変身
(今回の話は主人公の弟子、灰庭 忍葉の視点でお送りします)
今日もいつもの修行だ。
いつも通り放課後に私は地下の修行室に行った。
今日は火脚先生がいつもより忙しいと言うことで1時間は自主練の時間に当たる。
最近、自分の能力で作った手裏剣の精度が落ちているのでそれの練習に当てようと思っている。
そういえば師匠(主人公)が昼の放課(休み時間)の時、二人っきりの時に今日はサプライズがあるかもといっていた。
師匠は何かよからぬことを考えていそう、そう、私は一抹の不安を覚えた。
師匠は別に不真面目な人ではない。
どちらかと言えば杓子定規で四角四面の融通の利かない真面目な人だ。
普段は冗談も言えない。
本人は女の子になってそれどころでは無いと言っていたが恐らく地だろう。
だからたまに言う冗談が冗談に聞こえないのだ。
師匠(主人公)はよく無表情である氷見谷さんの冗談が分からないとよく言っているがどっちもどっちだ。
そして師匠(主人公)は修行の練習に恐ろしく熱心だ。
師匠(主人公)がサプライズと言う時はたいてい私たちはかなり苦労する。
とてつもなく厳しい訓練となるのだ。
だから私は不安を覚えるのだ。
それに火脚先生は今まで放課後の修行の時間に遅れたことがない。
学校の仕事よりも私の修行を優先してくれる先生だ。
どうしてもと言う時は私の修行の傍らテストの採点などをしている。
なぜ、今日に限って遅れてくるのかははなはだ疑問だ。
恐らく師匠(主人公)が関わっているのだろう。
そういえば師匠(主人公)はサプライズのことについて他のメンバーには内緒だとも言っていた。
ますます不安が募る。
ようやく修行室に着いた。
修行室には誰もいない。
私は今までの不安が杞憂だと思った。
しかし、10分後その不安が的中するのだ。
私が修行を初めて10分後、修行室の外から聞き覚えのある声がしてきた。
私は火脚先生にしては早いなとも思ったが出入り口に急いで迎えに行った。
ドアを開けるとそこに火脚先生ではない見覚えのある人物が立っていた。
その人物は
「ここが修行室ね。
噂には聞いていたけどこんなところがあるなんて初めて知ったわ」
と話しかけてきた。
私は目をパチクリした。
その人物はどう見ても私だったから。
私はいろいろと考えを巡らせた。
そいえば、師匠(主人公)は生き別れの双子のお姉さんとこの学校で始めて会った。
私にも生き別れの双子の姉妹が存在していたのか。
それとも他人のそら似だろうか。
それにしてもよく似ている。
そう考えているとその人物は
「戸惑っているところ悪いけど、私はあなたの双子の姉妹でも他人のそら似でもないの。
まぁ、こういう反応をするとは思っていたけど。
私は私、あなたは私、私もあなた、つまりそういうこと」
私は訳が分からない。
この人は何を言っているのだろうか。
言うに事欠いてあの人物はもう1人の自分だと名乗っているのだ。
私がパニクっているとその人物は
「あぁ、面倒くさい!!」
と言い、一瞬で私の前で消えてしまった。
いや、消えてしまったのではない、別の人物にに変わったのだ。
それは師匠(主人公)の姿だった。
私はその姿に数秒、呆気にとられしばらくしてことの事態を把握した。
師匠(主人公)は
「驚かせようと思ったんだけど、あまりにも面倒くさいから種明かしするね。
これは僕の能力、ある条件に達した人物の姿、人格などをコピーできる能力なんだ。
僕がコピーしている人物は君を含め10人、全て僕の弟子なんだけどね。
ちなみにある条件というのは内緒。
親しくなると言うのは条件の1つなんだけどそれだけじゃない。
僕のコピー能力の凄いところはまず1つ、自分よりも格上の人物もコピーできる。
いわゆるチートだね。
もう1つはコピーした人格で習得した能力は自分のものに出来る。
そして最後の1つはコピーした人格も成長できると言うこと。
ちなみに君の人格も達人並みに仕上げてあるんだ。
どうだい、挑戦してみるかい」
私は興味津々に頷いた。
師匠(主人公)は続けて
「おっと、その前に注意しなければならないことがある。
まず、僕は自然系の能力者、君は創造系の能力者だ。
自然系とは自然のエネルギーをそのまま使う能力者のこと。
そして、創造系の能力者は僕の姉貴みたいに自分の能力を使って武器を作ることが出来る能力者のことだ。
姉貴は銃マニアでいろんな種類の銃を作ることが出来る。
前、対戦した時は結構苦労したんだ。
それはさておき、僕の能力は変身後も持続する。
だから、君みたいに武器では対戦できない。
しかし、能力は達人クラスだからある意味君の成長した姿だとも言える。
年齢が変わらないと仮定して100年修行した姿だけど。
それでいいなら喜んで対戦するよ」
私は変身した師匠(主人公)と対戦をした。
本当に恐ろしく私に似ている。
そして相手は圧倒的に私より強い。
しかも絶対防御能力付き。
攻撃が当たるはずもない。
そんなこんなであっという間に1時間が過ぎた。
対戦した後も私はもう1人の私と会話をした。
驚くべきことに彼女は私のプライベートの秘密も知っているようだった。
彼女は
「確かにあなたの秘密も知っているのだけど、安心してプライベートは守られているから。
私は師匠(主人公)のもう1人の人格、でも私の記憶には師匠はアクセスできない仕組みになっているの。
私が話さない限り師匠(主人公)は知る由も無い。
まぁ、証明は出来ないのだけど師匠(主人公)の堅物な性格からして分かるでしょう」
そう言われて私は納得した。
今週一週間、師匠(主人公)は他のメンバーたちの修行にも参加するそう。
他のメンバーにもサプライズとだけ伝えるとか。
だから私にも内緒にしろと言ったのかと。
他にも師匠(主人公)はいろんなチートの能力を持っているそうである。
それが明かされることが有るのか無いのか私には分からないが私にとっては頼もしい師匠であることには変わらない。
しかし、もう二度とパニックになるようなことはしないで欲しいと思う。




