第73話_パーティーとランク
緊急依頼でパーティーの組み方についてリリスールさんへ聞いた。
「アイちゃんはまだパーティーを組んでいなかったね。ランクアップと関連するから一緒に説明するよ。依頼達成でもらえる点数がランクポイントと言われているさ。ここまでは平気かい」
確認するようにリリスールさんが私をみた。
「ランクを上がるための必要なポイントよね。この前の討伐依頼でもらったよ」
討伐完了の報告後にマイリンさんが話していたのを思い出した。私自身はランクアップにあまり興味がないけれど、マイリンからは依頼内容が増えるからランクは上げたほうがよいと言われた。
「依頼達成でもらえるポイントは、パーティーでの依頼ならポイントを人数で割るのさ。ひとりだけ強いハンターがいると、実力以上の依頼でもポイントが入ってしまうから、そのための制約があるさ」
リリスールさんの説明は理解できた。極端に言えば、私がコーテリアさんとのパーティーで依頼を受けて、コーテリアさんが魔物を討伐すれば簡単に達成できてポイントが入ってしまう。でも私が魔物退治をしなければ私自身の実力は身につかない。
「どの程度のランク差ならパーティーを組めるの?」
同じランクだけでパーティーを組むのはむずかしいはずなので聞いてみた。
「アイちゃんならランク3のハンターとまで組めるさ。でも今回は、あたいと組んでもポイントが入るよ」
いまのランクでパーティーを組むときはランク3が上限なのね。今回は緊急依頼だからリリスールさんとも組めるみたい。
「リリスールさんと組めれば安心できるけれどリリスールさんの迷惑になりそう。普段一緒に組んでいるパーティーメンバーもいるよね」
「白魔道士は誘いが多いから、あたいは固定パーティーを作っていないさ。アイちゃんさえよければ、同じパーティーで依頼を受けるかい」
うれしい申し入れだったので、リリスールさんの提案に甘えることにした。
「本当? 知り合いと一緒のパーティーだと安心するからうれしい」
「決まりだね。あとは接近物理の前衛がいれば安定感が増すけれど、手頃なハンターがちょうどいたね。ライマイン、こっちに来られるかい」
リリスールさんが手を振った先に視線を向けると、ライマインさんの姿を見ることができた。リリスールさんの声に気づいたみたいでこちらに歩いてくる。
「俺に何か用事でもあるのか」
「緊急依頼の件だよ」
ライマインさんの問いにリリスールさんが答えてくれた。
「リリスールも緊急依頼を受けるのか。俺も受けるつもりだ」
「あたいもそのつもりだけれど、アイちゃんと一緒のパーティーだよ。ライマインも一緒に行くかい? それを聞くために呼んだのさ」
「ライマインさんも一緒なら、パーティーとして安定すると思うのよ」
私もライマインさんを誘った理由を補足した。
「これからパーティーメンバーを考える予定だったから、アイとリリスールのパーティーなら問題ない。俺も一緒に参加する」
「ライマインさん、ありがとう。知っている人でパーティーが組めてうれしい。私も頑張るけれど、ライマインさんを頼りにしているよ」
リリスールさんもライマインさんも、本来は私とパーティーを組むランクではなくて、ふたりとも私より年上だった。リリスールさんは私よりもひと回りくらい年齢が離れていると思う。
ハンターとしての実力も判断力もふたりに遠く及ばないけれど、足手まといとならないように頑張りたい。
「魔物の足止めは任せてくれ。アイの魔法も期待している」
「これでパーティーが決まったさ。アイちゃん、ほかに心配事はあるかい」
魔物退治はこのパーティーなら安心できるし、魔物の数が多くなればプレシャスに助けてもらえれば危険も回避できる。ただ少し異なる観点で情報が欲しかった。
「緊急依頼自体は平気よ。ただ領主様からの依頼という話しだけれど、領主様がどのような人物か知りたい」
今まで気にしていなかったけれど、ちょうどよい機会なので領主様の雰囲気だけでも知っておきたかった。
「ネンダーツ伯爵かい。比較的良心的な領主様でハンターとの関係も良好だよ。今回の魔物退治には街の警備隊も出してくれたさ」
リリスールさんが答えてくれた。
「俺も悪い噂は聞いていない。大聖女様の生まれた領地だから、ほかの貴族からも注目されている。模範となる必要もあるのだろう」
ライマインさんの補足を踏まえても、悪い領主でなくてよかった。メイティリスの生まれた場所が犯罪の巣窟だったら悲しいものね。
「教えてくれてありがとう。ほかに聞きたい内容はないから、私も頑張って魔物を倒すね」
パーティーメンバーが決まったので、参加前に報酬の分配を決めた。最終的には魔石と素材は3等分することになって、私の取り分が多いけれど断り切れなかった。




