【制約】のデメリットをもう実感させられたんだが?!
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嘘が着けなくなった主人公、果たしてこの先上手くやっていけるのでしょうか
それではどうぞ
「おはようございまーす」
「おはようございます!大雅先輩!!」
「あぁおはよう理沙さん」
あいつと契約した次の日
俺は会社に通勤していた。俺を先輩と呼ぶのは鈴木 理沙、俺の後輩だ。
何だかんだ中学から同じ学校にいた幼馴染だ。元気いっぱいに挨拶してくるその姿は見ているだけでも活力がみなぎる物だ。
『ふむ……喜べ大雅この娘からは嘘や悪意を感じないぞ』
俺の頭の中にあいつの声が響いてくる。どうやら契約者と念話をすることが出来るらしい
「大雅先輩! 今日も一日頑張りましょうね!」
「理沙さんこそ、今日も乗り切りましょうね」
理沙と他愛のない会話をしていると
「大雅くん!仕事が山積みなんだ!!早く仕事を始め給え!!」
「……はい分かりました葛井部長」
俺に向かって明確な敵意を飛ばしてきたこいつは一応俺の上司なのだが、どうやら俺が理沙と仲良くしているのが気に食わないのか、毎回俺と理沙の何気ない会話ですら邪魔しにくる野郎だ。
こいつは特段仕事が出来るという訳ではなく、後輩の仕事をまるで自分がやったかのようにしているためこいつの上司がそれを知るはずもなく未だ上司というポジションに居座っているのだ。なんで何も言われないんだろうな……
すると心底軽蔑したような様子で
『うっわ……こいつ、悪意しかねぇな……頭の中が性欲と嫉妬で満ちてやがる……キッショ!』
聞きたくもない事実を知らされた俺は、渋々仕事に取り掛かることにした。アウス(俺が命名した)は、俺の前に山積みになっている書類の束を見て
『あいつほんとに糞野郎だな。この仕事から嘘が感じられるぜ』
『……それはどういうことだ?』
俺は頭の中でアウスに話しかける。
『この仕事は本来お前のやるべきものじゃねえんだよ。ほら試しに〝蛇の目〟発動してみなって』
俺はカバンの中に手を入れ、中身を取り出そうとするふりをしながら本を出した
「……‶本の中の魔神〟」
俺の手元にあの本が現れたことを確認した俺は、本についているスピンである‶正義の悪魔〟を‶蛇の目〟のページに入れて目の前の書類の山を見てみた。
『うわぁ……八割がたあいつのじゃねぇか……』
俺の視界には書類の山から伸びる線みたいなものがあの葛井に伸びているのが見えた。まじであいつ覚えてろよ……!
「はぁ……仕方ないやるか……」
幾ら俺にあいつの悪事が見えたとはいえ、流石に証拠も無しに葛井に直談判するのは分が悪すぎる。俺はさっさと片付けることにした。
『……人間って、なんで無能が上に居ても疑問を抱かないんだ?』
『それはな……あんな奴でも権力があるからさ』
『……? 権力って、目に見える形の力を持った奴じゃないと持てないだろ?』
アウスが言うには、権力は〝金〟や〝物〟そして目に見える〝成果〟があって初めて得られるものだ。と言っていた。
悪魔の中ではこうした価値観が基準になっており、それこそ契約や従属、そして富の保有数などによって権力……つまるところ爵位を与えられるらしい。
……権力については確かに本当にそう思うな。
そして俺は意識を仕事に向けた。
◆◆◆
「あ゛あ゛ー……やっと終わったぁ……」
時刻は既に午後六時を回っている。俺が朝出勤したのが午前七時だから……なるほど!ちょうど十一時間か!そうかそうか!!
「ふざけ散らかしてるのかッ!? 毎度毎度あの糞野郎は!!」
『しかも見たか大雅。あいつ午後四時に帰っていく時に俺たちの方を見ながら笑ってたぞ』
「マジの糞野郎だなあいつ」
はぁ……さっさと家に帰るとするか……はやくあの糞野郎くたばってくれないかなぁ
『というかよ、なんでお前あいつに‶蛇の目〟の刻印付けなかったんだ?今のお前ならあの嘘つきの野郎に痛い目を合わせられるのによ』
俺はアウスから疑問をぶつけられた。確かに今の俺ならあいつに痛い目を合わせられるだろうけど……
「うーん……何と言うか、別にそうするまでも無いかなって」
『……??何でだ?』
「あいつが俺に嫌がらせをしている間はな……俺以外が安心できるんだよ」
『はぁ……!?なんだそりゃ!?』
実際に俺がたまたま聞いた話では、俺があの野郎に嫌がらせをされている間は、他の奴は安心して仕事ができるそうだ。それをこの前他の奴が話しているのを聞いてしまった。
『どいつもこいつも屑ばっかだな! 誰もお前の心配をしない! 正直者が報われねぇのは俺が一番大嫌いなんだよ!!』
流石は嘘と悪事が嫌いな魔神なだけはあるな。本来だったらすぐさまぶっ殺していてもおかしくはない
……というか普通に馴染んでいるけど、未来が帰ってきたら何て説明すればいいんだ!?
昨日まではたまたま友達と卒業祝いってことで旅行に言ってたが今日、帰ってくる。娘が転生者であることはほぼほぼ確定しているとして……こいつと契約している俺を見てなんと思う!?
『父さんが……契約者?……可笑しい……こんなの原作にはない展開なのに……』
{――とか思われてしまいかねない!何とかして隠し通さない……と……)
俺はふと思い出した。アウスと契約した際に交わした‶制約〟に‶契約者はいかなる状況においても嘘をつくことべからず〟とあったことを……
(……もしかして詰んだ?)
……俺はどうやって娘から隠し通すか、或いは話題に上らせないかを家に帰るまでに考えまくった。早速‶制約〟に苦しめられる羽目になるとは……




