目まで飲んでいた。


「もう!この前彼氏に二股されて、ぶっ飛ばしたんですよ。そしたらまーた別の女と連絡先交換してて〜。」

「……飲みすぎよ、一旦水飲みなさい。」

「うう……私ってブスなのかな。」


そう言って山崎ちゃんはお行儀悪くテーブルに突っ伏してブツブツと愚痴りだしてしまった。


「いやいや、ブスなわけないじゃない。あなたうちの病院でも人気よ。」

「それ!年配の患者さんと土方さんってオチはやめてくださいね!?」


あ、バレた。


「天野さんは男作んないんですか〜?逆に若造は天野さんの色気が好きでフェロモン感じる〜なんて巷で噂になってますよ。」

「ブーッ!……ゲホ、ちょ、……。」


ちょっと1周まわったコメントでビールを吹き出しむせ返ってしまった。

え、大丈夫よね……うちの病院。


「やめてよ、おばさんをからかうの。」

「じゃあー聞きますね。吉高由里子さん……めっちゃ可愛いですよね。あの人天野さんと同い年です!彼女はおばさんでしょうか!」

「いや、吉高由里子は可愛いじゃない。比べちゃダメよ、そして彼女がおばさんと言われる日はあと15年は無いわ。」


なんのクイズされてるんだろうか?

山崎ちゃん仕事はできるけどたまにとんちんかんな事を言うのでついていけない時がある。


「つ・ま・り、まだ天野先生はおばさんと呼ばれるには早いんです。あなたも可愛いんですから!」

「……えー。」


ちょっとこじつけが過ぎないか?


「やめましょ、なんというか……恥ずかしいから!」

「あーもう!顔に寂しいって書いてあるのに!もういいです!」


そういうと……山崎ちゃんが男二人の飲みの席に急に割り込む。

え、ちょっとマジで何やってるの!?


「おーい……そこの男子〜お姉さんと飲まない?」

「え……。」

「お……おい、どうする?」


ほら!明らかに困ってるじゃないの!

どうしよう、他人のフリして帰るか……?いや、さすがに止めよう。


「ご……ごめんなさいね。この子酔っちゃってて……。」

「離せー!」


しばらく、山崎ちゃんと飲むのはやめよう。

普段はいい子なのだけど、ストレスと酒が相乗効果で暴れるのはちょっと頂けない。


「あの……俺らで良かったらいいですよ。」

「は?」

「うぇーい……男子わかってる。」

「え……えええ〜!?」


ただの飲み会のつもりが弾丸の合コンへと昇華する。

でも、そんなにぎやかな展開でも酒場は盛り上がりそこまで目立つことはなかった。


私の夜勤で疲れた身体は妙にアドレナリンが出ていて、妙に背中が汗ばむのを感じた。

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