アニイラシオン
漆黒の闇の海から顔を出したのは、異形の存在だった。
小豆色の装甲はコウモリの羽を膨らませたような肩を左右へ張り出させたヤドカリやエビを彷彿とさせる形状をしている。
そんな奇妙な体から、亀の頭―――否、巨大な貝の中から蛇の如く伸ばされた、それだけでも生理的な嫌悪感を持たせるには十分な頭部。
そこには単眼が鈍く、そして赤く光っている。
その形状は、どんなメサイアやアサルト・アーマーとも違うし、設計者が普通の神経をしていたら、こんなデザインは採用しないだろう。
否、異なるのはその形状だけではない。
その破格のサイズもだ。
左右だけで50メートル近いサイズを持つ機動兵器なぞ、人類の常識からすれば非常識の極み。設計図どころか構想段階で廃棄されるのが当然な代物だ。
ところが、実際にこいつの横幅はそれだけのサイズを持っているし、実際にこうして現実に存在している。
海面まで浮揚した体から蛇が鎌首をもたげるように伸展された頭部が上下に割れた。
まるで獲物を飲み込もうとしているかのように、開いたというより裂けたという表現が適当な程、大きく開いた下顎と、単眼を擁したまま水平に動かない上顎。
その間にあるのは、獲物を飲み込むための喉ではない。
巨大なML砲の砲身だった。
口径だけで3メートルを超えるだろう、戦艦と比較しても破格に近い大口径というべきその砲身の真横に2門設置された20ミリMLのうち1門が、ガドリングモードでエネルギー弾を連射した。
目標はあの“巣の主”。
オレンジ色の光る棒が何本も“巣の主”めがけて飛んでいく。
「あれ?」
その光景を前に、ターゲットスコープをのぞき込んだまま、そんな声を上げたのはシエルだ。
「何だよ!何でここで同軸機銃なの!?」
「落ち着け、シエル」
火器管制担当のポールが目の前のモニターから目を離さずに言った。
「ジョイスティックのセレクトスイッチがカノンに入っていないだろう?」
「早く言ってよ!」
ターゲットスコープの中で、崩れた塔の残骸の中から上半身をのぞかせていた“巣の主”。
その背中にMLが数発、着弾した。
連続した爆発がはっきりと観測出来るが、効果を誰かに訊ねる必要があるとはシエルには思えなかった。
跳ね回るように着弾したエネルギーが駆け回った背中だが、煙が海からの風に流された後を見る限り、まるでダメージを受けた様子はない。
ほんの少し、前に押されたかと思うだけで、もがくわけでもなく、痛みにのたうち回るわけでもない。
それは、まるで背中を叩かれたらこんな風に振り返るといわんばかりの動きだった。
そして、“巣の主”はゆっくりと振り返った。
その光景に脅える趣味はシエルにはない。
普通なら恐怖するだろう光景に、むしろ背筋にゾクゾクとした興奮さえ覚えてしまう。
シエルは“巣の主”へ返事するように、右側のジョイスティックの親指があたる部分に据えられたスライド式レバーを親指で押し上げた。
網膜映像として映し出されるターゲットスコープの隅に表示されていた「Gun」が「Canon」へと切り替わり、残弾表示の代わりに、エネルギーゲージが新たに加わった。
“巣の主”は、その触手を振り回し、怒りを露わにした。
「うわぁ」
それを前にシエルは笑った。
まるでいじめられっ子が、必死になって手足をばたつかせるのをあざ笑ういじめっ子さながらの余裕のある笑みだった。
「怒らせちゃったみたいだねぇ」
「シエル」
レシーバーに、ミシェルの声が届いた。
「遊ぶのも大概にしろ」
「間違っただけだよ!」
シエルはトリガーを引いた。
喉に現れていたML砲の砲口にスパークが走り、そこから、周辺の空気をプラズマ化させることで周囲を白く染あげる程の光塊が吐き出された。
それは、“巣の主”が同様の光塊を吐き出すより圧倒的に早かった。
塔の中で体一回転させ、シエル達に向き直ることを優先した“巣の主”は、よもや相手からこれほどの攻撃が来ると予想さえしていなかったろう。
圧倒的な勝利を信じて疑わない強者の驕りとも言うべき傲慢な動きが致命傷となった。
先程の攻撃で塔の外壁を吹き飛ばした“鈴谷”の一撃に匹敵するほどの光塊は見事なまでに“巣の主”の側頭部を捉え、そこでエネルギーを解放させた。
頭部を包み込んだエネルギーの解放は、瞬時に“巣の主”の頭部を形のない原子の塵へと変換し、その余波をもって上半身そのものを引きちぎった。
上半身を失った“巣の主”の体内では、集積が進んでいた莫大なエネルギーを暴走が始まり―――やがて巣に破局が訪れた。
かつて、人類が村をつくり、街をつくり、そして都市を作った。
長い、長い年月の中では、戦乱や天変地異など、都市を破壊する力が荒れ狂ったこともあった。
だが、これほどの破壊を、この地を統べる地霊は知らなかった。
自らが地霊としてこの地を治めることとなった、遠い遠い遙かな昔から今まで、これほどの事態を経験したことはなかった。
巣の中を暴れ回った、“巣の主”が体内にため込んだエネルギーは、健在だった地下迷宮をかけずり回り、そして全てを吹き飛ばした。
爆発によって生じた高熱に炙られ、加熱したまま最大高度1キロ以上にまではね飛ばされた土砂と岩石は、重力によって上昇の力を奪われると、そのまま質量と高熱を持つ異質の雨となって周囲へと降り注いだ。
土砂降り。
それは、皮肉な意味で、その言葉を具体化したような光景だった。
雨水や雪、あるいは雹の代わりに襲ってくるのは、土砂だ。
いまだ残存していた住宅街が、高高度から降り注ぐ文字通りの土砂によって粉砕された。
ローンが残っているだろう新築の建て売り住宅が、アパートが、病院が、降り注ぐ土塊や石塊に屋根を、ガレージを、ありとあらゆる構造物を破壊された。
その内部に飛び込んだ高熱の瓦礫が可燃物に引火した。
残されていたプロパンガスのボンベがあちこちで砕かれ、家々から炎が噴き出し、瞬く間に住宅を炎で包み込む。
炎によって破壊される苦しみから解放する慈悲の光のように、住宅街に最後の灯りが灯り始めた。
翌日。
住宅街上空へと再び艦を進めた“鈴谷”の艦橋から見えるのは、一面の焼け野原だった。
未だ黒煙を上げ、あるいはくすぶり続ける住宅達のあちこちで火の手が残っている。
消火する者が誰もいないため、一度生じた火は歯止めが利かない。
海側から吹く風に煽られて、まるで灰色のカーテンのように空を覆い尽くす煙を前に、美夜達は何も出来なかった。
空爆の後と言われても、誰も違和感さえ抱かないだろう。
「フランス軍は」
「撤退したようです。こちらからの返答には一切応じません」
高木は従兵の持ってきたコーヒーを美夜に手渡しながら答えた。
「アニイラシオン……そう言ってましたな」
「何か知っているか?」
寝不足の目元を気にしながら美夜がコーヒーに口をつけた。
苦みが刺激となって弱っていた胃を締め付ける。
胃薬が欲しいな。と美夜は思った。
「いえ。しかし、何かデータが狂っているのではないでしょうか?」
「うん?」
「あれほどの攻撃です」
高木が指さした先。
そこは全長1キロを遥かに超えるだろう巨大なクレーターが残されていた。
黒く大地にぽっかりと開いたすり鉢状の穴には、トンネルを通じてゆっくりと海水が注ぎ込まれ、いまだくすぶる岩盤からはさかんに水蒸気があがっている。
いずれ、時を待たずに小さな湾が出来るだろう。
かつて、ここにはアイバシュラによって生み出された巨大な塔が存在した。
昨晩、ここは、その根元から何からが全て吹き飛んだ。
それを美夜達ははっきりと目撃したのだ。
最後を決めたのは、フランス軍に所属するアニイラシオンという正体不明の反応から放たれたML砲の一撃。
それを美夜も否定するつもりもない。
彼等の出現が絶体絶命の自分達を敵の目からそらしてくれたこと、彼等から放たれた一撃が、その巨大な敵を吹き飛ばし、塔の誘爆を引き起こしたこと。
全て、否定出来ない事実だ。
だからこそ、高木は信じられないのだ。
「あの一撃は、確実に戦艦のそれを凌いでいました」
「……うん」
艦橋から見ると、その半ばから先端がはっきり見える中央カタパルトデッキ。
その真下では、いまだに砲身の冷却が続いている。
いかに“鈴谷”が欠陥品とはいえ、最新鋭の飛行艦が沈没寸前までパワーを振り絞って撃ち出したエネルギーの塊でやっと塔の一部を倒すことが出来ただけなのは事実だ。
「……どうだ?」
美夜がインターフォンを通した先はCICだ。
「分析は出来ましたが」
CICを預かる笠倉少佐は手にしていたコーヒーを一気にあおって答えた。
「たいしたもんです」
「具体的に」
「フランス軍の使用したのは、攻城砲の小型版です」
「何?」
「簡単に申し上げれば、現在、一般的なML砲弾は、着弾と同時に爆発する―――通常弾頭に例えれば榴弾です。これはご理解頂けますか?」
「無論だ」
美夜は頷くと、インターフォンの通話をスピーカーに切り替えた。
笠倉少佐は立場的に高木副長の直属の部下になる以上、笠倉からの報告は、高木も聞くべきだと美夜はそう判断したのだ。
「だが、それはMLの性格上、やむを得まい?」
「おっしゃる通り、MLイコール榴弾は定説でした。しかし、最近、それが覆されつつあるのです」
「ん?」
「ここからは―――私も理解の中のことで、事実とは反するかもしれませんが」
「かまわん。続けろ」
「はい―――まず、このタイプでは、エネルギーを包み込む魔力フィールドを細工しまして、中に注入されるエネルギー弾を従来のような砲弾型ではなく、すり鉢形とします。
これを“エネルギーの成形炸薬化”というのですが、これによって、解放時にエネルギー弾を無駄に四散させるのではなく、一定方向へ指向性を持つようにします」
「成形炸薬弾と同じ?ML砲弾のメタルジェット化?」
「ちょっとだけ違うんです、副長。というか、さすがに金属と純エネルギーの違いというか」
笠倉は苦笑いを浮かべて頷いた。
「成形炸薬弾におけるモンロー効果は、学問上、爆発時のエネルギーは解放を始めると、すり鉢状の凹型の中央部に集中する特性によるものです。
この辺りはどっちも同じなんですが、肝心のメタルジェットは「高温の金属ガス」でも「高圧の金属ガス」でも無い存在です。それより低い力しかありません。
実際の所、「超高温高圧のエネルギーの塊」であるML弾の場合、メタルジェットより遥かに高いパワーを持ちます」
「話をまとめてくれ」
美夜は言った。
「ここは技術部門の掃きだめじゃない」
「失礼しました。フランス軍の使用したエネルギー弾攻撃は、一種のエネルギー徹甲弾的な性格を持つ特殊な存在であることが、観測の結果確認されました」
「エネルギー徹甲弾?」
「従来、エネルギーを保護する魔力フィールドを安定的かつ任意の形に形成することが難しく、半ば諦められていた技術なのですが……」
「最近になって、ついに実用化されたのか?」
ぬるくなり始めたコーヒーを飲みながら美夜は訊ねたが、笠倉はそれに不承不承という顔で頷いた。
「あくまで噂ですが」
その顔は楽しげではない。
「―――魔族か、そっち側の技術が流入しているのではないか、と」
「まさか」
美夜は思わず高木と顔を見合った。
互いに信じられない。という顔をしていた。
「そんなことがありえるのか?」
「あくまで噂です」
笠倉は肩をすくめた。
「ただ、ここの所の爆発的な技術発展はすでに人類の研究の成果と呼ぶには超越しすぎています」
「この攻城砲もか?」
「……じ、自分は、この砲を非難しているつもりはないのです」
その口調には弁明じみたものが滲んでいる。
「ただ、技術部門の技官の間でも、この攻城砲の魔力フィールド形成技術は未だにオーパーツに近い存在で、予備パーツがないのはそのせいだと」
「予備パーツが……ない?」
「ご存じなかったのですか?副長」
「知るか!」
「し、失礼しました。攻城砲は試作品のワンオフ品です。かといって、何かあったときに交換パーツは必要なので、各部門に問い合わせてみたのですが……」
「返ってきた返事がそれか」
「開発者本人が言ってましたけど、むしろ口径を巨大化させたのは、このフィールド発生装置の小型化に失敗したからで、攻城砲の大出力の何割かは確実にこの装置のために割り当てられているとか……」
「……むぅ」
美夜は呻いた。
「欠陥品というより、オーパーツ……か」
「だからこそ、驚きましたよ」
笠倉は答えた。
「それの小型版をフランスが実用化しているなんて」
「報告が遅れたのはそのためか?」
「世界各地の裏情報も仕入れていました」
通信画面があれば、プリントアウトした紙束を笠倉が得意げにちらつかせたのが見えただろう。
「フランスも、随分ときな臭いですよ?」
「……そうか」
美夜は頷くしかなかった。
「ご苦労だった。周辺警戒は怠らないでくれ」
「―――了解です」
「副長、あの役立たず共はどこだ?」
「夏川大尉達ですか?それとも」
「……うちのいらん子共と言い直そう」
「朝倉大尉達でしたら、なんとか生きてます」
「騎体は無事か」
「乗組員もですが?」
「それはどうでもいい―――程度は」
「全騎中破。全騎広域火焔掃射装置システム喪失。装甲はかなり手ひどくやられていますが、一応の戦闘継続は可能です。坂城さんが見たら激怒するだろう損傷ですが」
「かまわん」
美夜はコーヒーを飲み干すとアームレストにカップを置いた。
「給料分は働かせろ。言うだろう?働かざる者喰うべからずと」
「―――任務は?」
「補給と装備換装後、周辺の狩り出しだ。残存するアイバシュラ、その他何でもいい。敵性反応は全て焼却しろ。あの超問題児もいることだ」
「ああ、涼宮中尉のことですな?了解。朝倉大尉達からの帰艦許可要請を受諾します」
アニイラシオンがその巨体を宙に上げ、そして海上を航行中の飛行艦ランフレクシブルの甲板上に着艦したのは、朝焼けの中だった。
幅60メートル、長さ300メートルを誇る巨体は、元来が飛行艦修理用の浮き乾ドックを兼ねた工作艦だ。
全長89メートル、全高46メートル、幅が55メートルもあるアニイラシオンを収容するには、これほどの巨大で収容力がある特殊な艦でもなければ無理だ。
四方を固定アームとワイヤーで固定されたアニイラシオンの周囲では、整備兵達が収容と各部の冷却作業に追われている。
主要部分にはすでにシートがかけられようとしていた。
装甲に立てかけられたハシゴを器用に下りてくる乗組員達を腕組みしたまま出迎えたのは、金髪の青年だった。短くまとめられた髪に切れ長の眼。銀縁のメガネが知的な演出を果たしており、背は高く、全体にスマートな印象を放っている。
白いワイシャツにブルーのスラックス。
そこに白衣を羽織った容姿はかなり女性の目を引く魅力にあふれていた。
フランス王国のミシェル王子だ。
宮廷や社交界の女性達を虜にする容姿と、誰一人その心を射止めたことのない鉄壁の冷酷さを持って知られた存在。
その顔は決して面白そうではない。
「操縦を一からやり直すか?シエル」
アニイラシオンの乗組員の中で最後に降りてきたシエルにミシェルは呼びかけた。
ハシゴを降りきる手前で思い切って、という仕草で甲板に飛び降りたシエルだが、改めて見ると、本当に愛らしい女の子としか思えない。
「ちょっとしたミスだよ。あることでしょ?」
「何が、ちょっとしたミスだ。武装選択もちゃんと出来ないのか?」
「なんだよぉ。しっかり仕留めたからいいじゃないか!」
ムキになって怒り出したシエルは八重歯をむき出しにして抗議した。
「そういうものじゃない!」
「やれやれ……」
その二人のやりとりを前にしてぽつりと言ったのはアニイラシオンの乗組員の一人、機関担当のアドルフだ。
「せっかくの初陣からの戻りだ。シャンパンでも開けてくれたっていいのに」
「そう言うなよ」
髪を逆立て赤色に染めた左舷防御担当のジャックがポケットからタバコを取り出しながら言った。
「俺は酒は飲めないんだ。出されても困るだけだ」
早くタバコ吸いてぇ。
ぼやくジャックは苦々しげに目の前での口論を睨むしかない。
その上空を爆音を立てた航空機が通過していった。
濃緑色に赤い丸。
日本機だ。
そこに襲いかかったのは上半身に翼だけつけたような奇妙な騎体、ピヤーというアサルト・アーマーだ。
日本機が突然の妨害に驚いて機体を大きくバンクした。
多分、哨戒飛行中にこの艦を発見したんだろう。
何もわからず、突然の妨害を受けた奴は気の毒なものだ。
「朝っぱらからご苦労なこった」
まるで病み上がりのように青白い顔で、眩しそうに空を見上げたのは、アニイラシオンの武装制御を担当するポールだ。
「近々、この海を通ってチンク共が日本へ侵攻するという噂がある。連中も殺気立っているんだろうな」
「北米であれほど負けてよくカネが続く。羨ましいぜ。すこし分けて欲しいもんだ」
「同感だな」
日本機が遠ざかっていく。
ピヤーが追撃を止めたようだ。
「……許可なく艦隊上空を通過って所で抗議かな?」
「た、多分……」
おどおどしながら言ったのは、アニイラシオンの右舷防御担当のジョルジュだ。
この中で一番背が高く細い体の割に気が弱く、ぼそぼそとした口調がむしろ哀れにすら感じられる。
「この艦隊は日本側にルートを通告していないんじゃないかと……」
「まぁ……なぁ」
アドルフは小さく頷いた。
「日本海側の情報を持っているのはロシアと中国と日本だけだ。王子が感心を持つのはわかる」
「有益な情報があったの?」
索敵担当のクリストフが悪戯っぽくアドルフの顔をのぞき込んだ。
「ルカンの部隊が諜報に動いた」
そう答えたのは、シエルの頭を小脇に挟んでグリグリ拳で嬲るミシェル王子だった。
痛い痛い!
そうわめくシエルの声に彼が気にしている様子はない。
「魔族の潜水部隊相手にかなりのチェイスになったぞ」
「逃げられたのかい?」
「ああ。派遣した機は全部オーバーホールが必要なほど酷使されたけどな」
「―――で?どうなんだ?ミシェル……王子」
「別にここでは何と呼んでもいい」
シエルを離したミシェルはアドルフに答えた。
「このバカの面倒まで見てもらってるんだ。感謝のつもりだ。アドルフ」
「継承権取得後でも友だとでも?」
「ふん……腐れ縁だ」
「面白いな……それで?」
「非情に興味深い結果だ。皆も来い。シエル、お前はそこで正座でもしてろ」
ミシェルはアドルフの肩を叩くと艦内へと導いた。
「何でだよぉっ!」
「うるさい。同軸機銃弾を無駄遣いしたバツだ―――やつらの空飛ぶ城の撮影に成功した。これは面白いぞ。英独の艦隊と接触するまでに分析が終われば、それなりに日本海で我がフランスが主導権を握ることが出来るかも知れない」
「出来るのか?」
「やるのさ―――俺なら出来る。信じろ、アドルフ」




