4:登場
「なんだかなー…。慣れないなー」
ここに来てから数日が経った。
が、やはり『ピカリン(?)お城』の我が家には、まったくなじめそうもない。
今は夏休みだけど、数週間後、学校が始まってしまったら…。
「引っ越ししたよ〜。しかも一人暮らし」などと報告すれば、皆きっと押しかけてくる違いないはず。
絶対に友達はこの家には連れて来てはいけない気がする…。
連れてきたが最後、きっととんでもない噂を流されるだろう。
(以前に流されたことが多々ある…)
ああ、考えただけで恐ろしい。
さて、気分転換に夕御飯でも作るとするか。そう思い、ふっと立ち上がった瞬間―――…
ガシャーン!!!パリーン!!ドスッ!!
ベランダのほうから物凄い音が聞こえてきた。私は何事かと思い、急いで駆け付けた。
駆け付けた…はいいけど、さ。誰ですか、あなた……。
見ると、ピカピカに綺麗にされている窓ガラスにへばり付いている男子が一名。
ギャ――!!!!と叫びたくなる怖さを抑えて、いっそいでカーテンを閉めた。
え?何?対処法が間違ってる、って??
こんなときは見なかったことにするのが一番なんだよ、分かってないね〜。
「ど、どうしよっか…」
冷静になるのよ、葉月。明日はそんなこと言ってても始まらない。
泥棒だったらすぐに警察に電話しなきゃ!!
でも…警察…ね。(←何故か警察が大嫌い)
よし、一旦お話してみよう。
おじいさんも、人間との良好な関わり方は、たくさんお話をすることだ、とか言ってたし、大丈夫だよね。
もう一度、今度は声に出して
「よし」
と言ったあと、緊張を抑えつつもカーテンを豪快に開けた。
間もなく息を大きく吸い込んだ。
「ごきげんよう、私の名前は音野瀬葉月。年齢は多分16歳そこそこのはず。今日は泥棒とは言えど、この家に遊びに来ていただいてありがとう、でございます」
言葉が少し間違っていたかもしれないけど、それ以外は完璧な挨拶だったな。
そんなことが脳内をクルっと一周したとき、
「あんた、やっぱり葉月さんなんだね!? 」
男のはず…だが、やたら声が高い。そんな冷静な脳内の考えとは裏腹に、ひどい言葉が口から出てしまった…。
「葉月でございまーっす」
サ●エでございまーす、かよ!!とかいう、自分乗り突っ込みは心の中だけに留めておこう。
「あはははっ。聞いた通り、勢いのある可愛い子だねぇ。あらためまして今晩は、葉月さん。僕の名前はカイン。まさかこんなところで君に会えるとは思いもしなかったけど……。君にはとても大事な話があるんだ」




