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月の瞬き  作者: 幸紀涅
10/43

10:恐ろしい爺さんだ。



それから葉月の家に案内された。


こちらの世界のことはよく知らないが、この家はそこそこ…というか、かなり立派なほうだと思われる。


「葉月の、おじいさん、なの」


紹介されたのは、なんというか…迫力のある爺さんだ。


とりあえず挨拶しないと、だな。


「名をファイ・デルタという。その…… 」


その……。何を言えばいいのか分からない。


『異世界から来ました』とかか?いやいや、それは駄目だ。信じてもらえるはずがない。


じゃあ、『葉月と友達になったので遊びに来ました』とか?それも駄目に決まっている。


いったい…なんて言えばいいのだろうか……。



「お前さん珍しい名前じゃのう 」


いきなり喋り出したので、ビックリして後ずさってしまった。


「まあまあ、そんな硬くならずに、ゆっくりしていけばよい 」


そう言いながら、…少しずつ近づいているような気が…する。


こんなことを口に出したら、男が廃るとか言われそうなのだが…、なんだかこの爺さん…物凄く怖い。


「れ、礼を言う 」


「なぁに、気にするでないわ。ああ、そうじゃ。おいしいりんごを食わせてやろう。葉月、取ってきてくれんかの? 」


「はーい 」


葉月は僕に手を振ると、走って部屋を出て行ってしまった。


ということは、だ。


2人きりだと!? 耐えられん。絶対無理だ。(←何が)


「なんじゃ?わしの顔に何か付いておるのか? 」


その言葉で、爺さんの顔を凝視してしまっていたことに気付く。


「…………… 」


2人の間に、異様な空気が流れる。


どちらも何も話そうとしない。そうして数十秒だか、数分が経ったとき、爺さんはまたもや唐突に喋り出した。


「それはそうと、お前さん、葉月を連れて帰るつもりかいのぉ? 」


「……?どういう意味だ? 」


「いやな、お前さん、この世界の人間ではなかろう? だからな、葉月のことを迎えに来たのかと思うてな… 」


………………?!こいつ、いったい何者だ?


いったいどんな根拠があってそんなことを…。



普通『異世界から来た』と言って、信じる者などいないので気にすることはないのだが、信じてしまうようなら話は別である。


そうなれば、この世界の人間に、あまり僕の素性を明かすべきではないのだ。


探るように言う。


「何故そう思うのです? 」


「顔に『異世界から来ました』ゆうて、書いておったわ。それにな、葉月がわし以外の人に懐くなんて考えられんのじゃ。お前さんと知り合いか、もしくは友人か、と思ってな 」


洞察力がありすぎる…。


いや、まさか、さっきの心の声が聞こえていたのではないだろうな……。


……分からん。


まったく恐ろしい爺さんだ。



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