修行
今、僕たちは特別指導室に集められた。
そこは担任である三条橋先生の部屋だ。
噂によるが彼女は校長先生よりも偉い立場らしい。
だから特別指導室という名の彼女の部屋は校長室よりも豪華なのだとか。
「さぁ、修行を始めるわよ」
と彼女は言った。
僕たちは戸惑いつつ
「あの〜、もしかしてこの部屋で修行をするんですか?」
と僕は質問した。
彼女は
「そうよ、何か問題あるかしら。
幸いにも1人だけやる気を出してジャージなのもいるしね」
僕は赤面しつつ
「問題大ありじゃないですか。
いくらこの部屋が広いって言っても僕たち5人を相手にするには少々狭すぎませんか?」
彼女は
「それは大丈夫。
時期に分かるわ」
と不敵な笑みを浮かべた。
彼女は
「これからこの部屋を他の部屋と分離します。
簡単に言えばこの部屋だけ異次元空間に移動するんだけど。
分かったかしら」
僕たちは彼女の言うことが理解出来なかった。
彼女はちょっと怒りつつ
「つまり、この部屋は閉鎖空間になります。
もう、私の許可なしでは出入りすることが出来ません。
試しに唯一の出口であるそのドアを開けてみて」
僕たちはいつの間にか閉まっていたそのドアを開けるのを試みた。
彼女の言うとおりびくともしなかった。
まるでロックがかかっているように。
もちろん、この部屋のドアに鍵はないはずなのだが。
彼女は
「これで分かったでしょう。
あなたたちは私によってこの部屋に閉じ込められたの。
あ、大丈夫。
修行が終わればすぐ解放するから」
僕たちはそれが恐ろしくなり唾を飲み込んだ。
「あ、言い忘れていたけどこの部屋はあなたたちがいた部屋とは違い異空間。
この部屋自体も無限に拡大出来るのです」
と彼女は言い部屋は一気に広がった。
それはもうとてつもない広さに。
地平線が本当に見えた。
僕たちは呆気にとられていると
彼女は
「さぁ、早く着替えなさい。
服は用意してあるから。
ジャージに着替えて気合い入っていた娘には悪いけどチャイルズ本来の姿、子供の姿での修行だから」
三条橋先生は笑顔で指示した。
僕たちは小学生用のジャージに着替えた。
もちろん小学生の姿に戻って。
余談だがちょっと気になった所が。
姉の本来の姿を初めて見たのだが確か僕と双子だって言っていたっけ。
明らかに僕より背が高いのだが。
姉も僕の背の低さにビックリしていた。
そして姉はにやりとし
「これで名実ともに私の妹ね」
とぽつりと言っていた。
僕たちは着替え終え三条橋先生の前に行った。
三条橋先生は
「今から修行を始めます。
まずは私の能力の説明からしますね。
私の能力はそこの誰かさんには劣りますが水、風、、雷の3つの属性を持ちます。
誰かさんが出てくるまで私は最多の能力保持者だったのですが」
もう名前をちゃんと言ってくれよと僕は心の中で呟いた。
彼女は続けて
「まぁ、そんなことはどうでもいいです。
私があなたたちよりも強いことは明らかなのですから
これでもこの国でナンバースリーの実力者。
あなたたちが私の指導を受けれるなんて光栄に思いなさい」
段々いつもの高圧的な三条橋先生に戻ってきた。
「ちなみにナンバーツーはなぜか私でも能力を使っている所を見たことがない人。
彼女は体術だけでチャイルズを上り詰めたと言っても過言ではないわ。
そしてトップの能力者は誰かさんと一緒で全ての属性を持つ人
その人は私は神と呼んでいるわ。
本人は嫌がっているけど。
全ての能力についてダンチの実力だわ。
まぁ、これは余談だけど」
彼女は一呼吸おいて
「それでは修行を始めます。
まずは実力を見たいから学年順ね」
最初は姉で生徒会長でもある遠山 聖雪だ。
姉貴には誰にも内緒にしてある秘密があった。
彼女はガンマニアだ。
彼女の部屋に行った時ドン引きしてしまったが数十種類のモデルガンが部屋に飾ってあった。
もちろん、銃関連の雑誌も取り揃えている。
これが現役女子高生の部屋かと疑うかのよう。
それでいて姉貴は外では品行方正で通っている。
そして僕は姉貴が銃を持つと性格が変わるのを知っている。
姉貴の能力は氷だ。
しかも氷で銃を具現化して使うことが出来る。
ガンマニアならではの能力だ。
もちろん、たまは氷だから当たったらそこから凍り尽くす。
非常に厄介な能力だ。
しかも姉貴は何十種類の銃を一気に具現化出来る。
でも三条橋先生はそれを避け続けた。
しかも平然とした顔で。
そして僕の能力は全属性の能力であること。
僕も先生に攻撃を当てることが出来なかった。
そしてくノ一である灰庭 忍葉。
彼女は炎で手裏剣を具現化出来る。
いわゆる創造系の能力者だ。
彼女は同じそう造形の能力者である姉貴のもとで修行してきた。
しかし、手裏剣といえどもいろんな種類があるのだなと関心してしまった。
次は巫女でもある神居 天巫だ。
彼女は風と水の2つの能力を持つ。
三条橋先生は
「私と同じ能力が2つとは驚きだね」
と言い彼女の相手になった。
彼女は先生に覚えた手の風と水の混合技で向かった。
そして最後は信桜 雨音、1年生だ。
彼女の能力は雷。
僕は彼女の能力を初めて目の当たりにした
彼女の両手の五本の指から青白い線が伸びていた。
まるで長い爪のようだ。
彼女はそれを使ってひっかくように先生を攻撃していた。
そういえば彼女は先生の直々の弟子だとも言っていたっけ。
彼女は先生と対峙する前に
「師匠とやるのは久しぶりね」
と呟いていたっけ。
とにかく、僕たちは先生に指一本触れることも出来なかった。
三条橋先生は口だけでなく実力も相当なもの。
何せ最後に5人まとめて闘っても歯が立たなかったから。
修行が終わると三条橋先生は
「ご苦労様、今日の修行は終わり。
それぞれの課題点も分かったしね」
と言い終わると部屋の扉が自動ドアみたいに開いた。
三条橋先生は
「必ず着替えてから出て行ってね。
でないとこの部屋を出た途端に女子高生の姿に戻るから服はビリビリになって大変なことになるから。
ドアが開いていてもいいわよね。
何せこの学校には女子しかいないから」
僕たちは急いで元の服に着替えた。
もちろん、元の姿に戻って。
(女子高生の姿に戻ってと言うことていうか今やどっちが元の姿かは不明だが)
と言うことで長い1日が終わりました。
色々なことがあって頭が追いつかないけれど今日も頑張って生きてます。




