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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第22章 天野家とみんなとハッピーニューイヤー

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天野家とみんなとハッピーニューイヤー 3話

大晦日になると、一際人通りが多くなる気がする。

特にスーパーなんかは、賑わいが凄く普段はまだ余白を感じるスーパーでさえも密すぎて、某都知事がソーシャルディスタンスの警鐘を鳴らしてしまいそうでもあった。


「あ、予約した天野です。」

「はい!刺身盛り合わせですね!」


レジに行くにも一苦労、スーパーは文字通り棚には何も並んでいなくて、使い道の無さそうな野菜しか並んでいなかった。


☆☆


「ただいま〜。」


刺身盛り合わせを2パックをテーブルの上に並べて俺はソファーに腰掛ける。


「おかえりなさい!あなた!何にする?ご飯にする?混浴にする?それともわ・た・し?」

「……まだ紅白はやってないか。」

「ちょっと!!直輝くん!!せっかく私がエプロンしてるんだよ!」


声をかけたのは彼女である舞衣だった。

エプロンを着て、新婚の花嫁気分なのかテンションが高かったのだが、スーパーの人の群れに流されていた俺にはリアクションを取る気力は無かった。


「……休ませて。」

「裸エプロンが良かった?」


どうしよう、俺の彼女可愛いのにどこか頭のネジが外れている。


「舞衣ー、あなたまだ煮豆に松の枝刺す仕事あるでしょ!」

「ちょっと!彩奈離してよ!」

「ダメよ、猫の手も借りたいんだから。」

「やだー!直輝くんに甘えたいー!」

「はいはい、後でね。」


そう言って暴走する舞衣を彩奈が制止させる。

普段バカ力で手が追えないのに彩奈だけは一手上を行っていた。


ソファーには龍と飯田が座っている。

2人は一仕事を終えたのかゆっくり休んでいた。


「よ!なおっち!乾杯しようぜ!」

「いいよな〜お前らは家でエビフライのパン粉つけるだけだったし。」

「おい直輝!エビフライ部隊をバカにするなよ!ちゃんと殻を向いてから背わたまでとったんだぞ!」

「はいはい。」

「本当に聞いてるのか?直輝。」

「まあいいじゃねえか、飯田〜。なおっちだって刺身の調達頑張ったみたいだしよ!ほれ、ジンジャーエールで乾杯だ。」


「「「乾杯!」」」



そう言って俺たちは少し大人になった気分で乾杯をする。

テレビの音と、みんながおせちを作ってる音が平和に流れていた。

それを聞きながら、少しだけ一年を振り返って行った。


「今年はほんと色々あったよな〜。」


そう言って飯田も今年を振り返っていたようだった。

最初に……確か飯田が俺の母ちゃんをAV女優だと言ったところから人生変わった気がする。


「おい、サラッといい話みたいな感じで締めようとしてるとこ悪いけど人の母ちゃんのAV発覚は普通はトラブルになりかねないか?」

「まあまあ!結果遥香さんとちゃんと分かり合えたから良いじゃねえか!」


そう言って飯田は調子良く俺の肩を叩く。

たまーにゲスいところはあるけど、飯田はいつも隣にいてくれるいい友人だ。

今はジンジャーエールと共に流すとするか。


「なおっちたちとも……こんなに仲良くなれるとは思わなかったな。」


そう言って、次は龍も続ける。

龍との初対面はボコボコにされたとこだったな〜。

いかん、古傷が疼くようだよ。


「ほんとだよ!最初はまーじで怖かったよ!人の事半殺しにしやがってよぉ!」


そう言って飯田は突っかかる。

それくらい最初の彼は狂人っぷりが凄まじく、まさか医学部を目指してるなんて微塵も思っただろうか?


「いやー、わりいわりい……あの頃は少しやんちゃが抜けてない時期でさー。」


そう言って、龍はバツの悪い顔をする。


「いや、でもそれも含めていい出会いだったよ。龍がいたからテストの順位もめちゃくちゃ上がったし……これからもビシバシ頼むわ。」

「ほら!なおっちもそう言ってるだろ。」

「ぐぬぬ……勉強関係ない俺は蚊帳の外か?」


年末ならではのぶっちゃけ話が飛び交う。

もし、沖縄で居なくなったあの家族がいたら……こんな感じの年末だったのだろうか?


ふと、直人のことも思い出す。

彼も生きてたら……一緒に日本酒の盃を交わして、思い出話に浸ったりとか、そんなこともあったのかな?


「お?どうしたなおっち!番組変える?」

「ちょっと物取りに行ってくるよ。」

「そっか、了解!」


俺は母ちゃんの部屋にあるものを見つけた。

それは、直人の遺影だった。

それがまるでお墓のように祀られている。

昔は何かわからなかったが母ちゃんなりの直人の墓なんだろう。


俺はそこで腰掛ける。


「よお、直人……16年振りだな。」

「……。」


もちろん、相手はいないので俺の独り言だ。


「俺、医者を目指すことにしたんだ。君との出会いとか……その他諸々がきっかけだよ。」

「……。」


「俺があんたの分まで生きて、母ちゃんを守っているから……ゆっくり見守っててくれ、そんじゃあ……良いお年を。」


そう言って、俺は部屋を出る。

ただの独り言しか言ってないのに妙に心が晴れやかだった。

直人から、頑張れって背中を押されてる気がして明日という新年を存分に駆け巡って行ける気がした。


紅白も始まり、いつもより何倍もカオスな年末が俺を待ち受けている。

俺ららしい……そんな新年がすぐそこに待ってる気がした。


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