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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第22章 天野家とみんなとハッピーニューイヤー

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天野家とみんなとハッピーニューイヤー 2話

緊張が走るボーリング場、デスソースはまた一際不気味に赤く光を乱反射している。

まるで、これから俺たちの舌を破壊するぞと脅迫しかねない佇まいである。


現在、舞衣がストライク……そして、俺たちはほぼガーターのようなものだった。


次に俺に球が渡される。

……しまった、実はボーリング未経験なんだよな。

一先ず龍の投げ方を研究しよう、あいつはどう投げるのだろうか?


すると、龍は得意げに右端に投げる。

玉は左に回転して、弧を描くと真ん中に向かって行きピンを全て吹き飛ばしたのだった。


「よくやった!褒めて遣わすぞ!」

「うっせえよ!ちんちくりん、てめぇガーターだった癖によ!」

「う……うるさいな。」


龍は、結論からいうと上手かった。

そして投げ方はあまり参考にならなかった。

相手チームはストライクとスペア、いきなり高得点で罰ゲームのデスソースがチラついてしまう。


「……逃げちゃダメだ。」


俺は小さくそうつぶやくと、手汗の書いた球を持つ。

指先が震えて、とてつもないプレッシャーに押しつぶされそうだった。


「な……直輝くん?大丈夫だよ!私……デスソース飲んでも大丈夫だから!」

「いや!ここはしっかりとやらせてくれ!」


彩奈は2cm以上のネイルできたので少し申し訳なさそうだった。なんて彼女は優しいのだろうか?

これがオタクに優しいギャルという生き物なのかもしれない。


俺は、勇気を振り絞り球を投げる。

とにかく、テクニックとかは無くした。

まっすぐ……真ん中に当てるのを意識して、及第点程度に投げると、ピンは真ん中に飛ぶ。


「「「おお!」」」


何とか6本ほどのピンが弾けて俺たちは9点をとった。

なんだ、意外といけるじゃねえか。


「直輝くーん!やるじゃん!」


彩奈がハイタッチを仕掛けた。

俺もそれに合わせてハイタッチをする。

結構……楽しいかもしれない。


「………………。(ビキビキ)」


その様子をみて舞衣は嫉妬をしてるのか笑顔なのに目が笑ってない。

それどころかスチール缶の飲み物が握力で歪んでる気がする。


ゲームは、続行される。

舞衣は相変わらず球速が激しくてストライクを連発していた。


「すげー!佐倉、ターキーじゃんけ!」

「……ふう。ストレス発散にはちょうどいいわ。(チラッ)」


ストライク取る度にドヤ顔でこっち見ないで欲しい。

どうすればいいか分からないから。


俺も少しずつ上達してきた。

まずは転がすので精一杯だったけど、遠心力を使ってる真っ直ぐ投げればおおまかスコアは取れるみたいだ。


たまに手元が狂うけど、何とか食らいついている。


俺たちは1ゲームを終えた。

結果は……暫定ビリである。

やっぱりストライクとか、スペア取らなきゃダメだよな……。


しかし、勝機はある。

意外とみんな球を投げ続けるとスコアがぶれてくる。

特に、舞衣はプロ顔負けのストライク連発……かと思ったらそうでもないみたいだ。


からららーん!!


「おー、スコア8かー。」

「……(むすっ)。」


スタミナ切れなのか少しだけ真ん中からズレてきてるのだ。そして、不機嫌になるとそれもボールの軌道を起こすのだ。

しかも、舞衣の8スコアは右端と左端だけ残してるので一番スペアが回収しずらいのも点数が伸び悩んでる原因だ。


からん!


「ちくしょー!ムズいだろ……これー!」

「1スコアって……あなた、何処に金玉ぶら下げてるのよ。」

「ひでぇ!パワハラとセクハラ同時にぶつけられてるよ!?」


こんな感じのやり取りが続いている。

一方……龍だとこうだ。


ブーッ!

「てめぇ!このちんちくりん、何回線を踏み超えれば学習するんだよ!」

「うっさいわ!……なんで、どこがダメなの。」


こんな感じに明らかにスコアを瑞希が落としている。

本人は少し泣きそうで同じミスを何回も繰り返すか、たまに1~3スコアを取るばかりだった。


そんな彼らを後目に、俺はストライクを叩き出していた。


「きゃー!?直輝くん!上達しまくってるじゃん!かっこいいよ!いえーーーい!」

「あ……ありがとう、彩奈。」


「……ボソボソッ(グシャ)」

「うお!?佐倉どうした!飲みかけのスチール缶がぐちゃぐちゃだぞ!?」


俺は何とか点数を追い上げていた。

順番を逆にして、俺が先に投げて後で彩奈に投げてもらうと、彼女はたまに絶妙なコントロールで残りのピンを回収してくれてるので、順位は一度1位になるほど点数が伸びていた。


全員がアマギフとデスソースをかけて全力になっている。

俺も少しだけ成長している気がした。

最後の球を投げる。


まだまだみんな点数を追い越したりと拮抗していて……誰が勝つか分からなかった。

舞衣も最後の力を振り絞ってストライクを連発する。


俺も負けじとそれに合わせてストライクを初めて出すことができた。

2ゲーム目の最後に人生初めてのストライク……こんなに気持ちの良い瞬間は中々ないかも知れない。


「直輝くん!まだ投げれるよ!」

「まじ?」

「うん!最後だけスペアかストライク出せば多く投げれるルールなんだよ!」


このように、ボーリングには知らないルールはまだ沢山ある。

スポーツはそれでもいい、楽しむためにあるんだと……最後の最後には妙に清々しかった。

汗は冷や汗のようなものではなく、体の芯から温まる良い汗だった。


もう一度球を投げると……再びストライクになる。


「すげーー!直輝、ストライクの神舞い降りてるじゃねえか!!」


ペアである舞衣がストライクを連発するので安全圏内で高みの見物をする飯田が適当な事を言う。

全く……こいつと来たら。


でも、2回もストライクは確かに奇跡かもしれない。

3回目の球を投げる権利を得る。


ここで決めれば……優勝も目に見えている。

しかし、いい事は何度も訪れなかった。


からん


「……4スコア。」

「うおおい!?最後の最後までがんばれよ!?」


最後にちょっと手元が狂ったけど……なんとかやりきる事ができたと思う。

全員がゲームをやり終えて、飯田は集計を手持ち無沙汰だったので終わらせていた。


「はい!お疲れっしたー!じゃあ……順位の発表をします!」


パチパチ……と乾いた拍手が小さく鳴る。

まあ、順位は大体わかるんだけどな。


「2位は……直輝&彩奈チーム!」

「2位か〜、微妙やな。」

「直輝くん!めっちゃ頼りになった〜!ありがとうね!」


彩奈はめちゃくちゃ感謝してくれた。

艶やかな金髪が揺れて、俺の手を握る。

少し爽やかなシトラスの香りも相まって少しドキッとしてしまった。

彩奈もかわいいんだよな〜。


「そして、1位は……俺&佐倉チームー!」

「……あなたほぼ座ってただけじゃない。」

「それは言わないお約束!」


「と……言うわけでビリは虎ノ門&瑞希チームです!罰ゲームとして……デスソースの一気飲みです!あ、そーれ、一気!一気!」


飯田がクソみたいなコールをする。

瑞希は耐性がないのかブルブル震えていた。


「あわわ……ちょっと味見……辛っ!?無理なんだけど!?」


ちょっと可哀想な気もするけど、見守るしか無かった。

すると、龍は突然立ち上がり……瑞希の前に出る。

いけない、キレたか!?

流石にここで暴れられるのは危険だ……俺は臨戦態勢になるけど、そしたら龍はショットを2つもってデスソースを2杯一気飲みしてしまった。


「……へ?」


瑞希は呆気にとられてしまう。

そりゃあそうだ、自分が足を引っ張ったのにその分の責任まで龍が背負ってしまったのだから。


「……へえ、た……たいした……こと……げふっ!」

「おい!?大丈夫か虎ノ門!?水!水を買ってくる!」


急いで瑞希は水を買って龍に差し出すと……全身汗だくの龍がそれを受け取り水を飲み干して、またむせ返っていた。


「なんで!私の分の罰ゲームも引き受けた!私のせいでお前負けたんだぞ!!」

「うるせえちんちくりん。カバーしきれなかった俺の責任でもある。責任はきっちり果たしてもらったからな。」

「お前…………、不良で危険人物だと思ったのにかっこいいとこあんじゃん!!」

「うるせえ、次はちゃんと飲んでもらうからな。」


妙に2人に友情が芽生えていた。


このボーリングは、普段と違うメンツでやったのがとても良くて……普段見ない面とかも見れて楽しかった。

俺も、彩奈と協力するのは楽しかった。


年末のボーリングは、これにて終了である。

普段と違う日常は……これでもかと俺の心を満たしていた。


「直輝くん。」

「お、舞衣。」

「……私、どうだった?」

「相変わらず、かっこよかったよ。まさかこんな長所もあるとはびっくりしたよ。」


俺は彼女の頭を撫でる。

どうやらずっと褒めて欲しかったみたいだった。

舞衣もある意味で犬系の性格をしていて可愛い。


「もう、今年でみんなと集まれるの最後かな。なんかさみしい……。」


どうやら彼女は彼女でこの時間が気に入っていたみたいだった。

俺も楽しくて仕方なかった。

きっと、こんな瞬間はもう大人になったら二度と来ないかもしれない。


俺はなんで空港のあの瞬間で日常を選んだのか、少し腑に落ちた。こんな毎日が……どこまでも好きだったからだ。


「お、佐倉もそう思ってたのか!じゃあ今年の年末は直輝の家で集合しないか?」

「へ?」


突然飯田は俺たちの話を聞いてそんな提案をする。

いや、飯田よ……お前そこまでして俺の母ちゃんに会いたいのか?


「なにそれ!楽しそう!」

「なおっち、年末も勉強教えてやろうか?」

「わ……わたしも!年末は、暇だから……参加してやってもいいぞ!」



それにつられて……龍や瑞希、彩奈まで乗っかる。

おいおい、俺はいいと言ってないんだけどな。


「というわけで……みんな次は天野家でハッピーニューイヤーということにするか!」

「「賛成!」」

「うおーーい!?まだいいとは言ってねえぞ!?」


どこまでも、賑やかで……たまに鬱陶しい日常はまだまだ退屈させることはなかった。

でもどこか……それも楽しみと思っている自分がいて、少し心が踊ってるようでもあった。

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