2:おじいさんの手紙
葉月サイド◇◆◇
「ちょっとあの子、いつまでこの家にいるつもりなの?目障りったらありゃしないわ」
「おじい様ももういないんですし、もうこの家には要はないはずよねえ」
わざと聞こえるように大声で話すおばさま方。あー、ホントに憎たらしいったりゃありゃしない。
「おばさま、ごきげんうるわしゅう」
そういいながら、こちらも宣戦布告だーっと思いはするものの。
さすがにこのまま家にいることはちょっと辛いかな…。
おじいちゃんは……もういないし、ね。
あっ!!そういえばおじいちゃんが生きてるとき、
「わしが死んだら、この手紙を読むこと。分かったかい? 」
そんなこと言ってたような…。
と、いう訳で、私は急いで自分の部屋に戻ってその手紙を探し当てた。
「えぇっと、なになに、『この手紙を―――…
『この手紙を読んでいるということはもうわしはこの世にはおらんのか。
葉月、わしが死んでから、お前さんはこの家にいることが余計に窮屈になってしまったのじゃろうな。
すまん。わしは捨てられたお前に、幸せというものを存分に味わってほしいのじゃが、やはり人生というものは山あり谷ありである。
そしてな、人というものは金に目がない。そんなことは言わんでもお前さんなら分かっているだろうが、くれぐれも愚痴などを真に受けてはならぬぞ。
そうそう、一番に書き留めておかぬことを忘れておったわ。葉月、きっとわしが死ねばその家にはもう居づらいはずじゃ。
だからな、お前さんに住む場所と、お金を用意しておいた。詳しくは、行ってみるがよい。
そこでよき高校生活を今後も過ごせるよう、天国から祈っておるぞ。
前を向いて進むのじゃぞ、葉月。 歳三おじいちゃんより』
ようやく読み終わった。私は出てくる涙を必死でこらえながらも、
さっそく出で行く準備を始めた。
数時間後、私は音野瀬の人々を集めた。
「わざわざ、集まっていただき、ありがとうございます」
葉月は一礼して話を進めた。
「今日はお話すべきことがあって、皆様にお集まりいただきました。わたくし、音野瀬 葉月は今日をもってこの家を出ていくことにいたしました。今までありがとうございました。」
するとおばさん(さっき嫌味を言ってきたやつ)が口を開いた。
「出て行くなら、あなたは今後、音野瀬に纏わるすべてのことに関わらないで下さいねえ」
言われなくとも、分かっています。
「ええ、分かりました。今後、私がこの音野瀬の家に入ることはないでしょう。今までお世話していただき、誠にありがとうございました」
そう言って私はその場から立ち去った。




