おしゃれ
今日も僕はいつものように登校し、授業を受けいつものように昼休みを迎えた。
僕はいつものように弟子たち(クラスメートたち)のガールズトークを売店で買ったパンを食べながら聞くのがいつもの日常だ。
僕がそのガールズトークに入ることはまず無い。
女の子たちの会話に入るなんて想像が出来ない。
僕自身体は女でも心は男だという気持ちがある。
何より女子特有の会話について行けないのだ。
でも今日は違っていた。
その話の矛先が僕に向かってきたからだ。
「ねぇ、師匠。
休日の日って何しているの?」
聞いてきたのは忍者の灰庭 忍葉さんだ。
僕は
「別に何もしちゃぁいないよ。
普通に部屋でのんびりとしているだけだよ」
と答えた。
すかさず灰庭さんが切り返した。
「じゃぁ、普段部屋ではどういう服を着ているの。
女の子初心者の師匠の普段着は気になるなぁ」
僕は
「別にたいした服は着ていないよ。
だいたい、TシャツにGパン、もしくは上下のジャージがほとんどかな」
答えた。
海城さんは
「やっぱり普段はスカートをはかないのですか?」
と聞いてきた。
僕は
「やっぱりスカートは苦手だよ。
あんなヒラヒラした物良く履けるよね。
学校は指定の制服だからしょうがないけど僕は極力スカートははかないようにしてるよ。
学校に来ている時もスカートだけじゃ心配だからスパッツもはいているしね
だいたい、女の子らしい格好は学校だけで充分。
部屋に帰ると極力男っぽい格好でいたいから、ボーイッシュな格好を心がけているよ。
さすがに男物は着れないから女物でしているけど。
そうしないと精神バランスが狂っちゃうよ。」
そう答えると芸林さんは
「そういえば女の子の下着にも慣れましたか?」
とにやにやしながら聞いてきた。
僕は
「部屋で履いているのはパンツ(ショーツ)ぐらいだよ。
後は付けていないよ。
必要ないしね」
と答えた。
海城さんは
「ブラも付けてませんの!!
師匠は女子としてのたしなみが全く出来てませんのね。
もったいない、もったいないですわ。
せっかく女の子になられたのですからもっと女の子を楽しまなきゃ。
このままでは女子力0(ゼロ)ですよ」
別に僕は女子力とやらをあげたいわけじゃない。
ていうか戻れるのなら元の性別に戻りたいのだが(叶わぬ夢だが)
この後僕の女子力を上げるにはどうしたら良いのかを侃々諤々(かんかんがくがく)議論してくれた。
僕を置いてけぼりにして。
そしてなぜか今度の休日にみんなで遊びに行くことになった。
休日の日、僕は待ち合わせ場所に着いた。
待ち合わせ場所には僕しかいない。
他の5人は絶賛遅刻中だ。
本当に我が弟子ながら情けない。
そうこうしているとその5人がやって来た。
そして芸林さんさんが僕に話しかけてきた。
「師匠のこの前の話だと大分ボーイッシュな格好してくるかと思っていたらずいぶんと可愛らしい格好よね」
僕は好きでこういう格好をしているわけではない。
だいたい、全身を黒のゴスロリファッションて普通の女子でもまずはしない格好だろう。
「言っとくけどこの服装は僕が選んだわけではないからね。
寮母さんがうるさいんだよ。
普段の僕(のいろいろな事情)を知っているから。
出かける時はチェックが入るんだ。
その寮母さんは僕よりかなり年上なんだけど見た目小学生の女の子。
最近、見た目通りの少女趣味をこじらせて僕が着せ替え人形化しているんだ。
その寮母さんの許可の出る服装じゃ無い限り外出することも不可能。
仕方なしにこの服を着ているんだ」
僕はそう言い訳をした。
この後はみんなに連れられてまずは洋服のお店に入った。
普段の修行が厳しいせいか今日は僕にカワイイ服をいっぱい着させられた。
キャミソールやブラウス、ワンピースやスカートその他諸々いろんな服、僕が絶対に手を出さないような可愛らしい物ばかり。
いちいち、試着室で着替えさせられその度に女子たちの「かわいい〜」と言う声。
僕はかなり疲れた。
これが女子になった者の洗礼なのだろうか。
ところが女子になった者の洗礼はこんな者ではなかった。
この後、靴や髪飾りそして水着まで見に行った。
その度に僕は着せ替え人形と化した。
正直もう帰りたい、そのぐらい地獄のような時間だ。
恥ずかしすぎる。
そして最後に来たるべき場所へと連れて行かれた。
そこはランジェリーショップ、つまり女性用下着のお店だ。
僕が店に入るなり店員が
「事情は大家様から聞いております。
大変でしたね。
これから女の子としての下着の付け方をお教えいたします」
そう言われると僕は店の奥に連れて行かれ服を無理矢理脱がされた。
そこでなぜ女性用下着が必要なのかの店員による授業が始まった。
もちろん下着姿で聞かされた。
その後いろんな所を計測させられた。
そこで初めて僕の胸の大きさが分かったのだがそれは内緒。
その後かわいい下着を目一杯着せられた。
ちなみに大家様というのは寮母の大家 美守の事だ。
僕を着せ替え人形として楽しんでいる今1番苦手な人だ。
そんなこんなで今日はどっと疲れました。
この話をもう一組の弟子(教師陣)にしたらまたいろいろといろんな所に連れ回されたのだがそれはまた別のお話。
正直、今日ほどつらい日が来ないことを祈ります。




